
アメリカのトランプ大統領はイランとの再協議について、早ければ24日に行われる可能性を示したとアメリカメディアが報じている。
そんな中、戦闘終結のカギを握るイスラエルは、停戦中にレバノンを再攻撃した。
30年にわたり米国に計画提示?
まずは、戦闘が始まった背景について。注目してほしい1枚のイラストがある。
2018年にイスラエル政府が公表したこのイラストでは、イランを「タコ」で表現していて、イランの戦力構造について「オクトパス・ドクトリン(タコ理論)」を掲げている。
イラン政権を「タコの頭」に見立て、イランの支援を受ける各国の親イラン武装組織であるハマスやヒズボラ、フーシ派などを「タコの足」と位置づけた。
タコの頭であるイランを叩かない限り脅威は消えないとし、代理勢力だけではなくイラン政権を標的にすると掲げたものである。
BBC(先月12日)によると、イスラエルのネタニヤフ首相はおよそ30年にわたり、クリントン大統領をはじめとする歴代の米国大統領にイラン攻撃の計画を提示してきたが、歴代大統領はイランの封じ込めと抑止で十分だとして実現しなかった。
しかし、ニューヨーク・タイムズ(7日)によると、トランプ政権でその流れが変わった可能性があるという。2月11日、ネタニヤフ首相らがホワイトハウスを訪問し、「イランで政権交代の機運が高まっている」とトランプ大統領に戦争参加を促すプレゼンを行っていたと報じられている。関連は不明だが、この後2月28日にイラン攻撃が始まった。
こうした報道について、トランプ大統領は20日にSNSで「イスラエルが私をイランとの戦争で説得したことはない。3年前のハマスによる奇襲攻撃がイランに核兵器を持たせてはならないという私の信念を強固にした」と投稿し、イスラエルに説得されて攻撃した説を否定した。
「10日間の停戦」に条件も…
そして、イスラエルの攻撃に懸念が強まっている。アメリカは強気のイスラエルを止められるのだろうか。
7日、米国とイランが2週間の停戦に合意。すると24時間も経たないうちに、イスラエルは「レバノンは停戦合意に含まれない」として、レバノン全土を対象に最大規模の攻撃を行った。
その後、イスラエルは米国の仲介でレバノンと協議を行い、17日から「10日間の停戦」に合意した。
ただし、この合意には“ある条件”があったという。それは、イスラエルは停戦期間中でも「ヒズボラの攻撃に対し、自衛措置を取る権利」があるというもので、それを合意文書に明記したという。
17日、停戦合意を受け、トランプ大統領はSNSに「イスラエルは今後、レバノンを爆撃しないだろう。米国によって爆撃は禁止されている」と投稿。まるでトランプ大統領がイスラエルに号令したかのような投稿を行った。
しかし、アクシオス(17日)によると、この投稿に対し、イスラエル当局がアメリカ側に説明を求め、合意内容と矛盾すると強調。その後、アメリカ当局者がイスラエルに自衛権があると釈明する事態となった。
こうした中、20日に、イスラエルはレバノン南部でヒズボラを標的とした空爆を行った。
これまでは、どう抑えていた?
これまでアメリカは、イスラエルの攻撃をどのように抑えてきたのだろうか。
ウォール・ストリート・ジャーナル(2014年8月14日)によると、オバマ政権時の2014年8月、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への侵攻が起きたが、停戦への意見の違いや民間人被害の急増を受け、アメリカは翌月、イスラエルへの武器供与を停止した。
その後、8月26日にエジプトの仲介でイスラエルは停戦を受け入れ、それを合意文書に明記させたという。
他にも、アメリカがイスラエルへの武器供与を停止した例がある。
ワシントン・ポスト(2014年8月23日)によると、1975年にイスラエルがエジプト・イスラエル和平協定に関するアメリカの提案を拒否した際や、1981年にイスラエルがイラクの原子炉を空爆した際にも武器の供与を停止したという。
ただし、BBC(2024年5月10日)によると、アメリカはイスラエルに対し毎年38億ドル(約6000億円)の軍事支援を行うことが法律で決まっている。
新たな“火種”も
中東情勢を巡り、イスラエルとトルコの関係が悪化している。
地図を見ると、両国は国境が接しているわけではない。
トルコは面積78万平方キロメートルで、人口約8600万人。1952年にNATO(北大西洋条約機構)に加盟している。
一方、イスラエルは面積2万2000平方キロメートル、人口約990万人となっている。
トルコメディアのアナドル通信(10日)によると、エルドアン大統領は10日、イスラエルがパレスチナ人の囚人を対象とする死刑制度を導入したことについて「ヒトラーによるユダヤ人への残虐な政策と、イスラエル議会の決定との間に本質的な違いがあるのだろうか」と主張。
11日、これに対し、ネタニヤフ首相はSNSで「イスラエルはイランのテロ政権とその代理勢力と戦い続ける。クルド人を受け入れて虐殺するエルドアン氏とは違う」と、エルドアン政権が国内で対立している組織との紛争を引き合いに出して、痛烈に批判した。
トルコとイスラエルの緊張は、新たな火種となる可能性がある。
アメリカのアル・フーラ(18日)によると、イスラエルのベネット元首相は2月、「トルコは新たなイランだ」と主張。トルコはシリアで影響力を拡大し、さらに影響力を他地域全体に拡大しようとしていると説明した。
シリアでは、2024年に独裁政権のアサド政権が崩壊し暫定政権が統治しており、トルコはこの暫定政権を支援している。一方イスラエルは、シリアとの国境付近で暫定政権と軍事的に対立しているため、安全保障上の懸念となっている。
さらに、イスラム武装組織「ハマス」との関係も火種となっている。
2024年、アメリカは、ハマスを支援したとして、トルコに拠点を持つ支援者に制裁を科した。さらにフランスメディアのRFI(18日)によると、イスラエルもエルドアン大統領がテロ組織を支援していると非難している。
またRFI(18日)によると、トルコとイスラエルは、シリア国内に軍事拠点を置いているため、シリアが潜在的な紛争の火種だと指摘されている。
協定巡りEUが“分裂”
こうした中、EU(欧州連合)が、イスラエルとの協定を巡って分裂している。
タイムズ・オブ・イスラエル(21日)によると、EU外相会合でスペイン、アイルランド、スロベニアが自由貿易推進などを目的としたEU・イスラエル連合協定の停止を提案したが、イタリアとドイツが拒否したため成立しなかった。
(2026年4月23日放送分より)
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