
トランプ大統領が発した、イランへの“最後通牒”。その期限を前に、イラン各地への空爆が始まりました。その中には石油輸出の重要拠点、カーグ島や鉄道橋などが含まれると伝えられています。トランプ大統領はSNSに「今夜1つの文明が終わるだろう」と投稿しました。かつてなく危険な局面を迎えています。
【画像】トランプ氏「今夜1つの文明が終わる」“期限前”に…カーグ島などイラン各地で空爆
迫る“期限”…インフラ破壊を明言

イランメディア
「イランのザンジャン州にある鉄道橋の1つが攻撃の標的となった」
「イランのシャヒヤール市で住宅に爆発物が直撃、少なくとも9人が死亡」
Axios
「当局者によると、カーグ島の軍事目標に対してアメリカ軍が攻撃を実施した」
開戦から間もなく40日。どこまでやるのか?いつまで続けるのか?そのゴールが示されたことはありません。ただこの日、記者を集めた会見ではっきりさせたのは…。

アメリカ トランプ大統領
(Q.戦争が『終わりに向かっている』から『石器時代に戻す』に変わっているが…)
「そうだ」
(Q.どちらですか。戦争を収束させているのですか)
「言えない。分からない。明日まで猶予を与えている。東部時間午後8時だ。以降は橋も発電所もない石器時代に逆戻りだ」

交渉中として延期してきた大規模攻撃。ワシントンの7日午後8時、日本時間の8日午前9時までを期限とし、進展がなければ発電所や橋梁といったインフラを破壊すると明言しました。

アメリカ トランプ大統領
(Q.攻撃対象に制限はほとんどなく、発電所や橋も標的だと)
「そうだ」
(Q.学校などの民間施設も)
「それは言えない。言いたくはない。明晩12時までにイラン全土の橋と発電所を壊滅させる。爆破させて再起不能にする。やりたくはないが、望めば4時間で完遂できる」
(Q.民間インフラへの攻撃はジュネーブ条約と国際法に違反するが)
「どこの記者だ。どこだ」
(Q.ニューヨーク・タイムズです)
「ニューヨーク・タイムズか。発行部数が激減しているな。どうした?」
(Q.戦争犯罪にあたるという懸念は)
「ない。爆撃せずに済めばいい」
今、大規模攻撃に一番前のめりなのは、トランプ大統領自身とも伝えられています。

米当局者(Axios)
「大統領は狂犬のように血に飢えている。大統領に比べれば、ヘグセス国防長官やルビオ国務長官はハト派だ」
アメリカ トランプ大統領
(Q.あなたの精神状態を検査すべきとの批判もあるが)
「初耳だが、私のような人間がもっといるべきだ」
停戦にはイスラエルなどが反対していると言われています。空爆が止む日はありません。

イスラエル ネタニヤフ首相
「我々は革命防衛隊の資金源を一掃しています。工場を破壊し、活動家や高官を抹殺し続けています。イランは以前のイランではありません」
時に空爆は軍事施設と民間施設を区別することなく行われます。
AP通信 バッサーム・ムルエ記者
「アメリカ軍とイスラエル軍の空爆で25人が死亡しました。標的の1つとなった、ここシャリフ工科大学では敷地内の建物が破壊されました」
これまでに空爆された大学は30を超えるといいますが、その種別はさらに増えるかもしれません。次は鉄道が狙われています。

イスラエル軍
「イラン国内における鉄道利用者の皆様へ。安全確保のため、列車の移動は控えて頂くようお願いします。列車内や線路付近は非常に危険です」
イラン“人間の鎖”呼び掛けも
一方のイラン。これまでも軍事施設には軍事施設、石油プラントには石油プラントなどと、湾岸諸国を巻き込んで報復攻撃を行ってきました。イラン国内への攻撃がエスカレーションした場合、それは報復も必然的に…。

イラン中央司令部報道官
「民間施設への攻撃を繰り返すならば、次なる報復作戦はさらに壊滅的で広範に及び、敵の損害は倍増することになる」

また“人間の鎖”の呼び掛けも始まっています。青年・スポーツ省の次官は「全ての若者・文化芸術家・アスリートたちを、明るい未来に向けたイラン青年の人間の鎖に招待する」と国営放送で呼び掛けました。全国の発電所の側で「公共インフラへの攻撃は戦争犯罪だ」と声を上げる予定だといいます。
トランプ大統領に「発電所が攻撃されたら生活は地獄になる」と脅されている市民たちは今。

テヘラン市民
「窓ガラスの飛散防止対策をして、何か起きたらすぐに離れられるよう準備はできています。電気や水が止まれば、持ちこたえられるのは1週間でしょう。それ以上、続けば大変なことになります」
ただ、橋が破壊されたら逃げられる所は限られます。

テヘラン市民
「外交による一刻も早い平和を願っています。戦争に勝者はなく、長期化は人々を苦しめるだけです。とにかく市民のために停戦を実現してほしい」
現状、大規模空爆は行われる公算が高いとみられています。停戦交渉が全く進んでいないからです。

Axios バラク・ラビット記者
「仲介国のパキスタン・エジプト・トルコは今も双方と協議中です。外交を継続するなら7日午後8時の期限は非現実的で、延長は不可欠です。今のホワイトハウスに延長の意思はないでしょう」

