
北海道の旭山動物園の焼却炉で妻の遺体を燃やしたという趣旨の供述をしている職員(30代)の自宅では、28日も警察が家宅捜索を行いました。
【画像】園内の車両を捜査“焼却炉に遺棄”職員宅の捜索続く 裏付けの証拠集めのポイントは

こうしたなか、動物園を運営する旭川市の市長が臨時会見を開き、今シーズンの動物園の開園を29日から来月1日に延期すると発表しました。

旭川市 今津寛介市長
「職員が警察の事情聴取を受けるという重大な事態が発生し、市民、全国の皆さまに多大なるご心配と、ご迷惑をおかけしたことに対し、改めて、心から深くお詫びを申し上げるところであります。さまざまな職員が事情聴取される事態でありますので、大きな負担となっているのは間違いない事実です」
市は、この2日間について、園内の飲食店や売店の食材費や、人件費を補償すると説明しました。
影響は、園の外にも広がっています。

上野ファーム 上野砂由紀代表
「非常に痛ましい事件が起きて、旭川のシンボルでもある動物園なので、ショックはすごく大きかったです。例年だと、旭山動物園を見て、その流れで『花も見て帰ろう』と。GWだったら、2割か、もう少しぐらいのお客さまが、その流れで来るので、もし動物園に行かないとなったときに、どうなるのかなと心配はある」
家宅捜索は3日目。

夫婦を知る近隣住人
「(Q.妻の印象は)とっても良い人。明るくて、テンションが高い人で、何でも喜んでくれて。夫は落ち着いたような感じの人」
夫婦を知る近隣住人
「すごく仲良くしていました。火事のときも、すごい寄り添って、犬連れて外に避難してきましたし。仲が悪かったりする感じは、見たことがないです」
ただ、30代の妻が行方不明になって以降、男性は、近所に不自然な説明をしていました。

夫婦を知る近隣住人
「『母さん(妻)はどうしたの』と聞くと『東京に行った』と。『まだ帰って来ないのか。嘘をついているのではないか。入院しているのではないか』と言うと、『入院してないよ』と。それ以上のことは聞かなかったが、違和感はあった」

捜査関係者によりますと、妻の関係者が、妻と連絡が取れなくなったのは、先月下旬のこと。23日、妻の関係者からの安否確認を求める通報がきっかけで、警察が男性に対して任意の聴取を始めました。これまでの調べに「妻の遺体を、動物園の焼却炉に遺棄して、数時間にわたって燃やした」という趣旨の供述をしています。
動物園の正門から最も遠いエリアにある焼却炉。一般の人は、立ち入れません。

さらに、捜査関係者によりますと、男性は「残らないよう、燃やし尽くしてやる」と、妻を脅していたということです。
妻の殺害についても、ほのめかしているといいますが、2人にどんなトラブルがあったのか、明らかになっていません。
警察は、園内で使用されていた軽トラックとワゴン車を、連日、入念に調べています。これらの車両が妻の遺棄に使われた可能性があるとみていて、DNAや血痕など、容疑の裏付けにつながる証拠を集めています。

動物園の出入り業者
「(園内を)普通に走ってますから、誰が見ても不自然ではないです。のぞきこんで、何積んでるなんて、多分、見ないでしょうし」
◆現在の捜査の状況について、兵庫県警で刑事部長などを務めた棚瀬誠さんに聞きました。

棚瀬さんは「遺棄の最大の証拠となる遺体が発見されていないので、現状、死亡した事実や死因が特定できていない。“焼却炉で燃やした”などという男性職員の話が、本当かどうかの裏付けもできていない。そもそも“犯罪が起きているのか”という点から、立証する必要がある」と指摘します。
◆犯罪の立証のために、どのような証拠を集める必要があるのでしょうか。

棚瀬さんは「妻と特定できないかもしれないが、焼却炉の中の灰から人骨の一部や、身に着けていたものを特定するなど、人間が焼かれたという証拠を探す。男性職員の話の裏付けにもなり、捜査はかなり前進する」と話します。
ただ、この焼却炉は、旭山動物園の元職員によりますと、動物の死骸を処理するための施設で、ウイルスや菌を死滅させるため、骨が残らないほどまでに焼却するとのことです。

焼却炉の中から痕跡が見つからない可能性もありますが、ほかにもこのような捜査で証拠を探すといいます。
焼却炉の入り口に血痕などがついていないか。焼却炉周辺の防犯カメラに男性職員が映っていないかどうか。自宅・押収した車から、遺棄に使った道具(ブルーシートなど)があるか。ドライブレコ―ダー・スマートフォンで男性職員の行動履歴を調べる。妻は市の職員ではないので、妻が乗るはずのない動物園の車から血痕や毛髪など痕跡を探している可能性があるということです。
棚瀬さんは「男性職員の話を裏付けるような証拠を積み上げていく捜査を進める必要があるが、遺体がない場合、相当な時間がかかる」としています。
