
中東情勢の緊迫化を受けて、日本は原油の代替輸送ルートを模索している。一方で、ホルムズ海峡を巡って有志国が連携を強めていて、日本も関与する姿勢を示している。
【画像】産油国の足並みに乱れか UAEがOPEC脱退へ 理由は?
出光「安全上、答えられない」
まずは、28日に入ってきたホルムズ海峡の船舶に関する新たな情報について見ていく。
新たに日本関係船舶1隻がホルムズ海峡を通過したという。
イランのタスニム通信は、出光タンカーが所有する超大型原油タンカーがイラン側と調整のうえ、ホルムズ海峡を通過していると報じている。
この報道について親会社の出光興産は「安全上の観点から答えられない」としている。
高市総理、各国トップと電話会談
依然、多くの船舶が残される中、高市政権が拡大してきた原油の新たな調達先について見ていく。
高市早苗総理大臣はホルムズ海峡に代わるルートを確保してきたという。
高市総理は24日、来月の原油調達量について、必要量の約6割をホルムズ海峡以外から代替調達で確保できるめどが立ったと説明している。
では実際どこから、どのように調達するのか。日本の原油輸入量の約4割を占めるサウジアラビアの紅海を通るルートについて見ていく。
ジェトロによると、サウジアラビアは東部の油田地帯から東西パイプラインを通じて紅海沿岸にあるヤンブー港に原油を送り、そこから紅海を通る形で原油を輸出している。
ロイター通信によると、この東西パイプラインは今月8日にイランの攻撃を受けて損傷していたというが、ジェトロによると、現在は復旧し、一日最大700万バレルの原油を輸送している。
ここから日本も原油を輸入していて、高市総理は23日、サウジアラビアのムハンマド皇太子と電話会談を行った際に代替輸送への感謝を伝えるとともに、供給の拡大も要請し、ムハンマド皇太子もこの要請に前向きな回答だったという。
また、高市総理は北米からのルートも模索してきた。この他、高市総理は原油の調達に向けて、アメリカ以外の国とも対話を行っている。
メキシコのシェインバウム大統領は高市総理と電話会談を行い、「日本に原油100万バレルを輸出することで合意した」と明かしている。
カナダのカーニー首相とも電話会談した高市総理は、エネルギーなどの安定供給に向けてカナダと日本の間に「経済安全保障対話」を新設することで合意したという。
さらに中央アジアからのルートも模索しているという。
高市総理は先月23日の参議院本会議で、原油の代替輸入先として「中央アジアも候補だ」と話している。
中央アジア産の原油について、2024年時点でカザフスタンは一日約184万バレル生産していて、アゼルバイジャンは一日約60万バレルの原油を生産している。日本は過去に中央アジア産の原油を調達した実績はあるが、主にヨーロッパに販売されてきた。
日本に運ぶルートについては、黒海から地中海に出て喜望峰を通るルートなどがあるが、日本に輸送するのに50日以上かかるといい、ホルムズ海峡ルートの2倍以上の期間がかかるという。
UAEがOPEC脱退へ
そんな中、産油国の足並みが乱れる可能性が指摘されている。
日本時間の28日夜、UAE(アラブ首長国連邦)がOPEC(石油輸出国機構)から脱退すると発表した。
ブルームバーグによると、UAEのエネルギー省は28日付の声明の中で、OPECとOPECプラスの枠組みから来月1日に脱退すると発表した。
OPEC加盟国は、原油価格の維持や供給の安定化のために原油の生産量を調整してきたが、かねてからUAEは「原油の生産能力を増強したい」と考えていて、ここ数年サウジアラビアとはOPECの会合で対立してきたという。
UAEは今回の脱退について、国益や市場の差し迫った需要に効果的に対応するためのものだとしていて、生産を段階的に増やす方針だという。
戦闘終結後にらみ有志国が協議
ホルムズ海峡を巡って高市総理は活発な外交を展開している。今月に入って、フランスやUAE、ベトナムなど、ヨーロッパ、中東、アジアなど幅広い地域の首脳との意見交換を進めている。
また、当事国や仲介国にも働きかけていて、8日にはイランのペゼシュキアン大統領と、13日にはパキスタンのシャリフ首相と電話会談を行い、事態の早期沈静化を呼びかけた。
さらに15日にはアジア太平洋諸国のエネルギー調達を支援するため約1兆6000億円の金融協力を実施すると表明し、「アジア各国のサプライチェーンを支えることが、日本経済の強化にもつながる」とその意義を強調している。
またホルムズ海峡を巡っては戦闘終結後を見据えた動きも強まっている。
17日、パリでホルムズ海峡を巡る有志国による首脳会合が行われ、フランスやイギリス、ドイツ、イタリアなど約50カ国の首脳らが出席した。高市総理は参加しなかったがメッセージを送ったという。
その後、イギリスのスターマー首相は、戦闘終結後にホルムズ海峡を通航する船舶の安全確保や機雷除去のために多国籍部隊を結成すると表明。すでに10カ国以上が参加を申し出ているという。日本はこの多国籍部隊に参加するかは明らかにしてはいない。
(2026年4月29日放送分より)
この記事の画像一覧
