三重に希少動物の宝庫 「小さな動物園」再生物語 園長は野生動物飼育スペシャリスト

三重に希少動物の宝庫 「小さな動物園」再生物語 園長は野生動物飼育スペシャリスト
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 ゴールデンウィークに入り、全国の動物園では、春のベビーラッシュで生まれた赤ちゃんに会えるチャンス。番組では、物価高で苦しい中、再生を目指す三重県の「小さな動物園」を取材した。

【画像】「世界最古のネコ」と言われるマヌルネコなど希少な動物

大分・高崎山に赤ちゃんザル

 出産シーズンを迎えた大分市の高崎山自然動物園では、先月25日に飼育員が赤ちゃんを抱っこしたお母さんザルを見つけたという。

赤ちゃんを抱っこしたお母さんザル
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 静岡県の伊豆シャボテン動物公園でも、春先に生まれた赤ちゃんたちのお乳を飲むかわいらしい姿や、走り回る様子が見られる。

三重に希少動物の宝庫

 そして先月30日に番組が訪れたのは、三重県にある「ごかつら池どうぶつパーク」。おととし園長に就任した高橋文彦さん(50)に、およそ40種・250もの動物の中から“希少な動物”を案内してもらった。

「カラカルというネコの仲間です」
「房毛が特徴でして」

「ネコの仲間」カラカル
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 耳の先に付いている房毛は音をキャッチしやすくする役目があるという。カラカルは、インド北西部からアフリカの草原地帯や丘陵地帯に生息する。

「日本の動物園には、『ごかつら池どうぶつパーク』と『姫路市動物園』そこにもう1頭メスがいる。なので(日本には)その2頭しか今いない」

神奈川からの来園者(20代)
「やっぱり貴重なことだと思います。うれしいですね、実際に動いているところを生で見られるのは」

「世界最古のネコ」と言われるマヌルネコ
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 他にも「世界最古のネコ」と言われているマヌルネコや、「砂漠の天使」との異名を持つスナネコ。イワダヌキ目というグループに分類されるが、ゾウに近い仲間だと考えられているケープハイラックス。

「砂漠の天使」の異名を持つスナネコ
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 なぜ希少な動物を展示することになったのか?そこには、高橋園長の動物への深い思いが込められていた。

「小さな動物園」再生物語

 三重県にある「ごかつら池どうぶつパーク」は1993年にオープンした。

コロナ禍で来園者が激減
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 ゾウやトラなど大型の動物が人気を集めたが、年が経つにつれ寿命を迎え、施設も老朽化。目玉となる大型動物がいなくなったことに加え、コロナ禍で来園者が激減し、存続の危機に…。

 そうした中、おととし動物園再生に向けて高橋園長に白羽の矢が立ったという。

「昔ながらの動物園だったので、正直言ってしまうと、ウサギが多頭飼育崩壊していたり、もう少しレベルを上げた動物園にしようと」

野生動物飼育のスペシャリスト
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 高橋園長はかつて横浜の動物園の立ち上げに携わり、その後、アフリカで保護動物の飼育管理を行ってきた野生動物飼育のスペシャリストだ。

おととし6月にリニューアルオープン
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 「よりいきいきと動物を展示したい」と考え、おととし6月にリニューアルオープン。希少な動物の導入に力を入れたという。

「スター動物となると、ここにゾウがいたりキリンがいたりライオンがいたりとなるが、我々こういう小さな動物園ではそういう動物を飼った時に、動物がそこで本当に幸福なのか、難しい、再現するのが。我々が提供できる中で、どういう動物を飼っていくかが、まさに問われています」

 資金不足や物価高騰などの問題で、非公開となっている半分近くのスペースも今後オープンしていくという。

譲り受けに乗り越える壁

 「ごかつら池どうぶつパーク」は希少動物を譲り受けるため、乗り越えなければいけない壁があった。

目的は日本動物園水族館協会への加盟
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 2024年に「ごかつら池どうぶつパーク」の再生を任された高橋園長が目標に掲げたのが、生物の種の保存や調査研究を目的とした「日本動物園水族館協会への加盟」だった。

 この協会には、上野動物園や鴨川シーワールドなど全国140の動物園と水族館が加盟していて、厳しい審査を通過し加盟すると、他の園館と連携協力した人材交流・育成や種の保存を目的とした希少動物などの施設間移動が可能になるという。

「飼育スタッフの人材育成」
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 この協会に加盟するために変えたことが「動物の住環境」だ。

 これまで獣舎の地面がコンクリートだったり、飼育スペースが狭いなど飼育環境が整っていなかったそうだが、地面を土に変え、植物を置くなど動物の生息地に近い環境づくりに見直し、飼育スペースの確保をしたという。

 2つ目が「飼育スタッフの人材育成」だ。

 これまでは主に獣舎の掃除や餌(えさ)をあげたりする「世話役」という立ち位置だったそうだが、動物の飼育だけではなく、動物の調査研究をしたり、繁殖に向けての知識や技術を持つスタッフの育成にも力を入れたという。

 こうした取り組みが功を奏し、現地調査などの厳しい審査の末、去年4月に協会への加盟が実現した。

去年4月に協会への加盟が実現
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 そして加盟後、新規に希少動物の受け入れができるようになり、去年12月にはネコ科の中でも「世界最古のネコ」と言われるマヌルネコや、アフリカなどの砂漠地帯に生息する「砂漠の天使」と呼ばれるスナネコを新規に譲り受けたり、先月には分類的にはゾウに近い特徴を持つ希少動物のケープハイラックスを動物交換し受け入れることができた。

 取材した先月30日も、大阪や静岡から希少動物を見に来る客がいた。

“WIN-WIN連携”

 繁殖を進める際、動物が増えて飼育スペースが足りなくなる問題もあるそうで、そこで増えた個体の受け入れ先になることで、「ごかつら池どうぶつパーク」は新しい動物を展示することができた。

“WIN-WIN連携”
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 貸し出し元の動物園は、飼育スペースを確保することにもつながり、WIN-WINの関係になるそうだ。

今後の目標は?

 そんな「ごかつら池どうぶつパーク」が今後、目指しているのが下記の通り。

今後の目標は?
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 高橋園長は、先月から京都の福知山市が所有する福知山市動物園の新園長に就任した。ここでも日本動物園水族館協会への加盟を目指すという。

 そして、2つの園で連携できるようになれば、動物やスタッフの交換をはじめ、さまざまな相乗効果を得られると期待しているそうだ。

(2026年5月1日放送分より)

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