富士山麓でクマ続出“今までにない事態”独自コミュニティ形成「富士地域個体群」とは

富士山麓でクマ続出“今までにない事態”独自コミュニティ形成「富士地域個体群」とは

本格的な夏山シーズンを前に、富士山麓の町に不安が広がっています。原因は、相次ぐクマの出没です。地元の人たちも「今までにはなかったこと」という異常な事態とは?(5月30日サタデーステーションOA)

各地で山開き “いつもと違う装備”で

報告・笹原加奈子ディレクター
「きょう山開きを迎えたこちらの山ではいま安全祈願祭が行われています」

岩手県広野町の神社で開かれた初夏の風物詩、「久慈平岳山開き」。この登山道では直近のクマの目撃はありませんが登山に訪れた人は、いつもとは違う装備で。

登山客
「クマ鈴と水筒とクマよけスプレー。あとカマを持ってきた」

「今までにない」富士山麓でクマ続出

今週も相次ぐクマの出没。富士山の麓に位置する静岡県裾野市では先週から7日間連続して目撃されるなど出没が相次いでいます。去年の同時期の目撃数はゼロ件。今年はすでに20件近になっています。

約100頭生息か「富士地域個体群」とは?

裾野市 村田悠 市長
「今までなかったことが起きている」

過去に経験がない事態だという裾野市。実はこの地域のクマは、富士山周辺に生息していることから「富士地域個体群」と呼ばれています。

東京農工大大学院 小池伸介教授
「(静岡県を流れる)富士川よりも東側にいるツキノワグマの集団を富士地域個体群と言っている。今回裾野市で目撃されたクマは富士地域個体群から出没した個体だと考えられる」

長い間、独自のコミュニティを形成しているとみられていて、ほかの地域から河川や道路などで分断されることで生息域が狭くなっていることから、静岡県のレッドデータブックでは「絶滅のおそれのある地域個体群」とされています。

めったに見なかったクマがなぜ?地元は警戒強化

それなのになぜ、出没が増えているのでしょうか。県がおととし実施した生息数の調査では、およそ100頭が確認されています。

東京農工大大学院 小池伸介教授
「富士地域個体群が明らかな増加傾向なのか、それとも安定しているのかということすらまだわかっていないというのが現状だと思います」

裾野市猟友会 外川喜信さん
「見るのは本当に一年に1度くらいですからね。一度も見ない年もありますから」

ハンターでさえ、めったに目にすることがなかったという富士山麓のクマ。

裾野市猟友会 外川喜信さん
「この道路横切ったんですよ。この辺り」

猟友会も、箱わなの設置やパトロールを強化して警戒にあたっています。

独自調査 センサーカメラが捉えたのは

住民は今も緊張した生活を送る事態になっています。

家にクマが出没した住民
「ここから撮ったんですよ。いた場所があの辺ですね」

家の裏で先週日曜、クマが現れ、その様子を撮影していました。また、現れるのか。今回、住民の方の協力を得て、番組でセンサーカメラを設置させてもらいました。一晩あけて、映像をみてみると。

報告・小山颯ディレクター
「生き物の姿が映っています。今確認できるだけで5頭」

映っていたのはシカの群れ。住宅の裏は山の動物の通り道になっていました。

“クマ特別警報”導入検討 影響は

警戒のフェーズはさらに強化される方向へ。山形県の吉村知事は定例会見で“クマ出没の特別警報”の新設に言及しました。発表された場合には、山菜採りの自粛要請などが想定されているといいます。「山菜で生計をたてている人に強制するものではない」としていますが、当事者はどうとらえているのでしょうか?

のみくい処 幸生 小林広美さん
「これが一本漬けとおひたしですね」

今が旬のワラビ。こうした料理が人気だといいます。

のみくい処 幸生 小林広美さん
「とってきてくれる人がいなかったらなかなか口にできないということですね」

この山菜は、店主の父親が山で採ってくるのだそう。収穫の現状を取材させてもらうと。

ワラビ園を営む 菊地廣行さん
「だいたい長さ30センチくらい。クマが出てきやすいから。藪の周辺は気を付けている」

今はあまり山に入らなくてもいいように、畑にも山菜を植えているといいます。

ワラビ園を営む 菊地廣行さん
「山奥に入らないといいやつは採れないけども、やっぱり命が一番大切だからね」

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