
高齢化が進む東京都内のマンモス団地で、仕事をリタイアした住民による送迎サービスが注目されています。買い物に出かけるのが難しい人たちの足として、日々奮闘しています。
三輪自転車で商店街へ
東南アジアで活躍するトゥクトゥクのような見た目の乗り物が、団地の一角を颯爽と駆け抜けていきます。
東京・武蔵村山市にある「都営村山団地」。三輪自転車を使った無料送迎サービスです。
送迎スタッフ
「じゃあお願いします」
利用者(70代)
「風がありますね」
運転手(84)
「きょうは風が強い」
利用者(70代)
「風がなきゃいいんだけどね」
何気ない日常会話。利用者も運転手も村山団地に住んでいる高齢者です。
利用者(70代)
「パーキンソン病のようなものでね。足がふらふらしちゃうので助かりますね。こういうのあると」
「(Q.一人で歩いてくるとなると?)大変です、結構重たいので」
高齢団地の“買い物困難者”
1966年に完成した「村山団地」。およそ55ヘクタールの敷地に5260戸が建設され、都内最大級の都営団地として入居が始まりました。
団地の誕生と同時にスタートした「中央商店街」。1981年に開催されたイベントには、あふれんばかりの大勢の子どもたちの姿がありました。
商店街の肉屋 店主
「(当時は)若い人が多いから。入居してきた人が。子どももたくさんいるから、ここから向こうの商店の品物が見えないくらい、子どもで」
それから半世紀以上が経ち、あのころの子ども世代もリタイア間近です。現在、団地に住む65歳以上の高齢者はおよそ53%(2019年時点)に達していて、超高齢化が進んでいます。
顧客の中心が年金生活を送る高齢者になったことで、商店街の売り上げも落ち込みました。さらに…。
村山団地中央商店会 下田浩司会長
「団地の建て替えで、近隣の人たちがかなり遠くになった。遠くになったことと高齢もあるので、だんだん買い物が大変になったことで、送迎自転車というものを始めた」
住宅の老朽化による建て替えで、商店街から距離が離れてしまう人も続出し、足腰が弱った高齢者は、より買い物が困難になりました。
そんな“高齢者の足”となるべく始めたのが無料送迎サービスです。今では月に70~80人以上が利用、診療所への送り迎えも行っていて、団地に住む高齢者のライフラインとなっています。
ボランティアが無料で送迎
利用者(85)
「一人でも買い物が好きだからいっぱい買っちゃう。食べることしかないから」
冗談交じりに笑い話をするのも楽しみの一つ。移動中も笑顔が絶えません。
運転手(81)
「大丈夫?」
利用者(80代)
「大丈夫、ありがとう」
運転手(81)
「じゃあまたね」
日常生活の大変さもよく分かる、同じ高齢者だからこそ、助け合いを大切にしています。
運転手(81)
「どうしても(腰が曲がるので)乗り降りするのが大変。大げさにするといけないので、手をあんまり貸さないようにはしてる」
運転手の多くは、かつて商店街で働いていた高齢者です。退職後「商店街に恩返しがしたい」という思いから、ボランティアを自ら買って出て、送迎サービスを行っています。
運転手(81)
「客から『ありがとう、また頼むね』と言われることが一番うれしい。また一生懸命やって、みんなの役に立てばいいかな」
「人生100年と言うけど、100年にはあと20年ぐらいあるので、なんとか頑張らないと」
村山団地の取り組みを視察にきた自治体は、これまでにおよそ100件。同じく“買い物困難者”に悩む全国のニュータウンで、送迎サービスが広がっています。
(2026年4月21日放送分より)
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