歴史的快挙でした。24日に東京競馬場で行われたG1レース、オークスで今村聖奈騎手(22)が日本人女性騎手として初めてG1制覇を果たしました。ヒロド歩美キャスターが今村騎手に独占インタビュー。勝負を決めたその瞬間、ジョッキーだけが見ていた景色を語ってくれました。
JRA女性騎手誕生から31年
レースから一夜、歴史的な快挙を達成した今村騎手。舞台となったG1オークスは、まさに圧巻のレースでした。
2400メートルという、3歳牝馬にとっては過酷な距離で争われるクラシックレース、オークス。
パートナーのジュウリョクピエロと後方待機から…馬群割って、怒涛(どとう)の追い込み!最後はクビ差、差し切ってゴールしました。
中央競馬で女性騎手が誕生してから31年。歴史の扉を開きました。
「(Q.改めて歴史を切り開いたという点で、どんな思いがありますか?)歴史に名を刻めるようなジョッキーになりたいとか、いろんな人に夢と希望を、お客さんや身近な人に与えられるようなジョッキーになりたいとずっと言っていて。『感動した』という言葉を最初に聞くことがすごく多くて、ここ一日で。すごいことを馬がプレゼントしてくれたんだと思って」
「(Q.なんて呼んでいるんでしょうか?ジュウリョクピエロを)『ピエちゃん』って呼んでます」
騎手を目指すきっかけは
多くの人々を感動させた今回のレース。レース後、大きな話題となったのが、一般公開されたジョッキーカメラです。
最後の直線、歴史的大逆転を今村騎手の目線で見ていくと、残り200メートル、ここではまだ真ん中の位置。一気に仕掛けます。
22歳が成し遂げた前人未到の快挙。その歩みが始まったのは2003年。滋賀県で生まれた少女は、騎手だった父・康成さんのもとで、物心ついたころから馬に触れて育ってきました。
そんな中、騎手を目指すきっかけとなったのが…。
「12、3年くらい前のオークスで、メイショウマンボっていう馬が勝った。父がメイショウマンボの調教に携わっていて、父がジョッキーを引退してすぐの時で、あまり競馬を見ることが正直少なくなっていた。また競馬を見るきっかけを与えてくれた、メイショウマンボは『キーホース』」
大舞台で輝く姿に心をつかまれ、2022年、晴れてプロの騎手に。デビューイヤーは鮮烈で、この年、51勝を挙げ女性騎手の最多勝利記録を更新します。ところが…。
「1年目ですごくいい成績をあげてから、2年目3年目と成績が下降していった。けがや自分の中で歯がゆさ。すごくもどかしい」
落馬によるけがや手術など不運が重なり、2024年にはキャリア最低となる年間6勝に終わります。
ピエちゃんと運命の出会い
一からの再起を誓った今村騎手に去年、運命の出会いが訪れます。
「最初の出会いは去年の秋ごろ。すごく優しい目をして、人間に寄り添ってくる。近くにいたら、ずっとペロペロなめてくる。触ってもすごい可愛いし、『すごい可愛い馬もいますね』って言っていた。いざ乗ってみると、それもまたギャップで。すごくしっかりしていて、いい馬だなと思った印象」
愛馬、ジュウリョクピエロをピエちゃんと呼び、2歳の新馬戦でデビュー。ともに勝利を重ねてきました。
現在、JRAでは男性騎手131人に対して女性は6人。レースでのポジション争いや馬をコントロールするための体力面で、男性のほうが有利とされています。
そんな中、今村騎手が大切にしてきたのが、馬との対話でした。
「あまり馬を触らないジョッキーの方もいらっしゃるんですけど、私は触ったり近くにいた方が馬のことを気づけると自分では思うので。少しでも馬と触れ合って、一頭一頭の馬と向き合っている」
ピエちゃんとの触れ合いを何よりも大事にしてきた今村騎手。夢をつかんだ大舞台。そのゴール直後でもピエちゃんとの会話を忘れませんでした。
「これからピエちゃんがどう成長するか、非常に楽しみです」
「(Q.目標はいかがでしょう?)一頭一頭としっかり向き合って、少しでも多くの馬と勝利を分かち合いたい」
「(Q.ピエちゃんは誰にも渡したくないですか?)当たり前です!」
「ギャップ萌え」の馬
ヒロドキャスター
「(Q.今村騎手の印象は?)ピエちゃんの話をする時はすごくうれしそうで、ピエちゃんはひと言で言うと『ギャップ萌え』の馬なんだと。普段は可愛らしくて人懐っこい。ただ、レースになると本当に強気で。強気で言うと、今回のレース直前に珍しく声を出して、鳴いたそうなんです。それは今村騎手からすると、きっとピエちゃんが私についてきてって言っているんだと感じ取って、その強気な気持ちに寄り添って勝ち取った勝利ということなんです。すごい通じ合っているなと」
大越健介キャスター
「レースを見ると、後ろから差してくる馬は外を回ってくる印象が強いですが、今村騎手とジュウリョクピエロはど真ん中を行っていました」
小木逸平アナウンサー
「第4コーナーを回って直線に来ると、馬群に阻まれて前に行けないことがありますが、後方からずっと長い脚を使ってくる中で、目の前がきれいに分かれていました。真っすぐ導かれたように、そのままゴール板へ駆け抜けていきました」
運命的な勝利かもしれません。今村騎手の姿、これからG1レースでも見る機会が増えそうです。
(2026年5月25日放送分より)
