
指示役・実行役ら6人が逮捕された強盗殺人事件。生後7カ月の子どもとホテルにいた容疑者の女を知る人物に話を聞くことができました。
現場周辺に“バール”
長い髪を一つに束ね、眼鏡をかけた女は、表情を変えることなく車に乗り込みます。竹前美結容疑者(25)が検察庁に身柄を送られました。
髪は短く眼鏡をかけた男。夫の竹前海斗容疑者(28)です。19日朝、勾留質問のため警察署を出て、護送車両へ乗り込みました。
夫婦は逮捕された少年4人への“指示役”とみられています。
一部の少年
「夫婦に頼まれた」
栃木県上三川町で起きた強盗殺人事件では富山英子さん(69)が殺害されました。バールのようなもので殴られ、刺し傷は20カ所以上あったということです。
事件との関連は分かりませんが、現場周辺でバールのようなものを見つけた人もいました。
「事件があった翌日、銀の長い60~70センチあるのかな。銀の新しいバール。汚れはなかったように見える。鑑識の話だと血液と指紋は検出されなかったみたい。ただ先に泥がついていたことは言っていた」
犯行前に集合“顔合わせ”か
新たに分かったことは“事件前後の6人の動き”です。
捜査関係者によると、犯行現場に行くまでに6人が一度顔を合わせていたということです。その場で指示があった可能性もあります。その後、4人は犯行現場へ…夫婦は少し離れた場所で指示を与えていたとみられます。
事件の後、車やヒッチハイクで逃走した実行役の4人。少年らの一部が着ていた服が現場で見つかっていたことも分かりました。
発覚を逃れる目的で、服を脱ぎ捨てた可能性があるということです。
白い外車の“違和感”
元神奈川県警 捜査1課長
鳴海達之氏
「騒音がするわけじゃないし、そんなにうるさい所ではない。住環境はいい」
元神奈川県警の鳴海さんは不可解な点を指摘します。
「当然目立つし、目撃されてはいけない車。だからこういう所に絶対置かない。警察沙汰にするわけがない。(通常は)どこか離れたコインパーキングなどに止めるなどすると思う。意図がよく分からない」
夫婦の自宅周辺で、白い外車が長時間止まっていたことです。
周辺住民
「先週ぐらいに駐禁貼られていた。その前にはパンクしていて、次の朝には見た時なくて、また元に戻ってそこに止めてあった。多分誰かが通報したんだと思う」
鳴海さんはそのことから、夫婦の組織内でのポジションを推察します。
「犯行に将来使うという意図が分かっているなら、いくらなんでもずっとここに置いておくということはしないと思う。ずっと10日(以上)も置くとなると、犯行に使うと思わず、知り合いから車を預かり保管を頼まれて置いていた可能性。今『指示役』と出ているが、その中でも一番低いランクになるのかなと」
もう一つの不可解な点は、海外へ逃亡をしようとしていたことです。
夫は、羽田空港で海外に出発する直前に、妻はホテルで生後7カ月の子どもといるところを身柄確保されています。
「やみくもに勝手にどこかに高飛びすることは多分ないだろう。上の指示役に『どうしましょうか』と聞いたかもしれない。とにかく海外に逃げることを優先させたのかなと思う。指示役の海斗容疑者のスマホの通話履歴を見れば、組織の誰かと話している可能性は非常に高い。解析していけば上の指示している者が分かると思う」
容疑者の“人物像”
生後7カ月の子どもがいた美結容疑者についても徐々に分かってきました。
逮捕された美結容疑者は長野市内で育ち、小学校時代を知る人によると、活発で優秀だったということです。
小学校時代を知る人
「小学校6年生くらいまで知っている。優秀ないい子でした。活発でした。一人っ子だから大事に育てられて愛されているいい子でした」
なぜ指示役が見張りも兼務
匿名・流動型犯罪グループ=トクリュウが関与したとみられる今回の事件ですが、これまでのトクリュウとの違いについて鳴海さんは“ある点”に注目しています。
「現場に行って足がつくとまずいから、指示役は(現場に)行かない。行かないで犯行の様子を携帯でつなぎっぱなしにして指示を出す。狛江の事件も同じ」
例えば、東京・狛江市で高齢女性が死亡した事件など、2022年から23年にかけて全国で発生した広域強盗事件では、“ルフィ”などと名乗る「指示役」が逮捕・起訴されていますが、「実行役」に犯行を指示していたのは遠く離れたフィリピンの入管施設でした。
一方、竹前夫婦は事件当時、自宅がある横浜市などからではなく、少年4人とは別の車で栃木県に入り、犯行の指示をしていたとみられています。
「“指示役であって指示役でない”ような立場でもあるのかなと。指示役というよりは実行役に近いような、リクルーターであり、見張り役であり、かけもちしているような感じに見える」
これまでトクリュウは、指示役のほか実行役を募る「リクルーター」、現場への移送を担う「運び役」、犯行の「見張り役」など役割が細分化していたといいます。
鳴海さんは今回、竹前夫婦が「リクルーター」と「見張り役」もこなすなど役割が集約されていた可能性があると指摘します。そこから考えられることは…。
「(竹前容疑者夫婦も)『現場に行って(実行役が)やっているか見て来い』と指示を受けているのでは。他に人がいれば、夫婦が全部を引き受けてやることはないと思う。組織的に“人がいない”というのが現状では」
「(Q.どういう事情で人手不足に?)(トクリュウの)事件を思い起こせば、実行犯はほとんど逮捕されている。実際に逮捕されたら拘禁刑が3年や4年、長ければ10年位。“割に合わないことを自分はさせられた”ということが分かる」
また、今回の事件、実行役の少年の一部は“顔見知り”で、中には竹前夫婦と以前から面識があったものもいたといいますが、鳴海さんはこの構図が“スピード逮捕につながった”とも推察します。
「(これまでは)SNSで(闇バイトに)応募し、お互いに誰か分からない、匿名性が高い中で犯行していた。今回は1人が仲間を集めて実行役を形成した。ということは(顔見知りだと)1人が捕まれば次が捕まる。そうなると、指示役も当然捕まる。それでも金作る事情があるのでは」
振り返れば、事件当日に少年Aが逮捕され、翌日には過去に同じ高校に通っていたという少年Bが。さらにその翌日には、知人の少年C、少年Dと、わずか3日間で実行役4人が逮捕されています。その一部は強盗や殺害の容疑について「後悔している」「反省している」といった趣旨の話をしているそうです。
そして、17日には指示役とみられる竹前夫婦も逮捕されました。
カギは「白い高級外車」
警察は、夫婦より上の立場の指示役がいるとみて実態解明を進めていますが、今後の捜査のカギを握る一つが犯行に使われたとみられる「白い高級外車」だといいます。
鳴海氏
「犯行に使われた車がどういう経緯で持ち込まれているのか、それはカーナビゲーションの解析などすれば出てくるので、解析の作業が中心になるのと、容疑者夫婦をよく取り調べて、上につながっていく材料があるのかどうか、これからやっていかなければいけない作業」
(2026年5月19日放送分より)
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