仲介国はアメリカとイランに対して、まずは一時停戦し、その上で交渉する案を提示していました。イランは「戦争の恒久的終結であるべき」として、その案を拒否。その上で、地域における戦闘の終結、ホルムズ海峡航行のルール、制裁解除など10項目の条件が替わりに提示されたといいます。
カーグ島などイラン各地で空爆

10項目への返答なのか。Axiosは「アメリカ軍がカーグ島にある軍事目標に対して攻撃を行った」と政府高官の話として報じました。そして「鉄道の橋が攻撃の標的となった」「住宅に爆発物が直撃。少なくとも9人が死亡」との現地メディアの情報。これらの攻撃が何を意味するのかの断定はできません。しかし、トランプ大統領はSNSで…。

トランプ大統領のSNS
「今夜1つの文明が滅び、2度とよみがえらないだろう。今や完全かつ全面的な体制転換が果たされた。これまでと違って過激思想に染まらず、より賢く、新たな考えを持つ指導者が台頭した。47年にわたる、ゆすり・汚職・死の連鎖がついに終わる。偉大なイラン国民に神のご加護を!」
CNNホワイトハウス担当 クライン記者
(Q.大統領はどんな考え?)
「いい質問ですね。大統領のメッセージは実に不可解です。一方で今夜、イラン攻撃が起こるだろうとしつつ、同時に外交的解決の可能性がまだあるとしています」
今後、停戦交渉はどうなっていくのか。アメリカ側のキーパーソンは。
アメリカ トランプ大統領
「イランとは交渉中で、猶予は7日午後8時までだ。交渉は順調だと思う。ウィトコフ特使もバンス副大統領も関わっている」
戦闘継続に否定的なバンス副大統領はイラン側が交渉相手に指名したとも言われています。

ポリティコ
「バンス副大統領は待機しており、イラン当局者との直接会談に至った場合には、デリケートな交渉に介入する準備ができている」
そのバンス副大統領は今、ハンガリーを訪問中です。

アメリカ バンス副大統領
「大統領は、エネルギーとインフラ設備には、イランが納得のいく提案を出すかはっきりするまで攻撃しないと述べている。7日午後8時までの期限を与えているので、カーグ島のニュースは戦略の変更か、大統領が翻意したことを示すものではない。前向きであれ後ろ向きであれ、イランから7日午後8時までに回答が得られる自信はある。正しい回答を願う」
カーグ島や鉄道など攻撃 意図は

ワシントンの梶川幸司支局長に聞きます。
(Q.非常に危険な状況になってきていると感じますが、今の最新情報を教えてください)
梶川幸司支局長
「トランプ大統領は、イランに対して限定的な攻撃を加えることで、7日夜の交渉期限までにホルムズ海峡を開放するよう、改めて強い警告を発したことになります。一連の攻撃の全体像は現時点では不明ですが、複数のアメリカメディアはイランの石油輸出の拠点、カーグ島に数十カ所の空爆を実施したと伝えています。標的となったのはレーダー施設や弾薬庫などで、地上部隊の投入はないということです。また、鉄道の駅や高速道路の橋も攻撃し、犠牲者が出ている模様です。ただ、原油市場に影響を与える石油関連の施設は、攻撃の対象にはなっていないとしています」

カーグ島は、イラン本土から30キロほど離れたペルシャ湾内に存在し、イランの石油輸出の9割を担う“イラン経済の生命線”とも言われている場所です。イランは過去数週間にわたってカーグ島に兵士の増員や防空体制の強化などを行っていたとみられています。

一方、トランプ大統領は「ホルムズ海峡を開放しなければ、カーグ島を爆破して消滅させる」と警告していた。橋や鉄道などの被害も報じられていますが、そもそも国際法では、発電所・水道施設・学校などの民間インフラを標的とすることは、民間人に被害を与える可能性があり、一般的に禁止されています。ただ、トランプ大統領はインフラ攻撃が戦争犯罪にあたる懸念について「全く心配していない」と一蹴しています。
(Q.交渉期限を迎える前に大掛かりな攻撃に出たことで、交渉はどうなりそうですか)
梶川幸司支局長
「攻撃に踏み切ったということは、パキスタンなど仲介国を通した前日までのイランとの協議に進展が見られず、トランプ大統領が業を煮やしたものとみられます。アメリカメディアは、イランが交渉期限までにホルムズ海峡を開放するのは難しいとして、トランプ大統領がインフラの大規模攻撃に踏み切る公算が大きいと悲観的な観測を伝えていました。ただ、トランプ大統領としては、事態を長期化させたくないのが本音です。ホルムズ海峡と核開発でイランに譲歩を認めさせて、この戦いの出口を見出したいところです。トランプ大統領はSNSに、現在のイランの指導部について『以前とは異なる賢明で過激ではない人々が主導権を握っているのだから、素晴らしいことが起きるかもしれない。今夜、世界の長い歴史の中で最も重要な瞬間が訪れることになる』と投稿し、交渉の進展に期待感を表しました。また、バンス副大統領も『12時間後に迫った期限までに多くの交渉が行われる。ボールはイランにある。良い交渉になることを期待している』と述べています。しかし、イランにとってはホルムズ海峡の主導権を握り続けることが、体制が生き残るための切り札です。あと半日でどこまで交渉が進むのか。緊迫した状況が続くものとみられます」
