
中東情勢の悪化に伴う原油高騰などの影響で、さまざまなものが値上がりしています。来月からは一般家庭の電気・ガス料金が値上がりします。
【画像】「売り物のマグロ」「販売できなくなったマグロ」を比較
「冷凍マグロ」現場苦境
日本屈指の冷凍マグロの水揚げ量を誇る静岡県。
福一静岡昭府店 松永知己店長
「もう、これ以上どうすればいいんだよ。どうしてもかかってくるものだからね、電気なんて」
そう語るのは、マグロの漁獲から加工、販売まで行う企業の直営店店長。
本マグロが「黒いダイヤ」と呼ばれるのに対し、「赤いダイヤ」と呼ばれるミナミマグロをオーストラリア近海などで漁獲し、販売しています。マグロの中でも随一と言われる脂の甘みが特徴です。
客
「(ここの)マグロは、まず間違いない」
「脂がきめ細かいので、中トロがすごくいいと思いますよ」
しかし今、コスト上昇がマグロを扱う企業を直撃しています。
松永店長
「船の燃料費(重油)ですね。(1回の航海で)7000万円~8000万円くらいだったのが、今1億円。20%~30%はどんどん上がっています」
そこに追い打ちをかけるのが電気代です。
「こちらが当店の冷凍室です」
「(Q.これ何度ですか?)マイナス40℃以下になります」
中は、まさに極寒の世界。
「そこにマグロが並んでいまして。きょうは15本くらいです」
新鮮なまま丸ごと凍結された天然ミナミマグロ、さらに奥にも部位ごとに分けられたマグロがありました。
「これはミナミマグロの中トロですね。ガッチリと(凍っています)。触っていると、脂がついてくるんですよ」
体温であっという間に脂が溶け出します。この温度管理がマグロにとって最も重要だといいます。
「(Q.温度が上がるとどうなる?)マグロの色が変わっちゃうんですよね。変色がひどいです」
「(Q.商品にならない?)ならなくなっちゃう。そのために、かなりの電気代がかかります」
こちらは、売り物のマグロ。温度が上がり販売できなくなったマグロと比較すると、発色の差がはっきりと見てとれます。
これ以上のコスト増は限界
今、この温度管理が経営に重くのしかかっています。見せてくれたのは、2021年からの電気代を示した資料です。暑さが厳しい夏で比較してみました。
永店長
「5年ぐらい前で、(8月は)60万円ぐらいになっています」
2021年はおよそ60万円。
「令和4年(2022年)で、一気に100万円ぐらい」
この年はウクライナ戦争の影響だといいます。
それ以降は90万円から110万円台と高止まり。そして今年、イラン情勢を受けて…。
「予測だと(前年比)約20万円は上がるんじゃないか」
「(Q.130万円くらいになる?)マックスそのくらいになっちゃうかもしれないですね。(値上げの)ラッシュですね」
これ以上のコスト増加は限界だといいます。
「企業努力では追いつけないところには来ていますよね。(補助金など)そういうところを見てもらいたいなと思いますよね」
洗濯店の切実な悩み
千葉県市川市にあるクリーニング店。今は一年で最も忙しい春の衣替えシーズン。その中で、切実な悩みがあるといいます。
クリーニングポッシュ 三谷哲生社長
「今は3つとも“トリプルパンチ”というのが正直あって」
トリプルパンチの1つ目は、原油高騰による「資材高」です。
「石油関係だと、包装用ビニールが21日から4割ほど値上げしました。(透明ビニールが)今、出荷制限がかかっている」
持ち帰り用の袋も、取り扱い先が在庫切れに。あと1カ月持つかどうかという状態です。プラスチック製のハンガーも仕入れ値が2割増しになるなど、影響が拡大。コスト増加の波にのまれ、中には4月中旬にクリーニング料金を約3割上げざるを得なくなった商品もあるといいます。
そこに追い打ちとなるのが「ガス」です。クリーニング店ならではの作業工程に、大きな打撃を与えます。
