
今年に入って関東では都市部でもクマの出没が相次いでいます。東京都はツキノワグマの狩猟をおよそ20年ぶりに解禁する検討を始めました。
手に木刀…都内ハンターは
手に木刀を握りしめ山の中を歩く男性。都内で活動するハンター歴およそ15年、小川岳人さん(43)。
22日に行っていたのは、農家などに依頼され東京・日の出町に仕掛けた罠の見回りです。
「(Q.罠に掛かっています?)いいえ、掛かってはいないですね。掛かってはいないんですが、罠自体は作動はしたけれども、掛からなかったパターンですね。こういうのもしょっちゅうあります。メンテナンス作業を行うのが、日々のルーティンワークになる」
ハクビシンやシカ、イノシシなどの動物を駆除するため、日の出町や隣のあきる野市にある山や畑など14カ所に罠を仕掛けています。
「餌(えさ)はキャラメルコーンと決めて、これをずっと使っています。自然界にはない油と砂糖で作られているお菓子が効果が高いと。野生動物って常に高いカロリーがあるものを欲しているところがある。こういう甘くて油っぽい匂いがするのは、かなり誘引力がある」
中には、奥行き2メートルほどの箱罠も設置していました。
「捕獲自体はこれでクマもとれてしまうもの。(クマが)全然入れる大きさだし、ゼロではないです」
日の出町では去年、クマの目撃が相次ぎ、住民の緊張感が高まっています。
「目撃情報が増えているということは、個体数も増えているのでは」
狩猟解禁検討 ハンターの不安
今月だけでも都内ではすでに16件、クマの目撃情報などがありました。
4月には八王子市の住宅街に出没、その姿が捉えられ、青梅市では去年、白昼堂々出没する姿も撮影されています。
東京のツキノワグマ。目撃だけにとどまらず、奥多摩町では先月、男性が襲われ重傷。さらに2日後にも、クマに襲われた可能性のある遺体が見つかりました。
都内に忍び寄るクマの影。都は相次ぐ人身被害などを受け、新たな方針を示しました。
東京都 小池百合子知事
「狩猟解禁ということでクマの管理計画の中で、狩猟の限定的解禁ということで検討をいたします」
東京都は2008年にツキノワグマの保護のために、狩猟を禁止していましたが、解禁されればおよそ20年ぶりとなります。
東京都が検討する「クマの狩猟解禁」。現場のハンターはこう話します。
小川さん
「やっぱり鉄砲を持った、要はクマをとるぞっていう人たちが山に入ることで、クマはそれに対して警戒や恐れを抱いて、人里に近づかないようになる。必ずしも捕獲だけではなくて、猟をする人が増えることによって、クマが人里に近づかないようにするという効果はあるはず」
一定の抑止効果に期待を寄せつつも、実効性については慎重な見方を示します。
「長年ずっと東京ではクマ猟がやられていなかったわけなので、どこにクマがいるのかとか、知識はかなり乏しいものがある。すぐに(クマ)とれることにはならないのではないかと思います。5年とか10年とか、そのぐらいの中長期のスパンでみるべきではないか」
茨城で「緊急銃猟隊」結成
一方、今年はまだ目撃情報がない中、いち早くクマ対策に乗り出した茨城県。
今年2月に結成された「緊急銃猟隊」。茨城県内の狩猟免許取得者およそ3300人の中から選ばれた、37人の精鋭。ベテランハンターです。
狩猟歴37年 大須賀正弘隊長
「やっぱり、よそ(他県)でいっぱいクマの被害があるから、そういうものを出る前に(緊急銃猟隊を)作ろうと。出てからでは遅い。被害が出てからでは遅い」
茨城県では去年、栃木県と福島県に隣接する大子町でクマの姿を確認。クマの出没を確認したのは9年ぶりのことです。
茨城県で初めてクマが出没したのが2006年。それから現在までの20年で確認されたのはたった6件と、ほとんどクマの出没情報はありません。しかし、関東の市街地での相次ぐ出没に危機感を募らせています。
茨城県猟友会 冨田亮二事務局長
「(Q.もしかしたら市街地だったり、住宅に出る可能性も?)それもゼロではない。何年か後には、そういう可能性もありますよね」
狩猟歴40年 坂上喜優隊員
「宇都宮で出てるんだからね」
大須賀隊長
「隣だからね県が」
隣接する栃木県宇都宮市では今月、人通りのある商店街を駆け抜けていくクマが目撃され、その後、住宅街など人の生活圏を逃げ回り、最初の目撃情報から3日後に捕獲されました。
一般的に、対応するのは出没地域の猟友会ですが…。
冨田事務局長
「本当に市町村だけで対応できるのかなと。(茨城県は)クマに対して慣れてない県なので。茨城県としてはなんとかしなくちゃならないということで、市町村を越えた隊を作ろうということで」
クマに慣れていないからこそ、どの市町村で出没しても、緊急銃猟の対応ができるよう県が主導して緊急銃猟専門の隊を結成しました。
さらに、迅速な対応をとるために、すでに職をリタイアした人や自営業の人など、時間に縛りのないメンバーのみで構成されました。
実戦不足が課題に
ただ、課題もあります。
「(Q.37人のうちクマを実際に撃ったことある隊員は?)2~3人くらいじゃないですかね」
狩猟歴25年 三輪英樹隊員
「課題は実際にまだクマにあって緊急銃猟で出動してやっていないので、今の時点では想定して動いてるという形です」
クマの出没が少ないが故の実戦不足です。
そこで、先月は山形からクマの狩猟経験が豊富なハンターを講師に招き、講習会も実施。
大須賀隊長
「クマの捕獲の仕方、クマの恐ろしさ、そういうものを勉強して、突然クマにあっても対応できる体制を作りたいということで」
射撃訓練の回数も増やすといいます。
この日、ライフルで狙っているのは50メートル先の的。
大須賀隊長
「結構当たってるから大丈夫じゃん」
坂上隊員
「イノシシの場合、大体は撃てば逃げちゃう。クマの場合は襲ってくる可能性がある。そういうのがやっぱり危険性。危険を伴うっていうことですね」
大須賀隊長
「ただクマっていうから怖いっていうかもしれないけど、まだ恐怖心よりもそれを訓練で恐怖心なく的確に撃てるようにするのが、今の隊のまとめ方」
さらに、クマが市街地に出没した時を想定した体制も組んでいます。
坂上隊員
「ライフルはどっちかというと遠射が効く。近距離の場合だったらスラッグ弾(散弾銃の弾の一種)のほうが弾が大きいんで致命傷になりやすい。ライフル(遠距離)はどっちかというと近くで撃った時に貫通しちゃうとか、そういうのもありますので、そのグループで組み合わせて、ライフル担当3名でスラッグ弾(散弾銃担当)2人とか。例えば1人が外しても脇の方が補助してくれる。そういう感じで1人で撃たないで、みんなでグループにいましょうと。近くにいましょうと」
クマのいる場所や距離など、どの状況にも対応できるように、ライフルと散弾銃の混成チームを作っているといいます。
大須賀隊長
「来年出るか、再来年出るか分かんないけど、そういう(クマが)出てからの対策では遅い。やっぱり出る前にこういう対策をしてくれるってことは、一番住民の安心とかあるんじゃないかなって」
(2026年6月23日放送分より)
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