日本時間15日午前6時ごろ、アメリカのトランプ大統領が、アメリカとイランによる戦闘終結に向けた覚書の合意成立を発表した。その後、イラン当局も覚書の文面が最終決定したと合意を認めた。この発表が持つ意味や言葉のニュアンスや今後について、テレビ朝日外報部の大原武蔵記者が解説を行った。
大原記者は、「戦闘終結に向けた覚書の合意成立」という回りくどい表現のニュアンスについて、簡単に言えば「戦闘終結に向けた入り口に立った」という意味であると指摘した。激しい戦闘が行われている状況よりは改善したものの、あくまで入り口の段階であるとの認識を示した。
また大原記者は、「合意成立」と、今後予定されている「署名」の間にはニュアンスの違いがあると説明した。今回の合意には、6月19日にスイスで署名式を実施することが含まれている。大原記者は、19日に署名が行われて初めて「話し合える土台」や「(入り口の次に立つ)スタートライン」が出来上がるのであり、現在の合意成立はその前段階に過ぎないと解説した。
この合意の具体的内容について大原記者は、仲介国であるパキスタンのシャリフ首相とトランプ大統領のSNSでの発表を基に解説した。シャリフ首相は、レバノンを含むすべての戦線での戦闘終結や署名式の日程を発表し、トランプ大統領はアメリカ海軍によるホルムズ海峡の海上封鎖の即時解除などを表明した。イラン側も、国家安全保障最高評議会などの声明を通じて同様の内容を認めている。
さらに大原記者は、合意発表の直前にイスラエルがレバノンのヒズボラを攻撃したことによる影響を説明した。発表直前の未明に攻撃が行われたため、イラン側は当時反撃を検討しており、イスラエルとイランが再び戦闘状態に陥る可能性を極めていたという。
しかし、ここにトランプ大統領がさらなる仲介をして、イラン側に反撃を思いとどまるよう要請した。その代わりとして、海上封鎖を当初の「30日間の猶予」から「即時解除」へと変更し、レバノンを含むすべての戦線における戦争の終結というイラン側に有利な譲歩案を提示したことで、イラン側が攻撃を行わずに交渉のテーブルに残り、合意に至ったという経緯を大原記者は明かした。
大原記者は、19日に署名が行われたとしてもそれは「入り口の次のスタートライン」に過ぎないと述べ、今後の展開における3つの不安要素を挙げた。
1つ目は、ホルムズ海峡の問題である。トランプ大統領が通航料の恒久的無料を主張する一方、イラン側は管理のための「サービス料」を徴収すると主張しており、双方の主張に食い違いが見られる点が19日の署名式までの課題であるとした。
2つ目は、イスラエルの動向である。合意直前まで戦闘があったことから、19日の署名式までの期間や、その後の60日間の交渉期間中にも、戦闘や攻撃の応酬が再開する懸念が否定できないと語った。
3つ目は、核問題である。トランプ大統領が「イランは核兵器を保有しないと合意した」とする一方、イラン側はそもそも一度も核兵器を保有したと認めていないという前提の認識のズレを指摘した。さらに高濃縮ウランの処理方法について、アメリカ国内かイラン国内での「希釈・破壊」を求めるアメリカに対し、イラン側は国外搬出を拒否して国内での「希釈」を主張しており、両国の隔たりは大きいと解説した。大原記者は、これらの課題があるため、今後も情勢を注視していく必要があると締めくくった。
(ニュース企画/ABEMA)