「これがボイラー。ガスでボイラーをたいています。このボイラーとコンプレッサーが心臓みたいなものなので、それがなかったら仕事が全くできない状態になる」
洗濯機や乾燥機、スチームアイロンなど、何台もの機械でガスを使用。
「(水洗機の)水温を上げるのに、まず蒸気を使っています。こっちの乾燥機を回すのにも蒸気で温めているので、9台の機械を全部蒸気で温めて使用しているような感じ」
ワイシャツの皮脂汚れなどを落とすため、洗濯に使う水を50℃に温めます。蒸気を作るガスは、まさにクリーニング店の“生命線”。
夏本番に向けて懸念も
さらに夏本番に向けて懸念されるのが、電気使用量の増加です。作業場の中は、スチーマーやアイロンの熱気で、過酷な環境です。
三谷社長
「外が35℃とか36℃とかっていう時は、中が40℃超えているので。これからの時期は本当に、エアコンも欠かせなくなってくるので、電気代に関しては、正直、すごく怖いなっていうのはありますね」
すでに今年の春は、去年に比べて電気代が上昇。夏場にエアコンをフル稼働させれば、電気代がどこまで跳ね上がるのか、見通しが立ちません。
「今はもう何でも上がっているので、ガスも電気もビニール包装とかの石油関係のものも、全部値段が上がっていくっていう不安はある」
円安や世界的な需要で…
飲食店も瀬戸際に立たされています。
埼玉県三郷市にある、からあげ専門店。店の外まで行列を作る、お客さんのお目当ては…。
客
「めちゃめちゃ大きいですよ、やっぱ」
「圧倒的ですね」
1個100グラム近い、特大サイズのからあげ。お弁当はふたが閉まりきらないボリュームが大人気です。ひと月に使う鶏肉の量は、3トンから4トン。そのメインとなる鶏肉が…。
キッチン BUS STOP 中村巧店長
「もも肉の価格が、普段の倍以上の仕入れ値の上昇」
こちらの店では、ブラジル産の鶏もも肉を使っていますが、円安や世界的な需要の伸びもあって価格が上昇。仕入れ値は、去年1月に1キロ350円だったものが、今年4月には780円と倍以上の価格に。
比較的安価な国産むね肉の取り扱いを増やし、仕入れ価格を抑えてきましたが、追い打ちが…。
「実は食用油に関しても、来月から一斗缶で500円ぐらいの値上げの連絡が来ました」
中東情勢の悪化による物流コストの上昇などを理由に、食用油の価格が高騰。来月からの値上げを、メーカー各社が発表しています。
ゴム手袋は倍近い価格に
そこに降りかかる、ナフサ不足。
中村店長
「来月から(価格が)上がるもの、先日業者さんから連絡が来まして。上昇率としては20%~30%ほど」
調理の際に着けるポリ手袋や、弁当から中身が出ないようにお客さんに巻いてもらうラップなどが軒並み値上げ。ゴム手袋に至っては倍近い価格に。さらに…。
「7月の納品分からお弁当容器、こちらも30%の値上げをするという連絡が来ました」
お弁当に使われる容器の値上げも決まっていて、月に10万円ほど負担が増えるといいます。
「尋常じゃない値上げ幅。もう次元が違う」
まだ終わりではありません。そこにのしかかってくるのが「ガス代」です。大量の鶏肉を揚げるために使われるガス。今月分の請求額は6万円を超えています。
「なかなか大変な時代になったなと。昔みたいな価格に戻ることは絶対ないと私は思っていますので、せめてこのままのペースを維持していただければ」
政府は中東情勢に伴う物価高対策として、今年度の補正予算案の編成を検討する考えです。規模は3兆円程度ということですが、中小企業支援や給付金を求める声もあり、 具体策の調整が続いています。
(2026年5月25日放送分より)
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