各国揺さぶり?ホルムズ海峡に異変“イランの料金所”通航実態 存在感増す国オマーン

各国揺さぶり?ホルムズ海峡に異変“イランの料金所”通航実態 存在感増す国オマーン
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 ホルムズ海峡で日本関係の船舶2隻目の通過が確認された。イランは各国に揺さぶりをかけているとみられていて、ホルムズ海峡に異変が起きているという。

【画像】“中東のスイス”オマーン

日本関係船舶 2隻目が通過

 2隻はどのようにホルムズ海峡を通過したのか。

ホルムズ海峡をどう通過?
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 1隻目について、3日、海運大手「商船三井」はペルシャ湾内に停泊していた、オマーン企業と共同保有するパナマ船籍のLNG(液化天然ガス)タンカーがホルムズ海峡を通過したと明らかにした。

 朝日新聞によると、日本政府関係者の話として、船の行き先は日本ではなく、政府は交渉にも関わっていないと報じている。

 さらに注目すべきはタンカーが通った航路だ。イランは、ホルムズ海峡の封鎖を宣言して以降、自国の領海内に、安全に通ることができる航路「安全回廊」を設けている。1隻目のタンカーが通ったとされているのは安全回廊ではなく、海峡の南側の「通常航路」と呼ばれるオマーン沿岸を通る航路だったという。

 そして、日本時間4日に明らかになった2隻目の通過だが、この船は商船三井がインドの企業と共同保有するインド船籍のLPG(液化石油ガス)タンカーだという。

日本の船ではなく…
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 では、この2隻目はどこを通ったのか?航路の記録をみると、こちらは北側の安全回廊を通ったという。商船三井はこの2隻について船員の数や国籍、通過できた理由などは公表していない。

 東京大学大学院・渡邉英徳教授によると、この2隻は航行時、船舶自動識別装置で日本の船ではなく1隻目はオマーンの船、2隻目はインドの船だと発信して通航していたという。

通航の実態

 この安全回廊は今“イランの料金所”と呼ばれているという。

“イランの料金所”とは
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 ブルームバーグが複数の関係者の話として伝えているところでは、まず、船舶の運航会社は仲介会社を経由して革命防衛隊の海軍に船籍や貨物の詳細・目的地などの情報をイランに伝える。イランはその船がイスラエルやアメリカと関係がないかなど審査する。

 この審査を通過すると、今度は通航料の交渉が始まるという。原油タンカーの場合、1バレルあたり1ドル=およそ160円を人民元や暗号資産などで支払うことになっている。

 CNNの試算では、こうした通航料の支払いが確立すればイランは一日で最大2000万バレル分、およそ32億円を得ることになるという。こうしたことから、この安全回廊はイランの料金所とも呼ばれているという。

 そして通航料が支払われた後は、革命防衛隊が「許可コード」を発行し、航路を指示する。認可を受けたタンカー船は印となる旗を掲げて、イラン側の哨戒艇に護衛されながら海峡を抜けるという。

各国を5段階でランク付け

 ホルムズ海峡の通航許可にはイランとの友好度が重視されるという。

 これまでホルムズ海峡の通航を許可された主な国は、中国やロシア、パキスタンなどがある。なぜここへきて通航許可が相次いでいるのか?

各国を5段階でランク付け
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 ブルームバーグによると、イランは各国を5段階でランク付けしている。友好度が高いほど通航料が安くなるなど有利な条件を得やすいという。

「非同盟中立」のオマーン

 ホルムズ海峡における航行の自由を巡って重要な役割を担うのが、イランの対岸に位置するオマーンだという。

イランの対岸に位置するオマーン
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 ホルムズ海峡をよく見ると、北はイラン、南はオマーンの飛び地・ムサンダム半島に挟まれている。ただ、この海峡は”海の憲法”と呼ばれる「国連海洋法条約」で、「国際海峡」とみなされているが、イランとオマーンは領海と主張している。

 また両国は海峡での通航を監視する動きをみせている。

 国営イラン通信によると、イランはホルムズ海峡の通航を監視するため、オマーンと協定案を策定しているといい、イラン・アラグチ外相もアルジャジーラのインタビューで、「ホルムズ海峡の将来はイランとオマーンによって決定されなければならない」と主張している。

イランによる攻撃も…

 多くの湾岸諸国と対立してきたイランだが、なぜオマーンとは共同歩調を取っているのか?

“中東のスイス”オマーン
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 実はオマーンは、どこの国の同盟国にもならない「非同盟中立」の立場をとり続けて「全方位平和外交」を実践している国家だ。これは50年にわたって国を率いたカブース前国王が掲げた「万人の友 誰の敵でもない」という理念に基づくもので、アラブ地域の紛争から距離を置き、対話と外交で地域の安定を目指してきたことで、オマーンは“中東のスイス”とも呼ばれている。こうしたことから、これまでもイランを孤立させない動きをしてきた。

イランのよき理解者
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 そもそもオマーンは伝統的に親米国家ではあるが、ただ、国内に常設のアメリカ軍基地はない。1980年代のイランイラク戦争でもイラクに資金提供はしなかった。また、イランでモジタバ師が最高指導者に選出された際には祝意を伝えるなど、イランのよき理解者ともなっている。

 ただ、そんなオマーンも今回、イランからの攻撃を受けている。

イランからの攻撃も…
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 国営オマーン通信などによると、北から南まで複数の都市がイランによるドローン攻撃を受け、複数の死者が出ている。これを受けてオマーン・ハイサム国王は、イラン・ペゼシュキアン大統領に電話で、不快感と非難を伝えながらも改めて中立を保つ考えを示した。ペゼシュキアン大統領も調査を約束したという。

(2026年4月6日放送分より)

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