
日本時間13日未明、米中首脳会談に向けてアメリカのトランプ大統領が北京へ出発した。イラン情勢や台湾問題を巡って中国とどのようなディールが交わされるのか?
イラン情勢 中国の介入は
不安定なイラン情勢が長期化する中で、中国は仲介に踏み出すのか、見ていく。
14日に迫った米中首脳会談を前に、アメリカは中国にイランへの圧力をかけるよう求めている。ルビオ国務長官は、イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖は、「中国にとっても損害」だと指摘し、イランに封鎖を解除するよう働きかけることへの期待を示した。
ホルムズ海峡の封鎖は中国にどのような影響を及ぼしているのか?
中国はアメリカに次ぐ世界第2位の石油消費国で、中国国家統計局によると、そのうち国産は27%にとどまり、輸入が73%と輸入に大きく依存していることが分かる。
イラン情勢の余波 繊維工場で悲鳴?
「ロイター通信」は、アメリカがホルムズ海峡を“逆封鎖”して以降、イランの原油輸出量は80%以上減少していると報じている。こうしたことから中国国内では既に悲鳴も出始めているという。
イギリス「BBC」によると、中東からの原油は主に、南部の工場などで使われているといい、世界最大の織物市場がある中国南部の広州市では、織物の原料となる石油化学製品の価格が急騰し、生産コストが20%上昇した企業もあるという。
ある販売関係者は「コストは上がったが一部の顧客は値上げに応じない」と話しており、注文が減少しているとも明かしている。
ただ、中国は有事に備えて石油を備蓄しているという。
さらに中国北部ではそもそも中東経由の原油があまり使われていないという。
「BBC」は中国北部では中国国内の油田で生産された石油とロシアからパイプラインで輸入した石油が主に使われており、この地域は中東での戦争の影響を受けていないとも報じている。
それでも 中東情勢が習近平政権にとって打撃となる可能性もあるという。
番組が取材した元台湾国防部・情報官の王彦麟氏にイラン情勢を巡る中国の懸念について聞いたところ、「中国が本当に警戒しているのは戦闘そのものではなく価格の連鎖反応」だという。
王氏によると中東情勢の悪化で石油や天然ガスの価格が上昇するとやがて食品価格など生活コストが押し上げられ、政権の不安定要因になるという。
米中首脳会談 注目点は?
トランプ大統領と習主席はどういったディールを交わすのか?
アメリカ側は、大豆などの農産物やボーイング製の航空機の輸出拡大によってトランプ政権の支持基盤である農家への配慮や雇用創出などをアピールして、中間選挙に向けた成果にしたい思惑があるとみられている。
また今回の訪中には、多くのアメリカ企業のトップが同行している。「アップル」のティム・クックCEO、「テスラ」のイーロン・マスクCEOらに加え、金融大手「ゴールドマン・サックス」のデービッド・ソロモンCEOなどが名を連ねており、両国の政府が力を入れているAI(=人工知能)や半導体など先端技術の開発や管理も焦点になるとみられている。
一方、中国側の狙いはなんなのか?
歴代のアメリカ政権は、台湾独立を「支持しない」という立場を取ってきたが、去年2月、米国務省のホームページから「台湾の独立を支持しない」という文言が削除され、中国は台湾独立派への誤ったシグナルになると反発していた。
習主席は、会談で台湾独立への「反対」を明言するようトランプ大統領に働きかける可能性があるほか、アメリカが行っている台湾への武器売却についても強くけん制する可能性などが指摘されている。
日本の懸念点は?
日本政府は警戒を強めているという。
トランプ大統領は 去年10月に行われた米中首脳会談の後、SNSに「習主席との『G2会談』は両国にとって素晴らしいものだった」と、米中2大国が国際秩序を管理するような印象を与える投稿を行った。
こうしたこともあってか、日本などの同盟国は今回の米中会談で同様の発言が飛び出すかなど警戒しているとみられている。
また自民党の小野寺元防衛大臣が11日、都内で講演を行い、「(アメリカ国内の)対中強硬論が少し後退した」との見方を示し「米中首脳会談でアメリカの東アジアへの関与が変わることは絶対にあってはならない」と警戒感を強調した。
(2026年5月13日放送分より)
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