
産業廃棄物などを一時的に保管する「ヤード」と呼ばれる作業場で、危険な条例違反が繰り返されています。
全国でも特にヤードが多い、千葉市の抜き打ち検査を取材しました。
先月、茨城県のヤードで火災
先月、茨城県坂東市で起きたヤード内の火災。激しく黒煙があがるその下で、メラメラと燃える炎が確認できます。
すぐ近くに住宅もあり、約2キロにわたって車両通行が規制。多くのポンプ車などが出動し、消火にあたりました。
ヤードとは、家庭や事業所から資源ごみを引き取り、選別して資源を取り出す一時保管場所です。
今、ヤードの火災が各地で発生し問題となっています。
抜き打ち検査に密着
今回、全国でもトップクラスでヤードが多い千葉市の抜き打ち検査に密着。まず最初に訪れたのは、千葉市の郊外にあるヤードです。
市職員
「いつものように回りますので…」
中に入ると、グレーの大きな機器や鉄類など、大量のさまざまな資材があちこちに置かれています。
複数の職員が、くまなくチェックしていきます。
市職員
「ん?」
何かに気付いた職員は、すぐさまヤード事業者のもとへ駆け寄ります。
市職員
「雑品スクラップって、火災の危険があるから横に(資材の置く場所)を分けてあって、燃え広がらないようにって置いてもらってるところなんで。火がついたら一番燃えるやつでしょ?」
事業者
「たしかに」
指摘したのは青いドラム缶に入った“廃油”。条例では火災に注意が必要なものは、種類ごとに保管する場所を設けて置くよう定められています。
今回は、大型機器のすぐ近くに油が置かれていました。
市職員
「これは、ごめん。今すぐに移動して」
事業者
「OKです」
市職員
「最初にやって」
もし、作業中に引火してしまうと、命にかかわる条例違反。事業者もすぐさまリフトを動かし、廃油の移動にとりかかります。
そして、ようやく元の位置へと戻すことができました。
市職員
「ちょっとの間だけ(他の場所に)積んでおくからだと、役所はそれがダメだよって話になっちゃうから。いつでも常にない状態にしておいてください」
事業者
「了解です」
事業者には違反という自覚はあったのか、聞いてみました。
事業者
「ダメなのは分かっていたのですが、あれを置いたのは、きのうの夜なんです。きょうは、ちょうど従業員が休みで、私だけが作業をしていたので、仕方がないですね」
こういった違反が横行していないかどうか1日に4~5件、ほぼ毎日抜き打ちで検査を行っているといいます。
近隣住民 作業音に…
こうしたヤードの危険性は、住民に不安を与えています。
ヤードが隣にある男性
「もう、ちょっと考えられないですね」
家のすぐ隣にあるヤード内の作業音に悩まされているといいます。
ヤードが隣にある男性
「そこにいたらもう、ドーン、ドーンとね。(話し声も)聞こえづらいし、ビックリする」
休みの日でも、毎日のようにかなりの音が響き渡るといいます。
市の環境保全条例では55デシベル以下での作業を順守しなければならず、基準を超え続けた場合は、行政指導などの可能性があるといいます。
実際に手元の騒音計で測ってみると、その基準を複数回超える瞬間がありました。
「7、8回」火災も
騒音だけでなく、こんな被害もあります。
ヤードが隣にある男性
「もう向こうのほうから、どんどん品物積んでるんで、壁がうちのほうの木にもたれ掛かっちゃってるんですよ」
男性住民の敷地側にヤードの壁が崩れ、木にもたれ掛かっているのが分かります。
さらに、ヤードではこれまで複数回の火災が発生したといいます。
近隣住民
「火災は7、8回ありますので…。いや、怖かったですよ」
直近では、2カ月前にも起きていました。
市によると、リチウム電池が資材に混ざっていたことで発火した事案もあったといいます。
騒音や振動、さらには火災など、いつ起きてもおかしくない状況に不安が拭えないといいます。
ヤードが隣にある男性
「耐えられなくて、もう行くところがないしね。やっぱり」
事業者はどう考えているのか?ヤードを訪ねてみました。
事業者
「知りません」
事業者
「責任者に連絡してください。私たちは雇われているだけなので」
ヤードには代表者がおらず、騒音などに関して詳しい回答は得られませんでした。
ヤードが隣にある男性
「共存していきたいですね。だから静かにやってくれればいいんだけど」
是正求められ“改善”
こちらのヤードは廃材がうず高く積まれ、まるで山のような状態になっています。3年前に撮影された写真です。
市の条例で決められていた高さを大幅に超え、約8メートルにまで資材が積まれていました。
他にも保管基準などの違反があり、そのたびに是正を求められてきましたが、今回、市の職員が再び向かうと…。
市職員
「そこだけ測ります。3.8(メートル)くらいですか?」
市職員
「4(メートル)もないよ」
高さは大幅に改善され、資材が壁を越えないなど、その他の基準もクリアしていました。
市職員
「違反はなかったので、これを保っていただいて」
1カ月前に同様の指摘も…
一方で、いまだ改善がされていない別のヤードもありました。
市職員
「また、フレコン(バッグ)の近くで…」
職員が指摘したのは、火花が散る作業場のすぐ近くにある布製のフレコンバッグです。
市職員
「この前も注意したんですけど、フレコンバッグ。あれ燃えやすいから、あれの近くでは火は扱わないでくださいって、前も注意したと思うんですけど」
市職員
「社長、この間も言ったじゃない!」
事業者
「火事にならない。燃えないものだよ」
市職員
「あの袋自体が、あの袋が燃えやすい」
条例では、延焼の恐れがあるものは作業場所の周囲に置かないよう定められています。
実は、1カ月前に同様の指摘をされていたにもかかわらず、今回も改善されていませんでした。
市職員
「あの袋は置かないでくださいという意味です」
事業者
「じゃあ今度は鉄箱ですか?」
市職員
「鉄箱ならOKです」
職員の指摘を受けて、作業場所からフレコンバッグを他の場所へと移しました。
市職員
「火事になったら大変なので」
再び指摘された違反について、事業者は次のように話します。
事業者
「前回は、ここに袋を置いていても燃えないから大丈夫だと思っていた。でも彼らに袋は燃えやすいからダメだと言われました。今後は鉄箱に変えて、そこに(資材を)入れるようにします」
常に見続けなければ…
多くのヤードが条例を守っている一方、常に見続けなければ、違反を見過ごしてしまう苦悩もあるといいます。
千葉市廃棄物指導課 秋山智博課長
「おおむね保管基準は満たしてきていると思っています。ただ一方で、事業場の中でもポイント、ポイントで違反している場所がある。日々チェックし続けて、保管基準のルールを守るということを言い続けていくということが、非常に大事だと思っている」
(2026年5月28日放送分より)
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