
おととしは雷、去年は強風で中止となった夏の風物詩「足立の花火」ですが、3年ぶりの開催となった今年の敵は“気温”。人々の熱気と暑さ対策が交錯した、長い一日を追いました。(5月30日OA「サタデーステーション」)
3年ぶり花火に“約70万人”殺到 毎年天気に翻弄
報告・仁科健吾アナウンサー
「いよいよフィナーレを迎えています。黄金の花火が夜空いっぱいに咲き誇っています」
30日、東京都内で夏の花火シーズンの幕開けを告げる、「足立の花火」が開催されました。
観客
「3年前も見たんですけど、またこうやって見られて嬉しい」
例年、約70万人が詰めかける一大イベントですが、この6年間で5回も中止に追い込まれていました。サタデーステーションはこの数年間「足立の花火」に翻弄されてきた人たちに密着。開催までの道のりは、決して順調ではありませんでした。
午前0時から“異例の熱気”リベンジ勢の3年ぶり花火
場所取りが可能になったのは、30日の午前0時。
報告・田丸由樹ディレクター
「今0時になりました。0時になった途端に、皆さん、芝生エリアの中に入っていきました」
すぐに斜面を埋め尽くしたシート。「今年は足立の花火を見せてくれ!」と想いをシートに書き込んでいる女性の姿も。この女性が去年書いたメッセージも、偶然、取材班が撮影していました。
シートに想いを書いた人
「今年こそは絶対見てやるぞという気持ちです」
午前11時すぎ、シートについた泥を拭いていた、高橋さん。
「足立の花火」を毎年鑑賞 高橋さん
「(シートは)去年のまんま。土砂降りで逃げるように帰ったんで、それ以来開いたんで」
高橋さんとは、去年、同じ場所で取材班と出会っていました。
一昨年は雷雨・去年は強風で中止に
おととしの開催日は7月。猛暑日となり、警備員が熱中症で救急搬送される事態も起きました。さらに雷も鳴り響き始めると…
アナウンス(おととし7月)
「本日の花火大会は中止と判断させていただきました。大変申し訳ありません」
報告・仁科健吾アナウンサー(おととし7月)
「みなさん悲鳴を上げながら帰宅の準備をしています。泣いてらっしゃる方もいますね」
“ゲリラ雷雨”の直撃で開始25分前に中止が決定。およそ40万人がそのまま帰路につきました。そして、去年。天候や熱中症のリスクを低くするために、開催日を5月末に前倒ししましたが…
報告・仁科健吾アナウンサー(去年5月)
「土手に設置してあるテントが風で倒されました」
強風により、招待客用のテントは、なぎ倒されてしまいました。さらに、この日の都心の最高気温は17.1℃。そのころ、高橋さんは…
「足立の花火」を毎年鑑賞 高橋さん(去年5月)
「絶対大丈夫です。雷がなければ大丈夫です」
しかし、関東では雷も鳴り始め、強風も収まらず…
アナウンス(去年5月)
「本日の足立の花火は強風のため、中止となりました」
「足立の花火」を毎年鑑賞 高橋さん(去年5月)
「ガッカリです。ガッカリの一言です」
新型コロナによる影響を含めると、6年間で5回の中止を余儀なくされた、「足立の花火」。運営責任者の携帯には、天気のアプリがびっしり入っていました。
足立区観光交流協会 安田真人 事務局長
「私自身もプライベートで気象神社にお参りにいってきましたし、どこにいっても神社や仏閣で、晴天祈願させていただいています」
全国で真夏日続出 今年の花火会場の敵は“暑さ”
その思いが届いたのか30日は、全国的に雲ひとつない青空が広がる1日となりました。ただ、気温もぐんぐんと上がり、182地点で真夏日に。東京・練馬では、7月中旬並みの暑さとなりました。
報告・仁科健吾アナウンサー
「午後2時過ぎです。肌を刺すような暑さとなっていまして、手元の温度計は33℃以上と表示されています」
30日午前0時から場所取りをした高橋さん。大きな氷の塊を用意するなど熱中症対策に余念がありません。この日は、30人の仲間のためにお手製の料理も準備しました。
「足立の花火」を毎年鑑賞 高橋さん
「今作って来ました」
「足立の花火」一時“中止基準超えの風” 北日本でも荒天
期待感が高まっていますが、高橋さんには、心配していることがありました。
「足立の花火」を毎年鑑賞 高橋さん
「怖いよね。風が強くなるって朝の天気予報で。去年(中止理由は)風なんでね」
