
観光地では、外国人観光客などと地元住民で差をつける「二重価格」というものの導入が進んでいます。ただ一部では不満の声も出てきています。
【画像】最大で1万円 オーバーツーリズム対策で宿泊税引き上げ
市バスが二重価格検討
世界中から訪れる観光客でにぎわう京都。深刻なのが“オーバーツーリズム問題”です。
京都市では、市民の足の市バスが大混雑。市民生活に大きな支障が出ています。
バスを利用する大学生
「(バスが)混みすぎて乗れなくて遅刻しそうになったり」
京都市民
「窒息死するんちゃうかなぐらいの」
アメリカからの観光客は、こう話します。
「(バスは)京都のほうがニューヨークより混んでいます」
「(Q.バスを使おうと思うか?)あんなに混んでいるバスは乗らないよ」
「私も無理だわ」
京都市では問題解決のため、全国初となるバス運賃の“二重価格”導入が検討されています。
松井孝治京都市長
「市民と非市民で価格について識別する。観光の果実が京都市民にとっても実感できる」
国内ではすでに“二重価格”をスタートさせた世界遺産もあります。
窓口
「(姫路)市民の方は1000円。(市民以外の)一般の方は2500円」
バス大混雑に市民困惑
平日の午前8時、まさに通勤・通学ラッシュとなる時間の京都駅では、日常生活でバスを利用する市民と観光客が入り乱れる混沌(こんとん)とした光景が広がっていました。
特に混雑するのは、清水寺・祇園方面へ向かうバスです。
乗り切れない人もいる中、その間にも列は伸びていき、あっという間に長くなります。
市は観光客に電車や地下鉄の利用を呼び掛けていますが、清水寺周辺には電車や地下鉄の駅がないため、バスを利用する観光客が集中するといいます。
京都市民 30代女性
「観光客の方が多い。結構、無理やりギューギューで乗ってきはるんで、足浮きそうです。入ってくる人のキャリーとかの荷物が多いんで。場所を確保するのが一番大変かもしれません。窒息死するんちゃうかなぐらいの」
京都市民
「スーツケースって大きいのが多いので、見送ることもちょっとずつあったりします。やっぱり、どうしても市民の足だと思うので、市バスに関してちょっと結構狭い思いするのは、ちょっと窮屈だなとは思ったりします」
バスロータリーにはキャリーケースの持ち込み禁止の看板が設置されていますが、中には小さめのキャリーケースを持ち込んでしまう観光客もいるそうです。
さらに、市バスの混雑は京都駅以外でも…。次の烏丸七条にも、狭い歩道にバスの利用客が列をなしていました。
数人を残し、再びバスは出発。そして、降りる乗客がいない限り、途中のバス停からは、バスに乗ることはできなくなりました。
慢性的に市バスの混雑が続く京都。そのしわ寄せを受けるのもまた、地元に住む市民です。
京都市民
「大学でよくバスを使うんですけど、混みすぎて乗れなくて遅刻しそうになったり、ちょっと困った時はあります。あと、バスに乗れなくても歩いて行くっていう場合も全然あります」
京都市民
「日常的に使いますけど、やっぱりその場所によっては乗れなかったり、バスを何度か見送ったことがあります。待つか、違う(路線の)バス停まで歩いていくとかで、少しでもちょっと回避して行くっていうふうにして」
現状、ゴールデンウィークなど混雑が予想される期間は、人気観光名所への臨時直通便を設けていますが、新たに検討されているのが「市民優先料金」。いわゆる“二重価格”です。
現在は市中心部で均一運賃230円のところを、市民以外を最大350~400円に値上げし、市民は200円に値下げる方向で検討しています。
来年度には導入する予定で、値上げにより市民への割引の原資にあてるほか、市バスの運転手不足を解消するため人件費や高騰する燃料費を確保するといいます。
世界遺産でも二重価格導入
一方、すでに“二重価格”を導入した観光地もあります。年間およそ153万人が訪れる世界遺産「姫路城」です。海外での評価も高く、年間来場者の3割以上、およそ55万人が海外からの観光客です。
先月1日から18歳以上の入城料を姫路市民か市民以外かで料金に差をつける、いわゆる“二重価格”を導入しました。
兵庫県内から来た女性2人組の1人は姫路市民ですが、もう1人は神戸市から遊びに来ました。
姫路市民
「姫路市民です。(もう1人)姫路市民じゃない人と一緒に行こうとして」
姫路市民の場合、窓口で運転免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きの証明書を提示することで“割引価格”が適用されます。
チケット売り場の担当者
「じゃあ市民の方は1000円で(市民以外の)一般の方は2500円です」
姫路市民の女性は1000円ですが、神戸市民の女性は2500円。同じ兵庫県民ですが、料金は2.5倍もの差がつきました。
神戸市からの客
「いやぁ、高いとは思いましたね。(料金が)倍以上違うから、海外の人とかだったらいいかなと思うんですけど」
一方で“割引”を受けられなかった市民もいます。
姫路市民
「姫路市民なんですけど」
男性が窓口に提示したのは、姫路市内の自宅に届いたはがきです。
チケット売り場の担当者
「(確認は)免許証かマイナンバーカードのみになる。はがきでは対応できない」
男性は運転免許証を提示しますが、現住所が更新されておらず“市民割引”が認められませんでした。
結局、男性はチケットの購入を断念しました。
チケット購入を断念した姫路市民
「(Q.この後どうする?)娘たちをどっか連れて行きます。別のところに」
姫路市の試算によると、姫路城の維持管理費などに10年間で約280億円かかるとされます。
入城料の見直しにより見込まれる年間およそ10億円の増収を、その財源にあてる計画です。
この“二重価格”に姫路市民以外の兵庫県民からは、不満の声が上がっています。
神戸市からの客
「もっと早く来ればよかったと思いましたけどね。(値上げが)3月からやったから」
「ずるいです」
「(Q.同じ兵庫県民として?)そうですね。(料金の)格差がちょっとありすぎる」
一方で、県外からの観光客は“二重価格”に理解を示す声が聞かれました。
愛知県からの客
「せっかくなので、そこ(料金)は気にせず旅行ということで来ました」
石川県からの客
「姫路城の管理とかもしなくちゃいけないし、それ(二重価格)で良いと思います」
京都府からの客
「仕方がないんじゃないですか。市民税を納めているわけじゃないし」
“二重価格”が導入された先月。日本人の入城者数は前年と比べおよそ2割減ったものの、収益は1億4000万円ほどの増収になったということです。
宿泊税も引き上げ
観光地で進む“オーバーツーリズム対策”。その一環で京都市は先月、ホテルの利用者に課す宿泊税を引き上げました。
1人1泊あたりの宿泊料金が6000円以上2万円未満の場合は宿泊税が400円。最大で1万円の宿泊税になるケースもあります。
ホテル京都エミナース 森昭雄支配人
「京都市に住む方々と共存をしていくなかで、必要な整備するためのお金をお客様に税金としてご負担いただくということは、今後も考えていかなきゃいけないと思っています」
一方、ホテル側は今後さらに宿泊税が引き上がると、客足が他の地域に流れてしまうことを不安視しています。
「これ(宿泊税)が極端に上がってしまうと、お客様が宿泊先として京都を選ばずに滋賀の大津であったり大阪のホテルを選ばれるのが一番の懸念」
(2026年4月28日放送分より)
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