NBAで戦うレイカーズ・八村塁選手(28)がシーズン中にもかかわらず、2時間のロングインタビューに答えてくれました。まだまだ伝えきれていないものがあります。今回お伝えするのは、これまで一度も語られていない、八村選手の思いです。
初めて語る空白の3カ月
今シーズンの八村選手を語るうえで印象的な試合があります。去年12月、同点で迎えた残り時間わずかの場面。チームメートも大興奮の劇的なスリーポイント。実はこのシュートは、試合を決める以上の大きな意味がありました。
パスを渡したのはレジェンド、レブロン・ジェームズ選手(41)、ここまで8得点。18年間出場したすべての試合で続けていた2桁得点記録を捨ててのアシスト。八村選手への信頼を示すプレーでした。
八村選手
「レイカーズに来てから、自分に何が必要なのか、NBAでどうやって生きていけるかというのも学びましたし、その中で自分の小さいことを見つけて楽しんでいくっていうのがレイカーズに来てからできました」
小さいことをどんどん見つけて楽しんでいく。レイカーズで充実した日々を送っているという八村選手。しかし、NBA3年目の2021年、楽しいという感覚とはかけ離れた知られざる出来事がありました。
八村選手
「コロナの時、そこが一番大変でした」
松岡修造さん
「もし嫌じゃなかったら…何があったんですか?」
八村選手
「バスケ以外何もやっていなかったので、家帰ってきても何をするか分かりませんでした。そういう時に自分で考え始めて。生きてる意味がないというか。何のために生きているのかって思い始めたんですね。ただ単に疲れていて、休憩が必要なんだと思っていました」
医師から受けた診断は、うつの状態などメンタルに関する症状でした。トップアスリートをも襲うメンタルヘルスの問題。八村選手も例外ではなかったのです。
症状は次第に悪化。練習にも参加できなくなり、3カ月間の休養を強いられることとなりました。
「一回、全部捨てようと思いました。そこでバスケも一回、捨ててしまいました。助け必要になって、セラピストと話して。そこで自分で理解し始めました」
「NBAに入ることが目標でした。その夢の後を考えていなかったんです。だから、そこで止まってしまった。そこまでの道のりが本当に大変でした。全部を捨てて、バスケを頑張ってきたので。トンネルビジョン(視野狭窄状態)ですよね。バスケしか集中しなかったので他がなくなりました」
「自分を理解すること」
NBAという大きな夢を抱いていたからこそ、その生活はバスケ一色でした。趣味も持たず、遊びもせず、そしてたどり着いたNBA。そんな夢をかなえたからこそ、その瞬間から心の異変は始まっていました。
八村選手
「一人でいるのが好きだったんですよ。周りに助けてもらうのもあまり好きじゃありませんでした。それが本当はダメで、良くなかったんです。人間関係が大事。人との接触がやっぱり大事。それがないと、どんどんロボット化していく」
松岡さん
「それが理解できて、どういう行動に移したんですか?」
八村選手
「家族をすぐアメリカに移して、友達も何人か移して」
松岡さん
「『来いよ』って!?」
八村選手
「『来いよ』って(笑)。犬も飼いました(笑)」
松岡さん
「犬好きなんですか?」
八村選手
「嫌いでした(笑)」
「今はもう大親友です」
休養した3カ月の間に環境を整えていった八村選手。そこで知らなかった自分を発見できたといいます。
「自分を理解すること。幼少期にやっていたことが、今やると僕の心に響く。例えば『グミが好き』とか。本当に小さいことですよね。小さいころしか食べていなかった。山にハイキングに行くのが好きだった。そういうのもやっていくうちに『こういうのが本当に好きだったんだ』『心に響くんだ』。そういう小さいことで治っていきました」
バスケ以外の「小さな好き」を見つけることで、人として生きる大事なことを取り戻していきました。
自分の気づきを未来へ
今、八村選手は世界最高峰のチームで充実の日々を送っています。さらに、これまでの経験や技術を伝えるため、日本の未来を担う子どもたちに向けても動き出しています。
八村選手
「自分がいつも大事にしているのは『バスケを楽しむ』。最終的には人生です。それがいつも考えていることです」
松岡さん
「バスケをあとどのくらいやりたい?」
八村選手
「NBAはまだ分からないですけど、海外でもバスケしたい。ヨーロッパとか」
松岡さん
「Bリーグっていうのはどういう捉え方なんですか? 」
八村選手
「もちろんいきますよ。いつか分からないですけど、やりますよ。(地元の)富山でプレーしたいっていうのもありますし、日本でやりたいっていうのはあります」
「誰でも起こり得ること」
小木逸平アナウンサー
「心を整えるために、ある種、当たり前というか、そういった日常生活が必要だった、重要だったということですね」
安藤萌々アナウンサー
「さらけ出すということも非常に勇気がいることなんじゃないかなと思いました」
松岡さん
「正直、ビックリしたんですよ、話を聞いていて。ここまで話すのかって。ここまでさらけ出すのかって。本当にありがたいと思いました。なぜなら、メンタルヘルスの不調というのは、アスリートに限ってではないです。誰にでも起こり得ること。八村選手が教えてくれたのは、まずは自分を理解する。そして、それは1人ではできないんだ、頼っていいんだって。八村選手が言うから、よりたくさんの人に届いたような気がするんですね」
大越健介キャスター
「人とのつながりを失ってしまったらロボット化していくという。だから犬も含めて、そうしたつながりを取り戻すことで自分自身を克服していった。本当に多くの人の心に響く言葉だったなと思いますね」
松岡さん
「だからこそ、八村選手はいつも笑顔なんですって。海外の記者に聞いたら、八村選手が行くとどこにでも笑顔がある。いろんな思いをしているからいつも笑顔なんですね」
(2026年4月22日放送分より)
