
「ハンタウイルス」の集団感染が疑われるクルーズ船の新たな船内の映像。ラウンジに人の姿はなく、がらんとしています。WHO(世界保健機関)も指摘している“ヒトからヒトへの感染”、その可能性を専門家に聞きました。
乗客「とてもショック」
白い防護服の人々が、船から降りていきます。
乗客 ヘレーネ・フッサールトさん
「2人の乗船客の体調が悪くなり、船から下りられないことは心配です。乗船する時には100人ほどの仲間の誰かが亡くなるなんて考えません。とてもショックです」
これは4日に乗客が撮影した、船内の様子。にぎわっているはずのラウンジに人の姿はありません。
「隔離はされてはいません。WHOのガイドラインに従って人との距離を保っています。例えば2~3人がコーヒーマシンの所で立っていたら、1.5メートルの間隔を空けることにしています」
致死率の高いハンタウイルスの集団感染が疑われるクルーズ船「MVホンディウス号」。いまだアフリカのカーボベルデ沖に停泊し、乗客は、感染の恐怖にさらされたままです。
乗客 ジェイク・ロズマリンさん
「普段はこのような動画は作らないけど、何か言わなきゃいけない気がしていくつか書きとめました。現在MVホンディウス号に乗っていますが、今起こっていることは私たち全員にとって非常に現実的な出来事です。私たちはニュースの記事や見出しではなく人間なんです」
船には、緊急治療を必要としている2人の患者が残されています。
“人から人への感染”?
キャスター ジョン・バーマン氏
「海上での死にいたる感染の悪夢に新たな展開です。通常はげっ歯(ネズミ)目により感染しますが、ヒトからヒトへ感染している可能性もあるようです」
ネズミにかまれたり、排泄(はいせつ)物など粉じんの吸入、汚染された食物を食べることによって感染するハンタウイルス。ヒトからヒトへの感染の可能性があるとすれば、どこで感染したと考えられるのしょうか。
感染制御学が専門の東邦大学・小林教授は。
「アルゼンチンを出発しているということで、アルゼンチンで過去にこのような病気が流行していた時もありますし、そういう所から持ち込まれた可能性も否定できない」
乗客 カセム・ハトゥさん
「私は危険な感染によって3人の乗客が亡くなった船にいます。最初の島に寄った後、高齢の乗客の1人の健康状態が悪化し死亡しました」
先月1日、南米アルゼンチンを出発し、いくつかの島を巡っていたクルーズ船。出航から数日後、70代の男性が突然体調を崩し、セントヘレナ島へ向かう途中の先月11日、船内で死亡しました。
その後、男性の妻(69)も体調不良を訴え、下船したのちに死亡。さらに次々と、乗客の体調が悪化していきました。そのうちの1人、ドイツ国籍の女性も今月2日に死亡しました。
小林教授
「ヒトヒト感染がまれと言ってもゼロではありませんので。クルーズ船の中で濃厚接触をする機会があったとしたら、ヒトからヒトへ感染が起こるということも否定できないと思う。今回の事例を見てもご夫婦で感染が生じている」
現在、重篤な68歳のイギリス人男性1人は、南アフリカで治療を受けています。
南アフリカ保健省 フォスター・モハレ報道官
「彼が今もICUで治療を受けているということは、容態は依然として深刻だということです。もし1人が陽性になれば、別の人への感染の可能性は高くなる」
ICUで治療するのは、別の人への感染を防ぐ意味もあるといいます。
WHOカーボベルデ代表 アン・リンドストランド氏
「特に“アンデス”と呼ばれるゲノム株は、ヒトからヒトへの感染例も報告されています」
ロイターによると、解析の結果が6日判明し、“アンデス株”と特定されたということです。
感染拡大の可能性は?
運航会社は、日本人1人が乗船していると明らかにしましたが、その後の状況は分かっていません。
ヒトからヒトへの感染が拡大することはあるのでしょうか。
小林教授
「ハンタウイルスの感染症が過去に日本で起こっていたと考えていい」
1960年ごろには、大阪梅田地区で感染症で2人が死亡しました。当時は原因も分からず、「梅田熱」と呼ばれました。
「大阪では百数十人が感染している。出血、発熱をした人もいる。感染源と症状から当時の流行性の出血熱はハンタウイルスだと推測される」
当時はどう収束させたのでしょうか。
「相当時間がかかったと思う。衛生状態をよくしてネズミを駆除するなど、そういう中で感染者数も減ってきて収束に至った」
新型コロナの時のようにウイルスが変異をし、感染が拡大することはあるのでしょうか。
「ウイルスなので変異が全くおこらないとは言えない。ハンタウイルスはヒトからヒトへの感染が起こりにくいので、大きく変異を繰り返しながら広がっていくとは考えにくい。パニックにならずに様子を見ていくことが大事」
(2026年5月6日放送分より)
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