
今、匿名・流動型犯罪グループ“トクリュウ”による実行役の募集方法が巧妙化しているという。“トクリュウ”対策として、警察は「仮装身分捜査」という手法を取り入れている。
栃木強盗殺人 アプリの通話機能で指示か
まずは栃木県上三川町で起きた強盗殺人事件について見ていく。
実行役とされる少年と指示役とされる夫婦のつながりが少しずつ明らかになってきた。
14日午前9時半ごろ、上三川町の住宅に複数人が押し入り、住人の富山英子さん(69)が殺害される強盗殺人事件が発生した。
これまでに強盗殺人の疑いで逮捕されているのが、“指示役”とみられる竹前海斗容疑者(28)と妻の美結容疑者(25)で、2人は夫婦だ。
そして“実行役”とみられる4人の少年。かつて同じ高校に通っていたという高校生A(16)と高校生B(16)、そして高校生Bと知人関係とみられる高校生C(16)。この3人は神奈川県相模原市に住んでいるという。一方で、高校生D(16)は川崎市に住んでいて、4人の中には事件当日が初対面だった少年もいたという。
捜査関係者によると、高校生Bと竹前容疑者夫婦には面識があった可能性があり、この高校生Bが起点となって実行役と指示役を結び付けた可能性もあるという。
警察は事件が匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる“トクリュウ”による犯行とみて捜査しているという。さらには容疑者夫婦より上位の指示役がいたとみているという。
容疑者夫婦は犯行前に栃木県内で少年らを脅すような行動をとっていたことが分かったほか、新たな情報も明らかになってきた。夫婦はアプリの通話機能を使ってリアルタイムで少年らに指示を出していたとみられ、少年らが計画通り実行するか監視していた可能性があり、容疑者夫婦が見張り役のような立場だった可能性も指摘されている。
闇バイトの募集方法・報酬に変化
今、闇バイトの募集方法が巧妙化しているという。
東京都によると、従来の闇バイトの募集では「段ボールを運ぶだけ!簡単なお仕事です。最低一件5万円から支給、簡単に楽に稼げます!」など、具体的な業務内容を記載していた。最近では「どなたか人材紹介していただけませんか?紹介して頂ければ紹介料5万渡します!」など人材派遣をにおわせたうえで、具体的な業務に言及せず、闇バイト感を封印しているという。
また、バイトの報酬にも変化が出ているという。従来は「高額報酬」「高収入」などの文言に注意が必要とされてきたが、最近では「日給1万円程度」など高すぎない金額を設定することで闇バイトと気づかずに応募させる例もあるという。
さらに応募者の不安を払しょくするためか、「上場企業の仕事です」「行政の許可を得ている作業です」など嘘で“権威付け”を行う例もあるといい、信用して応募してしまう人も多いという。
高齢者も加害者に? 年齢問わない募集増加
若者が犯罪に手を染めるイメージの強い闇バイトだが、ここへきて高齢者が加害者になってしまうケースも出ている。
東京都によると、特殊詐欺の被害者から金を受け取る「受け子」として約1600万円をだまし取ったとして、2023年に当時84歳の男に実刑判決が言い渡された。男は「ギャンブルで借金」を作り、SNSで闇バイトに応募したという。
東京都によると、こうした事例の背景に、高齢になっても働きたいというニーズの高まりがあるといい、特殊詐欺に加担してしまう高齢者が増えていくとみているという。
実際、最近では年齢を問わない闇バイトの募集が増えているという。役柄になりすました人物が何人も登場する、いわゆる「劇場型」など特殊詐欺の手口が複雑で巧妙になる中で、かけ子や受け子の役割も多様化していて、犯罪グループが高齢者を必要とするケースが増えているという。
警察の新たな捜査手法「仮装身分捜査」
警察の“トクリュウ”対策について見ていく。
警察庁の発表によると、2023年に摘発された特殊詐欺の実行役のうち4割以上がSNSの闇バイト募集情報を通じて加担していたという。
こうしたこともあり、警察は去年1月から「仮装身分捜査」という捜査方法を導入している。
どんな捜査方法かというと、警察官が架空の身分証で闇バイトに応募し、犯罪を未然に防ぐほか、実行犯の身柄の早期確保や首謀者・指示役の検挙を進めていく手法だ。いわゆる“覆面捜査”と呼ばれるものに近いが、架空の身分で一度雇われるので、警察は「雇われたふり作戦」とも表現している。
警察庁によると、この「仮装身分捜査」として去年1年で13件の捜査を実施し、5人を逮捕したという。
さらに今後、警察が金融機関の協力を得て捜査も行っていくという。
一例を紹介すると、例えば、警察が「架空名義の口座」を開設する。これを口座売買を勧誘する人物に譲渡するなどしたうえで、犯罪グループが犯罪による収益をその口座に入れた段階で警察がその口座を凍結する。これによって送金を防ぐほか、資金の流れを追跡して指示役などの摘発を目指すという。
自宅を狙う犯罪を事前に見抜く方法
“トクリュウ”などの自宅を狙われる犯罪を防ぐために、どんなところに注意すればいいのか。
犯罪ジャーナリストの石原行雄氏に聞いたところ、「数字や記号など怪しいメモ書きや、石などが不自然に置かれていたら注意してください」ということだ。
あくまで一例だが、ガスメーターや表札、郵便受けなどに「WS」と書き込まれていたら、「Wはウーマン=女性」「Sはシングル=一人暮らし」を意味しているなど、「一人暮らしの女性」のマークとなる。
他にも車の前に石を置くことで、石の位置の変化によって車の出入りがあるかないかを確認するというものもあるという。
犯人が下見に来ている可能性もあるので、少しでも不審な点があれば警察に連絡し相談すべきだと、石原氏は注意を促している。
(2026年5月20日放送分より)
この記事の画像一覧