見渡すと、所々でレジャーシートが吹き飛ばされています。大会が中止となる基準の一つは、風速7メートル以上の風が10分以上継続しているということ。午後2時ごろには、付近で7メートルを超える風を数分間観測しました。
「足立の花火」を毎年鑑賞 高橋さん(30日東京・足立区)
「なんかやばいよねこの風。大丈夫これ?」
午後1時ごろ、秋田県の北部、小坂町では、大雨に交じり、ひょうが降り、屋根や地面をたたきつけました。
撮影者
「屋根にバチバチ強い音がした。とにかく音がすごかった。真っ白になってので、まるで花壇に肥料をまいた感じでした」
北日本では、寒気を伴った気圧の谷が通過した影響で大気が不安定になり、青森や秋田では、5月の観測史上1位となる強い雨を観測しました。
2年連続「直前で中止」屋形船は期待と不安
東京都内で作業していた安藤さんは、期待と不安に揺れていました。
屋形船「晴海屋」船頭 安藤慎一さん
「去年も一昨年もですけど、こうやって直前まで天気を確認して、多分大丈夫だろうと思ったら直前で中止になってるんで」
安藤さんは毎年、屋形船の船頭として「足立の花火」に参加しています。番組は、去年も取材していましたが、会場に到着した30分後。
屋形船「晴海屋」船頭 安藤慎一さん(去年5月)
「マジ、なんで!? えっ」
2年連続で乗客に中止を告げることに…。
屋形船「晴海屋」船頭 安藤慎一さん(去年5月)
「ただいま本部の方から開催中止がアナウンスされました…」
心苦しかったのは、料理込みで一人およそ4万円の料金。出港後に花火大会が中止になると、返金できない決まりです。ただ今年も、用意した4隻220人の枠が、ほぼ満席になりました。
屋形船 晴海屋 船頭 安藤慎一さん
「今年こそ、みんなで足立の花火を見ましょう!乾杯!」
“約70万人”殺到 DJポリスも「全力で警備」
花火大会の開始まで1時間と迫った、午後6時すぎ。
報告・仁科健吾アナウンサー
「花火の打ち上げまで残り1時間となりました。北千住の駅から会場までの道中、交通規制がされていまして、どんどん人が押し寄せていまして、土手のほうは多くの人で混雑しています」
続々と会場に向かう人の群れ。
DJポリス
「警察官が全力で警備にあたっています。いましばらくお待ちください」
午後7時、びっしりと人で埋め尽くされた会場。3年ぶりとなる“その時”がくるのを、固唾を飲んで見守っています。観客は待ちきれないのか…スマホのライトを一斉に空に掲げています。
ついに…3年ぶり約1万3千発の「高密度花火」
そして、午後7時20分。カウントダウンが始まると…
報告・仁科健吾アナウンサー
「今、花火が打ちあがりました。場内からは大きな歓声があがっています。3年ぶりの歓声です」
「足立の花火」は約1万3000発がわずか1時間で打ち上がる、“高密度花火”が特徴です。見どころは、2本の光の滝が現れる、「Wナイアガラ」。屋形船から見ていた、船頭の安藤さんは…
屋形船「晴海屋」船頭 安藤慎一さん
「(花火)上がりましたね、よかった」
毎年、場所取りをしてきた、高橋さんは…
「足立の花火」を毎年鑑賞 高橋さん
「やばい、やばい、やばい。3年ぶり。最高、最高です」
過去6年で5回の中止。くしくも、花火大会の開催が当たり前ではないことを示してきた「足立の花火」。
足立区観光交流協会 安田真人 事務局長
『足立と言えば花火だよね』と区民の方におっしゃっていただけるような、本当に大きなイベントになっていますので子ども達の世代にもしっかり受け継いでいきたい」
帰宅ラッシュ 観覧客の大移動を空から見ると…
報告・仁科健吾アナウンサー
「いま花火が終わりました。皆さん一斉に立ち上がって、駅の方へと向かっていきます」「花火が上がっていた河川敷から続々と人が駅の方へと向かっていきまして、道を見てみますと人で埋め尽くされています。身動きが取れないような状態になっています」
花火大会の終了後には会場から近い北千住駅へ向かう道路を中心に大混雑に…。
報告・矢谷一樹ディレクター
「花火大会が終了し、北千住駅周辺はたくさんの人でごった返しています。警察の方が誘導していますが、かなり混雑しています」
感動と混乱が入り混じった一日となりました。
