高市総理「自由で開かれたインド太平洋」進化へ 経済安保で各国と連携も 中国は反発

高市総理「自由で開かれたインド太平洋」進化へ 経済安保で各国と連携も 中国は反発
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 ベトナムとオーストラリアを歴訪中の高市早苗総理は、「自由で開かれたインド太平洋」を進化させると表明した。経済安全保障で各国との連携を進める日本の動きに、中国は反発を強めている。

【画像】新たな外交方針 なぜベトナムで発表?

 高市総理は経済安全保障を強化し、中国依存から脱却する動きを加速させている。海洋進出を強める中国に対し、日本は周辺国への武器輸出を進める考えだ。

新たな外交方針表明 経済安保を強化へ

 まずは、高市総理が打ち出した新たな外交方針についてみていく。

 2日、高市総理が訪問先のベトナムで表明した新たな外交方針とは、「自由で開かれたインド太平洋」を進化させたものだということで、重点分野として3つ挙げている。

新たな外交方針とは
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「エネルギー・重要物資の供給網の強化」
「ルール共有」
「安全保障分野での連携拡充」

 背景には、経済的威圧を強める中国がある。中国を念頭にインド太平洋地域の各国が「自律性」と「強靭(きょうじん)性」を高めるべきだとして、経済安全保障を重視する姿勢を強調している。

 では、なぜこの新たな外交方針をベトナムで発表したのか?

 東南アジアの経済に詳しい、第一ライフ資産運用経済研究所・西濱徹氏によると、理由は主に2つあるという。1つ目は「ベトナムは、中国ともアメリカとも日本とも等距離で外交」を行う国であるということ。
2つ目は「中国と陸続きで、中国と対峙(たいじ)する上で非常に重要になってくる国」だからだと指摘している。

 そのベトナムで高市総理は、「エネルギー」と「鉱物資源」を巡る具体策を打ち出している。

「エネルギー」「鉱物資源」巡る具体策
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 まず1つ目「エネルギー」について、日本がベトナムの「ニソン製油所」の原油調達を支援するという。
出光興産はホルムズ海峡を通らないルートで調達した、中東産の原油400万バレルをこの製油所に供給するという。日本がアジア諸国の原油確保を後押しする総額1兆6000億円の金融支援「パワー・アジア」の第1号案件となった。

 日本はもともと、この製油所で精製される石油製品から作られる人工透析用チューブなどを輸入していて、支援を通じて日本への物資供給の安定化も図る狙いもあるという。

 そしてもう1つ打ち出されたのが、レアアースの確保だ。アメリカ地質調査所が去年発表した世界のレアアースの埋蔵量で、1位は中国で全体の6割を占めているが、輸出制限を行っている。

 そんな中で代替輸入先として注目されているのが、今回歴訪をしている4位のオーストラリアと、6位のベトナムだ。

 ベトナムは本来、レアアース埋蔵量が世界最大級と言われていたが、課題としては自国での精製技術が乏しいことが挙げられていた。過去には日本がベトナムでのレアアース精製を検討したこともあったが、中国との価格競争を理由に断念していた。

 今回、両国はレアアースなどの供給網の強化に向けて官民で協力することで一致したという。

AIモデルの開発も

 資源確保に並ぶ重要な分野がAIだという。日本がベトナムとAI分野で協力する狙いとは何か?

 ベトナムメディアによると、ベトナムはAIを最重要技術に位置づけ、AI開発を進めているが、技術はまだ成長途中だという。

「ベトナムの言語や文化を反映した」点が重要
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 そんな中先月15日、中国とベトナムはAI分野などで技術協力を行うとした文書に署名している。今回、高市総理もベトナムのフン首相と首脳会談を行い、AI分野での協力で一致したが、その中で「ベトナムの言語や文化を反映したAIモデルを開発する」としている。両国にとってこの「ベトナムの言語や文化を反映した」という点が重要だという。

 これはどういうことかというと、ロイター通信はこう伝えている。アメリカ当局の調査によると、中国のAIモデルは中国共産党を批判しないよう設定されているほか、天安門事件といった民主化運動弾圧の問題に深入りしないよう設定されているといい、こうしたAIモデルが浸透することで、偏った情報が蔓延(まんえん)する可能性があると指摘されている。

 中国との協力によって、中国に都合の良い情報しか提供しないAIモデルができてしまう恐れも指摘されている。

防衛強化 推進の背景は

背景に中国の海洋進出
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 現在、小泉進次郎防衛大臣が東南アジアを歴訪している。今月3日、日本を発ってインドネシアに到着。4日はインドネシアとの防衛相会談に臨む。5日にフィリピンに移動し、フィリピンの防衛相会談に臨む。6日にはフィリピン沖で行われている、アメリカ軍とフィリピン軍が主催する多国間共同演習「バリカタン26」を視察する。各国との安全保障分野での連携強化を進めるという。こうした動きの背景に、中国が強める海洋進出がある。

 中国は他の国と領有権を争う南シナ海で、岩礁と呼ばれる岩場などに人工島を造成してきた。ただ、アメリカなどの批判を受け、2017年以降は大規模な造成活動はなかった。

「最前線の拠点の1つになる可能性」
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 ところがアメリカの「戦略国際問題研究所」によると、約10年ぶりに大規模な造成が再開されたといいう。分析した衛星写真によると、南シナ海のアンテロープ礁に人工島が造成され、ヘリポートや50以上の建造物が確認できる。「中国が南シナ海に建設する、最も重要な最前線の拠点の1つになる可能性がある」と指摘している。

 こうした中国の動きに日本はどのように対応するのか。

多国間共同演習に日本も参加
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 フィリピン沖では、先月20日から今月8日までの日程で、アメリカ軍とフィリピン軍が主催する多国間共同演習「バリカタン26」が実施されている。この演習にはオーストラリア軍やフランス軍など、過去最大規模の1万7000人以上が参加している。日本の自衛隊からも過去最多の約1400人が参加している。

 演習内容をみていくと、日本は2012年の参加以降、主に非戦闘任務への参加だったが、今回は地対艦ミサイルの実射も実施しているという。また、協定を結んでいる17カ国への武器輸出が原則可能となっていて、日本はフィリピンに海上自衛隊が運用する護衛艦を輸出する方針で、5日の日本・フィリピン防衛相会談で合意されるとみられている。

護衛艦を輸出か
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 フィリピンへの輸出が想定されているのは、海上自衛隊が30年以上運用して退役を控えている護衛艦で、乗員約120名、ガスタービンとディーゼルエンジンの両方を搭載し、高性能20ミリ機関砲や3連装魚雷などを備えているという。

 小泉大臣は今回歴訪するフィリピンとインドネシアについて、「我が国の海上交通路の要衝に位置する戦略的に重要な国」で「防衛面での協力強化が不可欠なパートナー」だとしている。安全保障協力の強化の背景には、南シナ海で軍事活動を活発化させている中国への対応が念頭にあるとみられている。

(2026年5月4日放送分より)

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