
中東情勢を受けた原油価格の高騰。海外でも暮らしや経済に深刻な影響が出てきています。
【画像】LPガス普及率99.8%のインド 手に入らず…国内の至る所で市民の行列
「史上最大規模の供給混乱へ」
パリ市内の環状道路をハザードランプを点灯させながら、ゆっくりと走るトラックやバスの車列。これは渋滞ではなく、原油価格高騰への抗議として、あえて「低速走行」しているといいます。
バスレンタル会社のマネージャーは、不安を口にしています。
「あらゆるものが値上がりするだろう。実際、タイヤ、部品、ディーゼル燃料などすべてが値上がりする。ディーゼル燃料不足に陥るのではないか。多くの疑問が浮上している」
イタリアでは市民の家計を直撃しています。
ローマ市内の青果市場では、さまざまな野菜や果物が値上がり。輸送費の高騰などが要因だといいます。
また、南半球でも…。オーストラリアのアルバニージー首相は、燃料需給の逼迫(ひっぱく)を和らげるため、国民に公共交通機関の利用などを呼びかけました。
「中東の戦争により、ガソリンや軽油は史上最大の値上がりを記録しています」
「当事国でないオーストラリア国民も、物価高という代償を払っています」
ロイター通信によると、国際エネルギー機関のビロル事務局長は1日、4月にはヨーロッパでさらなる供給の減少が見込まれると説明し、「史上最大規模となる極めて深刻な供給混乱に向かっている」と話しているといいます。
中東依存の高い韓国で不安
韓国 李在明(イ・ジェミョン)大統領
「輸入依存度が高く、中東地域からのエネルギー需給の割合が高い韓国としては、より徹底的な点検、そして緻密な非常対策が必要」
原油のおよそ7割を中東地域から輸入している韓国。そのほとんどがホルムズ海峡を通過したもの。国内の石油備蓄量は1億9000万バレルとおよそ7カ月分あるといいますが、石油不足の不安が拭えない状況にあります。
プラスチックフィルム工場長
「オイルショックや新型コロナの影響も乗り越え、57年間経営し、一つの分野にひたすら注力してきたが、これほどの深刻な打撃は初めて」
農業などで使われるプラスチックフィルム。大型の機械が作動している一方、電源がついておらず、動いていない機械がありました。
「一部の製品は原材料が底をついているため、徐々に機械を停止せざるを得ない」
原料である「ナフサ」の輸入量が大幅に減少。通常1日あたり100トン以上を生産していますが、現在は20~30トンしか生産することが出来ない状態になっています。
「この1~2週間が正念場になりそうです」
ごみ袋の販売制限で混乱も
さらに生活に必要な“ある物”にまで影響が及んでいます。
1日、韓国・ソウル市内にあるスーパーを訪れると、ごみ袋の販売制限が行われていました。
買い物客
「(ごみ袋を)1枚ずつしか売ってくれないので、少し不安になります」
「ごみ袋がないせいで、ごみが捨てられないわ!家にごみがたまってるのよ!」
ソウル近郊の店の売り場には「売り切れ」と書かれたボード。棚の上から下まで本来あるはずのごみ袋がなくなっていました。
韓国在住の女性
「ごみ袋は毎日使うものなので、(ごみの)処分に困りそうで戸惑いました」
5人家族の女性は、ごみ袋の“売り切れ”に不安を抱えます。
「5人家族なので、毎日出るごみの量が多いです。袋がいっぱいになるくらい。大家族でごみが多く出るので、(ごみ袋の)供給が1日でも滞ると衛生問題も心配になります」
韓国メディアによると、ごみ袋の生産に必要なナフサの供給が減っていることに加え、「今のうちに買っておこう」という不安心理が急速に広がったことが原因という見立てを示しています。
この事態に李在明大統領は次のように述べました。
「ごみ袋のことで騒動が起きています。国全体で見れば十分、在庫も原料もあります。近隣の自治体と協力して解決できるでしょう」
インドではGSに大勢の列
インドで、オートバイに乗った大勢の人が集まっているのがガソリンスタンドです。
店だけでなく、周りの道路も埋め尽くすほどの人が給油を待っています。給油をした市民はこう話します。
「みんなと同じく、私もガソリンが心配です。どうしてもガソリンが必要なので、朝早くから並んでいました」
政府はおよそ2か月半分の石油の備蓄があるといいますが、混雑は夜になっても…。
「200ルピー(340円)分だけ入れました。この状況なら、満タンにしておけばよかったよ」
インド・スーラトの繊維工場では、機械が動いていますが、燃料は「薪」です。
工場で働く人
「薪でも動かせる機械もありますが、ガスで動くものがいくつもあります」
薪が燃料の機械だけでは生産性が悪く、操業を停止するといいます。
ガス求め 市民の大行列
インド国内のLPガスの普及率は99.8%。その50%がホルムズ海峡を通って輸入されています。
そのため、臨時休業するレストランもありました。
レストラン経営者
「調理の90%はLPガスに頼っているので、問題を早く解決してほしいです。従業員25人の生活費を賄わないといけないし、店の家賃も払わなければならないので、生活は非常に苦しくなります」
インドのほとんどの一般家庭では、一家に1本LPガスのボンベがあり、生活に欠かせないエネルギーとなっています。
街で市民の大行列ができていました。その先にあるのが、LPガスの配送所です。
通常は電話やネットで予約注文すれば配達に来てくれるのですが…。
LPガスを求めて来た市民
「(予約の)電話をしたのですが、つながりませんでした。配送所で聞いたら『何度か電話をかけて』と言われたが、つながらないので予約できません」
LPガスが手に入らず、こんな声も聞かれました。
「この状況は正常に戻るべきです。お祭りも近いし、どうすればいいんでしょうか。調理するガスがなければ、飢えてしまいますよ」
市民の行列は、国内の至る所で見られます。ここでは、トラックに積んだLPガスを販売していました。
群がる市民に対応する販売業者。その両手に札束を抱えているのが分かります。
ガス不足 薪で新調理
レストランで働く店員は、LPガスの値段が高騰しているといいます。
「LPガスの値段は上がっています。業務用は2100ルピー(約3600円)です、以前は1850ルピー(約3150円)でしたが、きょう政府が値上げをしました。闇市では4000ルピー(約6800円)です」
深刻なLPガス不足。そんな中、ベンガルールにあるレストランでは、LPガスはなくなってしまったといいます。しかし、店は営業していました。
厨房(ちゅうぼう)に並んだ料理、その調理法が薪です。厨房では作業できず、店の外で調理していました。
しかし、薪だと調理できる料理が限られ、メニューを変更したといい、売り上げも70%減ってしまったそうです。
さらに、現地メディアは1日、インドにとって2019年以来となるイラン産原油60万バレルを積んだタンカーがインドの港に向かっていると報じています。
インド政府は、国内のどこにもガソリン、ディーゼル燃料、LPガスの不足はないと発表。沈静化に努めています。
(2026年4月2日放送分より)
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