7日の参議院予算委員会で、立憲民主党の田名部匡代議員が、入れ歯の国内生産が厳しくなりつつある問題を取り上げた。
田名部議員は、「歯科にまつわる問題として歯科技工士不足があります。入れ歯などの製作期間の長期化や品質低下など、入れ歯難民問題が一層深刻化するのではないかという指摘があります。地域によっては供給体制が崩壊しかねない状況との声もありますけれども、総理はこの問題についてご認識されておりましたでしょうか」と質問。
高市早苗総理は「非常にすぐれた、世界でも多分トップレベルに近いと思われる歯科技工の技術を持った会社も存在しております。ただ全てがそういう状況ではなくて歯科技工士不足もある。そして海外にこれまで発注していたような例があって、質の悪いもの、歯に入れるもので入れ歯なども含めて、出回っているという状況もあるという強い問題意識を持っております」と答えた。
田名部議員は「今、中国は世界最大の歯科技工物生産量を誇る巨大市場となっていて、最先端設備を導入した大手技工所に世界から依頼が集まっているともいわれています。一方で日本の歯科技工技術っていうのは国際的にも大変高い評価を受けており、世界トップクラスの水準にあると私も思っています。ですからこの基盤をしっかり維持していくということは大事だと思うんですね。しかしながら歯科技工士の低賃金・長時間労働が固定化して、歯科技工士の処遇が大変厳しい状況に置かれています。人材不足が深刻化、そして実際に歯科技工士は2024年末で3万1733人、65歳以上が最も多い年齢階級となっていてこれは大変な問題ではないかと思う」と話したところで、手をあげた上野賢一郎厚生労働大臣に気づき、「まだ質問していないですが、手があがっています」と指摘すると、議場は笑いに包まれた。
「どのように認識されどのように対応されるのか」と問われた上野大臣は、「現在歯科技工士全体として減少傾向にある中で、特に若手の歯科技工士の方が減少しています。担い手の高齢化が進展しているわけです。また働く環境もお示しをいただいたように大変厳しいものがあると承知をしています」との認識を示した。
そのうえで対策として、「厚労省では例えば主に若手の歯科技工士さんを対象といたしました離職防止や資質向上のための研修事業を実施しています。また診療報酬改定におきましても費用の適正な評価等を行うとともに、やはり処遇改善をしっかりやっていく必要がありますので、歯科技工士ベースアップ支援料、これを新設しました。こうしたものを活用していただいて処遇改善をしっかりと取り組んでいきたいと思いますし、人材確保につきましても私ども相当意識を持って取り組ませていただきたい」と述べた。
田名部議員はさらに、「併せてデジタル技術の活用も進められていますが、これ導入コストが非常に過大なのではないかと思うんですね。高額な設備投資が中小の技工所にとって大きな負担となって、結局このままでは大手への集中、また地方の技工所の縮小、さらには海外委託の拡大が進む懸念もあると思います。こうした歯科技工士のデジタル人材育成、研修の充実さらに設備投資支援の必要性について政府の対応方針を伺います」と質問。
上野厚労大臣は「急速に今、デジタル化が進展をしておりまして、歯科技工士の分野におきまして非常に重要なものとなっていると承知をしています。厚労省におきましてはまず研修の中にデジタル技術指導を取り込んだ研修を実施をしております。また小規模・中規模の歯科技工所が連携をして機器等について共同利用できるようにしておりますので、そうしたものをしっかり活用していただければと思いますし、また中小企業庁の所管している事業の中で、施設整備等について応援できるものがあると聞いておりますので、そうしたものの活用につきましても厚労省としてしっかり後押しをしていきたい」と答えた。
田名部議員は「歯の健康は非常に重要です。しっかり取り組んでいただきたいと思います。今後国民会議でも議論されることになると思いますけど、患者負担の増加、これに頼るのではなくて、社会保障の財源のあり方を含めた中長期的な財源確保をどうするのか結論が急がれると思いますので、政府としての取り組みに期待したいと思います」と述べて質疑を終了した。(ABEMA TIMES)
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