
アメリカとイランの2回目の協議は開催のめどが立たず、トランプ大統領は「停戦を延長する」と表明した。一方、イラン側は「時間稼ぎ」だと反発、軍事的対応を示唆している。
トランプ大統領が停戦延長を表明するなか、再協議の行方はどうなるのか。そして、強気の姿勢を崩さないイラン、停戦中に戦力を増強させたと主張している。
副大統領がパキスタン訪問延期
行われる予定だったアメリカとイランの再協議が、なぜまだ行われていないのか、その理由を見ていく。
アメリカとイランは、仲介国パキスタンで協議予定だったが、ニューヨーク・タイムズによると、アメリカの交渉案にイランが応じなかったため、アメリカのバンス副大統領らはパキスタン訪問を延期したという。
そもそもイランは協議への参加自体を否定していた。なぜか。
日本時間午前3時ごろ、イランのアラグチ外相は自身のSNSで「イランの港湾を封鎖することは戦争行為であり、停戦協定の違反である。商船を攻撃し、その乗組員を人質にとることは、さらに重大な違反だ」としてアメリカによるホルムズ海峡の逆封鎖を強く批判した。
こうしたなか、トランプ大統領は日本時間午前5時すぎ、自身のSNSで「イラン政府は深刻な分裂状態にある」として、「イラン政府から提案が出され、協議が終了するまでの間、停戦を延長する」と表明し海上封鎖を継続するとしている。
停戦の期限は区切っておらず、協議がいつ行われるかも不透明な状況になっている。
核開発停止に新提案か
アメリカがイランに新たな提案を行っているという。イランは協議の席につくのか。それはイランの核開発を巡る問題だ。
FOXニュースはアメリカの当局者の話として、そもそもアメリカ側は1回目の協議で「譲れない」とする6つのレッドラインを示している。
その中身をみると、すべてのウラン濃縮の終了、核濃縮施設の解体、高濃縮ウランの回収など、半数がイランの核開発を止めるためのものだったと伝えている。
また、アメリカは核問題を巡る新たな提案を検討しているという。
CNNは複数の情報筋の話としてイランが高濃縮ウランをアメリカに引き渡す見返りに、アメリカ側は、凍結されたイラン資産のうちおよそ3兆円相当の凍結を解除するということを検討していると報じている。
トランプ大統領は核問題での進展に意欲を見せている。21日には自身のSNSで「我々がイランと進めているディール(取引)は『イラン核合意』よりもはるかに優れたものになるだろう」としている。
この「イラン核合意」は、2015年のオバマ政権下で結ばれたものだが、トランプ大統領は2018年、政権1期目の時にこの合意から離脱しており、21日に自身のSNSで「わが国の安全保障で史上最悪の合意の1つ」だとしている。そのため核問題ではこの合意を上回りたいと考えているという。
WSJ紙「虚勢の裏で恐怖心と格闘」
トランプ大統領の発言が揺れ動いている理由について、アメリカメディアはトランプ大統領の中にある恐怖心からだと伝えている。
ウォール・ストリート・ジャーナルはトランプ大統領が「虚勢の裏で、恐怖心と格闘している」と報じている。
トランプ大統領の側近などの話では戦闘の序盤、トランプ大統領は毎朝イラン全域の大規模な爆発映像を視聴し、アメリカ軍の軍事力に満足していたという。
ただ、イランがホルムズ海峡を封鎖するなどしてエネルギー価格が上昇すると「経済的な懸念を考慮すべきだ」と主張し、その一方で「戦闘は継続する」とも主張するなど態度を二転三転させたという。
また、先月下旬には交渉チームに対話を開始する方法を見つけるよう指示していたという。
さらにアメリカ軍の戦闘機が撃墜され、パイロット2人が行方不明になった際には、側近を怒鳴り散らしたといい、側近からトランプ大統領は恐怖心が高まっているように見えたという。
イラン、停戦中に軍備回復
アメリカと合意した2週間の停戦期間中に、イランは軍備を増強したと主張しています。
イランの革命防衛隊・航空宇宙部隊のムサビ司令官は19日、自身のSNSで現在の「ミサイルやドローンの補充スピードは、戦闘開始前を上回る」と主張しており「ニューヨーク・タイムズはイランのミサイル発射機の保有数がこの停戦中に戦闘開始前のおよそ6割まで回復した可能性があると報じている。
またアメリカの分析では、停戦後の数日間でイランは洞窟や地下の貯蔵施設からミサイルの発射機およそ100基を回収したといい、がれきに埋もれたミサイルを掘り起こせば、戦闘開始前の最大7割まで備蓄を取り戻せる可能性もあるとしている。
またウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに答えた革命防衛隊によると、高速攻撃艇やスピードボートの60%以上が無傷で残っているという。
革命防衛隊が実権掌握か
こうしたなか、革命防衛隊が交渉も含めてイランの実権を掌握していると指摘されている。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」によると、イランでは革命防衛隊のバヒディ司令官や軍の中央司令部のアブドラヒ司令官、そして革命防衛隊出身の最高安全保障委員会ゾルガドル事務局長などの影響力が増しており、軍事作戦だけでなく交渉プロセスもこうした人物が事実上掌握した可能性があると指摘している。
これまで革命防衛隊がこれほど外交や交渉に直接関与したことはなく異例の事態だと分析している。
(2026年4月22日放送分より)
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