
イラン情勢の影響が水産業に広がってきています。静岡では最盛期を迎えたシラス漁に漁船が出られない状況です。ノルウェー産のサーモンの価格が高騰して仕入れを断念する鮮魚店も出てきています。
人気No.1サーモン 価格高騰
先の見えないイラン情勢の影響は広がり続けています。トロ、ウニ、イクラ。小田原漁港直送のアジなど新鮮な魚介を出す回転寿司店。特に人気なのが…。
60代
「しっかり魚の脂もありながらも、軽くて値段もカジュアル、お安めなのが気に入っています」
脂の甘みに、とろける食感。老若男女みんな大好きな「サーモン」です。
大手食品会社の調査でサーモンは、回転寿司店でよく食べるネタ15年連続の1位!
こちらの店でも一番人気のサーモン握りのほか、照焼サーモンや、オニオンサーモンなどサーモンだけで8つのメニューをそろえ主力商品の一つだといいます。
店で使っているサーモンを見せてもらいました。
独楽寿司 大和本店 渡邊玲登店長
「ノルウェー産ですね、けさ届きました」
ノルウェーから空輸された新鮮なサーモン。今、ある異変が…。
これまでノルウェー産サーモンは中東・ドバイを経由し日本へ輸入されていました。
ところが、イラン情勢の悪化で距離が長い北米経由のルートに変更を強いられることに。輸送コストが上がりサーモンの仕入れ値が1割ほど上昇したといいます。
渡邊店長
「(Q.1カ月どれくらいのサーモンを使用?)会社全体で(ノルウェー産サーモンを)2トンくらい使っています。月に40万円ぐらい上がりますね」
イラン情勢が悪化する前、1カ月分のサーモン2トンの仕入れ値はおよそ400万円でしたが、現在はおよそ440万円に上がったといいます。
値上げを検討せざるを得ない状況ですが来店した客は…。
30代
「小さいころから食べていたメニュー。すごく身近な魚。(高くなったら)ちょっと食べないかもしれない」
70代
「(価格が)上がるってことはツライよね」
「(Q.どれぐらいツライ?)大谷がホームラン打たない時くらいツライよね」
渡邊店長
「サーモンは人気商品なので、値上げしてしまうとお客さんが離れてしまう。すぐに価格転嫁できないというところで我慢するしかないのかな」
値段の“逆転現象”
輸入サーモンの価格上昇は鮮魚店にも…。
千葉の鮮魚店では、これまで刺し身用のサーモンはノルウェー産を扱っていましたが、売り場に並ぶのは静岡県産。お値段は100グラム486円。今この店で扱っている刺し身用のサーモンはすべて国産。輸入物はありません。
石毛魚類千城台本店 山田昌央店長
「2月の頭ぐらいだと(ノルウェー産を)100グラム398円(税抜き)で販売。(戦争が始まってから)やっぱり数が入ってこないから、仕入れるほうも結構大変ですよね」
2月上旬の段階では、ノルウェー産のサーモンの値段は100グラム429円。しかし、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃を境に仕入れの量が減り、価格も高騰。
店頭価格が100グラム600円以上とこれまでの1.5倍となってしまうため、仕入れを断念しました。
山田店長
「その後にチリ産のサーモンも仕入れたんだけど、そちら(チリ産)の方も上がってきてしまったので…」
チリ産のサーモンも需要の高まりと輸送コストの上昇ですぐに値上がり。ノルウェー産と同じように600円を超える価格に…。
山田店長
「もともとは(国産は)高かったですよ。だけど今は輸入のサーモンの方が超えてきちゃったって感じ」
イラン情勢の悪化に伴い、もともとは安かった輸入もののサーモンが、国産よりも値段が高くなる“逆転現象”が起きたのです。
山田店長
「(国産サーモンの)引き合いが強くなったら奪い合いみたいになっちゃう、(値段が)上がっちゃうかもしれないですね。(この状況が)早く終わってほしいです、それだけです」
燃料不足で出漁制限も
船から水揚げされたのは今が旬のシラス。とれたての新鮮なシラスは透明感があり身がしまってプリッとした食感が特徴です。
仲買人
「(Q.いかがですか?)めっちゃいいです。プリプリです」
イラン情勢は、この旬の味覚にも暗い影を落としています。
静岡県の御前崎港。3月から始まったシラス漁は去年の同時期に比べおよそ2倍の水揚げ量と順調な滑り出しだったのですが4月に入ると、船の燃料となる「軽油」が調達できない事態に。
燃料不足のため通常は週6日行うシラス漁を、やむなく週2日に制限することに。
漁師
「シラスがいて燃料の関係で(漁に)出られないのは、稼げる時に稼がないと商売が大変なので悲しい」
シーズンが始まったばかりでの燃料不足に漁師たちも頭を抱えていましたが、23日、港を訪れると一時的に軽油が調達できたため、漁の制限が解除。
こちらは船の燃料となる「軽油」と、釜揚げなどシラスの加工に使う「重油」のタンク。それぞれ200キロリットルを貯蔵することができます。2週間前は5分の1ほどの量にまで減ってしまっていましたが…。
南駿河湾漁業協同組合 松井功課長
「(Q.今は残りどれくらい?)70キロリットルほど」
一時的に補充はできていますがまだ半分にも満たない量です。御前崎港にあるもう1カ所の軽油のタンクでも補給作業が行われていました。軽油を運ぶドライバーに話を聞くと…。
液体運送業者 大井川輸送
「通常通り(油は)戻っていない。少ない。この先、油が入ってこないと運びたくても運べない。それが心配」
飲食店 シラス入荷に不安
地元の運送会社は仕事が減り閑古鳥が鳴く状態。漁師たちも…。
漁師
「来月分はあとは(中東の)情勢次第。いつもより燃料をおさえるようにゆっくり走ったり」
漁師
「油がないと出られないのでそこで終わっちゃう、漁があっても出られないと困る」
シラスがとれるこの時期に漁に出られなければ漁師にとっては死活問題です。
さらに、燃料不足はシラスの取引価格にも影響を与えています。
3月の漁の初日には1カゴ30キロで2万円~3万円程度だったものが、燃料不足による出漁制限の時には6万円以上で取引されるものも。
仲買人
「(出漁制限がかかり)水揚げが少なくなれば値段は上がる。そうなってもらいたくない。本当に今後どうなるのか」
地元の料理店でもゴールデンウィークを控え看板メニューのシラスの入荷に不安を抱えていました。
御前崎レストランたわら屋 曽根弘生取締役
「まだ影響はないんですけど、ゴールデンウィークにむかってどうなるか不安。シラスの価格に関わってくるのでそこは不安です」
(2026年4月24日放送分より)
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