
世界の石油の秩序に亀裂が生じる事態に発展する中、日本の超大型原油タンカーがホルムズ海峡を通過しました。イラン側は、70年以上前の出来事を振り返り、「長きにわたる友情の証しだ」とコメントしました。
【画像】直前までせめぎあいか 突然、右に90度方向を変える出光丸
「出光丸」ホルムズ海峡通過
トランプ大統領のSNSから
「もういい人はやめます」
イランを思わせる背景で銃を手にしているのは、アメリカのトランプ大統領です。爆発する街を描いた画像とともに「イランはまともな対応ができない」と、強い言葉で批判しました。
不安定な状況が続く中、日本時間29日未明、ホルムズ海峡を通過し、62日ぶりに脱出した出光興産の原油タンカー「出光丸」。ホルムズ海峡への進入が確実になったのは、午後1時半ごろでした。
東京大学大学院 渡邉英徳教授
「ここでカクッと90度」
確かに船は突然、右に90度方向を変え、問題の海峡へ向かっています。
「直前までせめぎあいがあったのではないか。突然オマーン行きに切り替わるということも起きていたので、ギリギリまで調整が続いて『GO』になったのが、この90度曲がったタイミングだったのではないか」
イラン「友情の証し」
そのまま通過を果たした「出光丸」。この直後、駐日イラン大使館がSNSに投稿したのは、およそ70年前の「日章丸事件」についてでした。
「1953年に行った歴史的な任務は、両国間の長きにわたる友情の証しであり、そのレガシーは今日においても極めて大きな意義を持ち続けています」
戦後、イギリスがイランの石油に経済制裁をかけていた時代。出光興産の創業者・出光佐三氏は、日本政府の意向に反してタンカー「日章丸」を派遣し、イランから原油を輸入しました。
出光氏の決断で実現したこの「日章丸事件」は、イラン国民を沸き立たせ、日本とイランの親密な関係を象徴する出来事として語り継がれています。
今回は日本政府も交渉に関わったとみられますが、渡邉氏は、こう評価します。
「(29日が)昭和の日なんですね。この『日章丸事件』は昭和を代表する事件でもある。日付であったり、出光のタンカーであったり、構図がこの『日章丸事件』の時と類似していることを考えると、政治的に“バランスの取れた通過”だったと思えてきます」
日本との歴史的なつながりをアピールし、「出光丸」の通過を認めたイラン。ホルムズ海峡を掌握していることを印象づける狙いなのか、それとも停戦に向けた一歩なのでしょうか。
29日午前3時時点で、「出光丸」の目的地は「名古屋」と表示されていて、到着は来月中旬と予測されています。
(2026年4月30日放送分より)
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