警察のトクリュウ対策 制度を設計した元刑事語る「仮装身分捜査」のウラ側

警察のトクリュウ対策 制度を設計した元刑事語る「仮装身分捜査」のウラ側
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 凶悪化するトクリュウの脅威に、警察側も新たな捜査体制で対応しています。トクリュウ対策として導入された「仮装身分捜査」とは、どんな捜査なのか。制度を作った元刑事に捜査の裏側を聞きました。

【画像】仮装身分捜査 4つの段階とは

仲間内で募集か

 栃木県上三川町で起きた強盗殺人事件は、匿名・流動型犯罪グループ=トクリュウが関与したとみられています。

 逮捕された少年の1人は…。

逮捕された少年(16) 捜査関係者によると
「同じ学年の人物が仲間にいて、誘われて入った」

これまでのトクリュウ
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 実行役が直接他のメンバーを勧誘することで、犯罪グループが形成された可能性がある今回の事件ですが、これまでトクリュウは実行役を募る際、上の立場の人物がSNSなどでそれぞれに接触するケースが主流だったといいます。

 なぜ、インターネット上での募集を控えるようになったのでしょうか?背景の一つにあるのが「仮装身分捜査」だといいます。

「非常に警戒」
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犯罪ジャーナリスト 石原行雄氏
「次々と(仮装身分)捜査の成果をあげている。指示役や上層部もどんどん逮捕されるようになってきている。(仮装身分捜査の)情報は反社や闇バイト側もキャッチしていて非常に警戒している」

生みの親語る

 「仮装身分捜査」とは、一体?制度設計に携わったという元警察庁サイバー捜査課長の棚瀬さんに聞きました。

棚瀬氏
「現行法体系のなかで“攻めの捜査”」

仮装身分捜査 4段階
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 どのように行うのでしょうか?棚瀬さんによると、大きく4つの段階に分けて捜査を行っていくといいます。

 まずは犯罪グループを「発見」することからです。

インターネット上を“パトロール”し…
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「例えば“過去に犯罪に使われたSNSのアカウント”であったり、これまでの捜査で警察が把握している“闇バイトのリクルーターが使うSNSのアカウント”などがある。そういった情報の蓄積を前提に、“犯罪前提”のバイト募集の可能性がある投稿を探す」

 捜査員は常日頃、インターネット上をいわばパトロールしているといいます。その中で闇バイトが疑われる投稿を発見したら、次の段階「接触」に移ります。

元警察庁サイバー捜査課長 棚瀬誠氏
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「私が応募する人間だとすると、運転免許証や自宅の写真まで送ることになる」

 闇バイトに応募すると、多くの犯罪グループが求めてくるのが運転免許証などの「身分証」です。なぜ要求されるのでしょうか?

「『あやしいバイトなのでは』と途中で気が付いて、足抜けをしたいと思うこともあるかもしれないが『自宅の住所バレているけど大丈夫か』と言って脅される。犯罪に加担せざるを得なくなる」

闇バイトに選定されたら?

 そこで、犯罪グループに接触するために提示するのが「架空の身分証」です。ただ、架空といっても、ありもしない住所などが記載されているわけではありません。

別の住所を用意
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「架空の住所を書いていても嘘の住所じゃないか、やってくるのは警察官だなと相手側にばれてしまう余地があるので、本当の住所を使うことは一つ考えられます。その際、警察官の自宅の住所はさすがに使えませんから、警察官の自宅でもない、別の警察が用意できる住所。具体的に警察がどういう準備をというのは申し上げにくいが、架空の身分証を見破られない工夫は、当然警察側ですることになる」

 そうして仮装の実行役として信じ込ませたら、次の段階、他の実行役らと「対面」します。

他の実行役らと「対面」
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「(Q.闇バイトに選定されたら?)『コンビニ前に集合』という連絡が相手からくることになる」
「集合すると同じような立場の人間が周りに5人いたと、自分を入れると6人だという場面の時に、すべてその場で初めて会う人間というパターンもあるし、この6人の中に犯罪組織の中枢に比較的近い、いわば現場監督的な立場の人間がいると様々なパターンがある」

 ここで初めて捜査員は本当の身分を明かすわけですが、どのように犯行を防ぐのか?現場で行われるのは、実行役との緊迫の駆け引きです。

 棚瀬さんによると、状況に応じて様々なパターンが考えられるといいます。例えば、その場で説得するケース。

「このまま強盗すると、強盗の実行犯として捕まってしまうぞと。警察に事実を打ち明ければ警察はちゃんと守れるというようなアプローチを警察はします」

上位の容疑者の検挙も

 また、あえて泳がせる手法も。

その場で説得するケースもあれば…
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「実際にホームセンターで縄やガムテープを買ったと。その場面で『強盗予備罪』という形で逮捕して、逮捕下で取り調べを進めていくというやり方もある」

 こうして未然に犯行を防ぐという警察ですが、当然、その次の段階「首謀者の特定」まで捜査は続きます。

「そこ(現場)で、例えば(実行役から)スマホを押収して誰とやり取りをしているのかを明らかにすると、犯罪組織により近くなるので、実行役になりそうだった人間を説得し、得られる情報で捜査を進める」

容疑者の検挙に至った事例も
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 去年始まったばかりだという「仮装身分捜査」ですが、警察庁によると、1年間に13件実施され、実行役5人が逮捕されたほか、上位の容疑者の検挙に至った事例もあったそうです。

「“闇バイトの募集がしにくくなっている”のはあると思うが、今回の(栃木・上三川町の事件)のように16歳の少年が犯罪に加担するような状態は“割に合わない”ということを真に理解させるのが重要。SNSも彼らのよりどころになっているので、情報発信の仕方を工夫する余地がある」

(2026年5月20日放送分より)

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