
少子高齢化の中でも、これまでにない勢いで拡大しているおもちゃ市場。市場拡大を押し上げているのは「キダルト」と呼ばれる、大人の購入層の存在だった。
【画像】「TOY-1グランプリ」キダルト部門で見事1位に輝いた商品の販売会社
市場は2年連続1兆円超え
会社員 40代
「大人になって、お金に余裕ができたので、すごく大人買いをしてしまっている」
接客業 50代
「自分の身の回りに自分がハッピーになれるものを置きたい」
おもちゃは子どものもの、なんて話はもう昔のこと。今、世代を超えて大人たちも夢中にさせている。
そんなおもちゃ市場の最新トレンドが分かる見本市が開催され、およそ5000点が展示された。
株式会社リリック 加藤由紀氏
「平成を生き抜いてきた女性たちをターゲットにしたガラケーのカメラになります。画質をあえて低画質にしています」
少子高齢化に伴い縮小の懸念があったおもちゃ市場だが、規模は年々拡大している。2023年度、24年度と2年連続で、なんと1兆円を超えている。
市場拡大を支えているのが、「キダルト」と呼ばれる大人の経済力を武器にした購入層だ。「キッズ」と「アダルト」を組み合わせた造語で、子ども心を忘れない大人たちのこと。
見本市では、小売業者が選ぶ、今年何が一番売れるかを投票する「TOY-1グランプリ」を開催。キダルト部門で見事1位に輝いた商品の販売会社を取材した。
キダルト層“狙い撃ち”も
訪れたのは、東京都台東区にあるエポック社。野球盤などを手掛けるおもちゃメーカーだ。
エポック社初の女児向けおもちゃとして1985年に誕生したのが、シルバニアファミリーだ。「動物家族の森での暮らし」をテーマにスタートしたドールハウスシリーズ。
林美沙希アナウンサー
「(Q.ウサギ持っていました?)持っていました。こんなに大きかったですっけ?」
エポック社 マーケティング部ブランド担当
前美里氏
「サイズは発売当初から変わっていないんです」
林アナ
「あのころの記憶が、もう少し小さなイメージでした」
林アナも5歳くらいのころ、遊んでいたシルバニアファミリー。
林アナ
「こんなにたくさんの種類の動物はいましたか?」
前氏
「今は約50種類ぐらいのファミリーがシルバニア村には住んでおります。お子様もインターネットの環境が整って、いろいろな動物に触れることができるようになったので」
子どもをメインターゲットにスタートしたシルバニアファミリーだが、ドールハウスや中の家具の作り込みは細かく、まるでこの中で本当に暮らしているかのよう。
そんな、こだわりを詰め込んだまさに大人向けの商品が…。
林アナ
「こちらにも家がありますよね?」
前氏
「こちらはシルバニアファミリーのタウンシリーズというもので」
林アナ
「なんだか、先ほどの家よりも豪華な感じがする」
動物たちの街のデパートをモチーフにしたこちらのセット。細かい所まで作り込まれたクオリティーの高さで、キダルト層を狙い撃ち。
林アナ
「すごく豪華な感じじゃないですか。価格はどれくらいですか?」
前氏
「こちらで5万3000円となっております」
林アナ
「5万3000円ですか!?」
値段もお高めだが、自分へのご褒美などとして売れているという。
他の遊び方として、お気に入りを連れて出かけ写真を撮影し、SNSに投稿したり、衣装の着せ替えをしたりするなど、シルバニアを愛でる活動、通称“シル活”がキダルトたちの間で大人気だという。
前氏
「シルバニアファミリーのキダルト層の盛り上がりというのは、10年ほど前は自分がシルバニアファミリーで遊んでらした親御さんが、自分のお子さんと一緒にまた遊びたいとか、子どものころ買ってもらえなかったから、また子どもと一緒に遊びたいなという人が、親子2世代でシルバニアファミリーで遊び始めてくれるようになったんですけれども、それからしばらくして、大人の人が自分のために買うというのが今の流れですね」
時代に合わせて「2つ変化」
シルバニアファミリーの「赤い屋根の大きなお家」の中を小型カメラでのぞいてみると、かわいい洋服を着た人形や家具など、精巧に作られているのが分かる。
このシルバニアファミリーは1985年の発売以来、動物や家具などのサイズなど仕様を変更してこなかったそうだ。
その理由として、親から子へと受け継げるようにとの思いが込められているそうだ。
そして、発売から40年近くが経ち、ほとんどデザインやサイズなど変更せずに親しまれてきたシルバニアファミリーだが、実は時代とともに大きく変化したものが2つあるという。
1つ目の変化は「家電」だ。
例えば、1987年に発売された「洗たく大すきセット」は、時代に合わせて二層式洗濯機、そして現在は最新のドラム式洗濯機になっている。ちなみに掃除機もコードレス掃除機にアップデートされている。
そして、2つ目の変化は「服装」。
お母さんは、85年の初代からエプロンを着けていたが、2022年からはかわいらしいドレス姿も登場。これは“お母さんが家事をする”といった固定的なイメージを取り払うことを意識しているそうだ。
こうした世代を超えて楽しまれるおもちゃが今、改めて大人たちに強い人気を集める理由はどこにあるのか。
日本のカルチャーに詳しい経済ジャーナリストの渋谷和宏さんは「物価高や戦争など先行きが不透明で不安がぬぐえない時代の中で、おもちゃに対し、子どものころの楽しかった思い出やノスタルジーを感じるため、大人たちがすがりたい存在になっている」と分析している。
(2026年4月23日放送分より)
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