
イランを巡る戦闘が泥沼化する可能性がある。トランプ大統領は「イランに地獄が降り注ぐ」と警告している。一方イラン側は「地域全体が地獄に」なると徹底抗戦する構えだ。
民間人に「壊滅的な」影響
トランプ大統領は、前例のない攻撃を仕掛けるとしている。
イランへの軍事作戦を担当する、アメリカ中央軍の1日の発表では、これまでに1万3000回以上出撃、1万2300カ所以上の標的を攻撃したという。その標的は「革命防衛隊の司令部」「ミサイル基地」などの軍事施設や、兵器の生産設備など「軍事関連施設」だとしている。
こうした中、トランプ大統領が何度も警告する「地獄」とは何を指すのか?
トランプ大統領は、日本時間の7日午前2時すぎに記者会見を開いた。その中で「ホルムズ海峡を開放しなければ、すべての橋と発電所を完全に破壊する」と警告。期限は7日午後8時、日本時間8日午前9時だと指摘した。
標的になる発電所はどこなのか。ブルームバーグによると、天然ガス火力発電所がイラン国内に98基あり、総発電量の約85%を占めるという。中でも首都テヘラン近くにある、イラン最大のダマバンド発電所は、発電能力が2868メガワットで、テヘランへの供給の43%を賄っている。
また、原発が標的となる可能性もある。アルジャジーラによると、ブシェール原発は2011年にロシアが建設し、現在は原子炉1基が稼働している。この原発の周辺に4回攻撃を受けたとされている。
イラン国営メディアは、イラン・アラグチ外相が国連への書簡で「放射性物質の放出という深刻なリスクをもたらす」と警告したと報じている。
民間インフラへの攻撃は、戦争犯罪に該当するのではとの指摘もある。
2日、アメリカの100人以上の国際法の専門家が、石油・ガスインフラ・淡水化プラントなどへの攻撃は民間人に「壊滅的な」影響をもたらすと声明を出し、国際人道法に違反し、戦争犯罪にあたる可能性があると指摘した。
ただ、ウォール・ストリートジャーナルによると、ホワイトハウス関係者は、発電所を破壊すれば市民の不安をあおり、イランの核兵器開発を困難にする可能性があるとして発電所は正当な軍事目標であると主張したという。
ドローン数千機温存か
アメリカの戦闘機を撃墜したことでイランの反撃能力が健在であることが示された。
CNNは、アメリカの情報機関の分析として、イランのミサイル発射施設のおよそ半数が無傷でドローンも数千機が残っていると報じた。
またニューヨーク・タイムズも、アメリカ情報機関の報告として、イランは爆撃を受けたミサイルの地下壕(ごう)や格納庫を掘り起こし、数時間後には運用可能な状態に戻しているとの報道もある。相当数の「おとり」も配備していて能力に対する正確な評価を難しくしているという。
なぜデータセンター?
こうした中、イランの攻撃に変化が起きている。イランメディアによると、革命防衛隊は2日、バーレーンにあるアメリカIT大手・アマゾンの施設を攻撃したと発表した。先月24日には同じくバーレーンにあるアマゾンのデータセンターが被害に遭っていた。
データセンターはAIなどを支えるインフラで、朝日新聞によると、攻撃を受けた施設はアマゾン傘下の企業だった。世界の約120カ所で運営し、これを39地域に分け、それぞれで3カ所以上の施設がある。中でもUAEでは3カ所のうち2つが被害を受け、タクシーや宅配のアプリが使用不能になったという。
データセンターは政府の重要なデータも扱っているという。朝日新聞によると、ロシアのウクライナ侵攻時、アマゾン傘下企業がスーツケース型のデータ転送サーバを使い、ウクライナ政府機関の重要データをヨーロッパの他の国に運び出したという。
なぜイランは、データセンターを標的にしたのか?
革命防衛隊は先月31日、イラン指導者らの殺害の計画や実行にアメリカ企業が関与しているとして、グーグルやメタなど18社を標的にすると警告していた。
こうしたイランの新たな攻撃は、中東各国のAI戦略に影響する可能性がある。
中東諸国は「資源頼み」の経済構造を脱却したい思惑から、AIなど成長分野にかじを切り、データセンターへの投資が拡大していた。
アメリカのオープンAIも、UAEでの大規模データセンター建設を発表している。ただ、ブルームバーグによると、データセンターのセキュリティ対策はサイバー攻撃への防御などが中心で、ミサイルやドローンからの防御は想定外だという。
首脳会談を調整
日本とイランの首脳会談が調整されている。高市早苗総理は、6日の参議院予算委員会で「イランとはトップレベルの会談も含めてあらゆる方法を追求している」と述べた。
日本政府関係者によると、イランで拘束されていたNHKのテヘラン支局長とみられる日本人が現地時間の6日、保釈された。
(2026年4月7日放送分より)
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