
先月、東京・新宿区で起きた強盗未遂事件で、28日に新たに実行役の男が逮捕された。この事件は、栃木の強盗殺人事件とのつながりも浮上している。トクリュウ型犯罪が急増する背景には何があるのだろうか。
栃木強殺 40代男に逮捕状
まずは、栃木の強盗殺人事件を巡る新たな動きを見ていく。
上三川町の強盗殺人事件では、これまでに実行役の少年4人と、指示役とみられる竹前海斗容疑者(28)と妻の美結容疑者(25)の6人が逮捕されている。
その後の捜査関係者への取材で、警察は海斗容疑者らのさらに上の立場にあたる40代の男を29日午後にも公開手配する方針を固めたことが分かった。
男はすでに中国に出国していて、東南アジアに逃亡した可能性もあり、警察は海外当局と連携して行方を追っているという。
(警察は29日午後、海外に逃亡した48歳の男を公開手配した。公開手配されたのは、住居・職業不詳の益田和彦容疑者(48)。)
事前下見…どんな情報を収集?
そして、この栃木の事件だが、新宿で起きた事件との接点が浮上している。
栃木の事件が起きた地域では、下見ともとれる複数の車が以前から目撃されていた。
また、新宿の強盗未遂事件では3月にも窃盗未遂事件が起きていて、この時、現場近くでは栃木で目撃された車の1台と同じ車種で同じ色の車が確認されていたという。
トクリュウ型犯罪の特徴の一つとして“事前の下見”があり、警察庁は今月15日、警戒と情報共有を徹底するよう通達している。
犯罪グループは下見によってどんな情報を収集しているのか。
愛知県警が過去に窃盗グループから押収した手書きの下見のメモには、家族構成や住人の出勤時間だけでなく、詳細な間取りやカネの在りかまで書かれている。
トクリュウ型犯罪の原点
トクリュウ型犯罪が生まれた背景には、かつて日本を騒がせたある事件が関係しているという。トクリュウ型犯罪の源流と凶暴化の背景を見ていく。
それが、2003年に大規模な摘発が行われた「五菱会事件」。当時の指定暴力団山口組系五菱会による巨大ヤミ金事件で、最高で法定の1150倍もの利息を取り立てるなどし、最大で約1000のヤミ金業者を傘下に置いていた。
当時、世間を騒がせた五菱会事件だが、龍谷大学嘱託研究員の廣末登氏は、「トクリュウの実態把握、ひもとくカギはヤミ金にある」と指摘する。どういうことか。
五菱会が作り上げたヤミ金の手口には2つの特徴がある。
まず「個人情報の積極的な活用」があるという。いわゆる“名簿屋”が介在し、そこから手に入れた家族構成、職場情報などを基に貸し付けのターゲットを選定していた。
そして、2つ目が「組織統括部門の存在」。“センター”と呼ばれる中枢が傘下のヤミ金業者のネットワークを管理し、センターが各業者に貸し付けや取り立てに関し指示していた。さらに債務者の返済期限が近づくと、他のヤミ金業者が新たな融資を持ちかけ、債務者の借金をさらに膨らませていった。
では、この手口がどうトクリュウにつながったのか。
五菱会事件などを受け、ヤミ金融対策法など対策が強化されたが、一方で、暴力団が代わりの資金を獲得するために特殊詐欺が増加した。
今度は高齢の富裕層などの名簿を使い、ヤミ金をしていた者が指示役となり、かけ子・受け子・出し子に指示を出すなど分業制が進んでいった。
すると、かけ子・受け子・出し子がこのノウハウを持って独立していく。今度は自らが指示役となり、闇バイトで実行役を調達するようになったという。
廣末氏は、こうした素人化がトクリュウ凶暴化の背景の一つだと指摘する。
暴力団との関係は?
では、トクリュウと暴力団の関係はどのようなものなのか。
警察庁によると、暴力団の構成員・準構成員などの数はグラフを見ると、2005年以降は減少の一途をたどっている。
ただ、2024年版の警察白書によると、トクリュウには「資金の一部が暴力団に流れているとみられるグループ」「暴力団構成員を首領やメンバーとしているグループ」「暴力団構成員と共謀として犯罪を行っているグループ」などが確認されているという。
若者の半数が「楽に稼ぎたい」
そもそも、なぜ犯罪に加担する若者が後を絶たないのか。ある調査を見ていく。
2021年に法務総合研究所が、刑事施設や少年鑑別所の入所者などを対象に行った“就労に対する意識”調査によると、「仕事について夢や目標を持っている」かという問いに、16歳・17歳は80%、18歳・19歳と20歳~29歳も8割近くが「そう思う」と回答している。
一方で「汗水流して働くより、楽に金を稼げる仕事をしたい」かという問いに対して、20歳~29歳は半数、16歳~19歳も半数近くが「そう思う」と回答している。
(2026年5月29日放送分より)
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