
これまで3人が死亡するなど、ハンタウイルスの集団感染が疑われているクルーズ船。最初に乗客が死亡した後、約30人が南大西洋の島で下船していたことが分かりました。クルーズ船は10日にもスペイン領カナリア諸島に到着する予定ですが、現地では抗議活動が行われるなど、不安が広がっています。
【画像】クルーズ船“予防措置”取らず…乗客死亡後に30人下船 ハンタウイルス
クルーズ船集団感染 3人死亡
アルゼンチンの南端から出発し、時には南極のペンギンなど大西洋の島々を巡りながら、大自然を1カ月にわたって堪能するはずだったクルーズ船の旅。船内で1人目の死者が出た時も、アナウンスは自然死を伝えるものでした。

船長
「皆さん、おはようございます。突然のご報告になりますが、昨夜、1人の乗客が亡くなりました。症状はどうであれ、医師の話では感染性はなく、船内は安全です」
これまでに5人に感染が確認され、そのうちのオランダ人夫妻、ドイツ人の3人が亡くなりました。

乗船していた医師
「半日~1日で数人が体調を崩し、症状の悪化も判明しました。高熱と疲労感、顔面紅潮、胃腸の不調や息切れという症状です。当初は深刻な状態には見えませんでしたが、瞬く間に重篤化し得る点がハンタウイルスの恐ろしさです」
クルーズ船 予防措置取らず…
問題はどういう経路で感染していったのかです。

WHO テドロス事務局長
「最初の感染者2名は乗船前、野鳥観察のためアルゼンチンとチリ、ウルグアイを渡航しています。アンデスウイルスを媒介するげっ歯類の生息地域も訪れています」
船内にネズミはいないとされています。

WHO特定ウイルス疾患責任者 ルジャン氏
「船内で感染した点が異例であり、このウイルスでは初の事例です。船内という環境は極めて特異なため、感染がどう拡大したのか正確に把握する必要があります」
疑われるヒト・ヒト感染。当時の船内の様子はどのようなものだったのでしょうか。

2週間前に下船した乗客
(Q.船長の話の後、消毒や社会距離などの措置は)
「船長は訃報を伝えただけでした。彼も感染症については知らなかった。その後も予防措置は取りませんでした」

その時の様子を映した映像では、乗客たちがビュッフェ形式の食事を取り、何事もなかったように過ごしています。

2週間前に下船した乗客
「感染の船内連絡はなかったので、乗客はリラックスしていました。朝食が7時半、昼食と夕食はダイニングエリアで取ります。あとは交流イベントや公演会が日課でした。マスクは誰もしていませんでした。食事はビュッフェ形式が多かった」

このクルーズ船は、航路の途中で降りることも可能です。例えばセントヘレナ島では12カ国約30人が下船し、各地に散らばりました。各国では追跡調査をし、自主隔離や検査を求めています。ただ、ハンタウイルスは潜伏期間が6週間と長いのが特徴です。WHOは今後も感染の症例が出てくるだろうとしています。
まだ船には日本人1人が乗っていますが、帰国した場合、日本政府は…。
厚労省
「感染リスクにあわせて隔離・検疫措置を行う。ハンタウイルスは、適切な感染対策を行えば国内の侵入防止は可能と考えている」
ハンタウイルスは致死率は高いものの、余程の濃厚接触ではない限り、ヒト・ヒト感染のリスクは低いとされています。帰国途中で亡くなったオランダ人女性を介抱した客室乗務員。感染の疑いが強まっていましたが、検査で陰性となり、二次感染には至っていません。

WHO警戒・対応調整部長 マハムド博士
「今回は感染の連鎖は起きないはずですが、冷静で合理的な対応を心掛け、支え合い、連携することが大切です」
受け入れの地で不安の声

クルーズ船は今、終着地であるカナリア諸島に向かっていますが、現地ではコロナ禍を思い出させる不安が再び広がっていました。

薬局の店員
「今週は多くの人が普段よりマスクを買っていきました。コロナ禍の恐怖をまだ覚えているからでしょう」
