
23日午後7時半ごろ、島根県出雲市のアーケード商店街『サンロードなかまち』で発生した火災。延焼が食い止められ、鎮圧されたのは、出火から10時間以上経った、24日午前5時45分でした。

出火直後とみられる映像には、煙が充満するアーケードの中で、放水を続ける消防隊員の姿が映っています。しかし、火は収まる様子を見せません。一夜明け、少し高いところから見ると、炎は、商店街の裏側にある住宅街へと広がっていったことがわかります。
なぜ、火は広がっていったのか
24日未明の映像では、住宅街への放水は、はしご車を伸ばし、建物越しに行っています。この場所ならではの“消火活動の難しさ”がありました。

出雲市消防本部 森山賢次消防長
「密集した木造住宅の多い地域で、消火活動に困難があった。アーケードの屋根が消火活動の障害になっている部分もある。路地が狭かったところが、一番、難しかった」
密集した木造の建物、アーケード、そして、狭い路地。長く続いてきた商店街のつくりそのものが、消火活動を難しくしていました。
この火災で、商店街の一部など、十数軒が焼け、消防団員2人が体調不良を訴え、搬送されました。
市民とともに歩んだ“栄枯盛衰”
『サンロードなかまち』の歩みは、出雲の発展と重なります。
1910年、明治43年。いまの出雲市駅が開業すると、人が集まるようになり、『サンロードなかまち』は形作られていきます。


高度成長期に入ると商店街も波に乗りました。
1961年にはアーケードが整備され、買い物と言えば『サンロードなかまち』。それが、出雲市民の日常だったそうです。
しかし、時代が平成に変わると、店舗数は、ピーク時の3分の1近くまで減少。シャッターを下ろしたままの店も目立つようになります。
ただ、最近は少しずつ変化も生まれていました。
出雲市民
「商店街の若い人が、いろんな努力して、私、びっくりして、子どもが小さいとき以上に人が集まるようになって。イベントを打ったりして、良くなった」
かつての賑わいを取り戻したい。商店街が一体となって取り組み、実を結び始めた矢先に起きた火災でした。
サンロードなかまちで約40年にわたり、飲食店を営んでいた男性。

飲食店を経営する人
「仕事をしていたら『火事だよ』と。そのときには、だいぶ(火が)向こうだった。急に風向きか何かで、火がこっちに入ってきて。消防の方、警察の方が、急いで避難してくれと」
店は、全焼したといいます。再建するのか、すぐに決断することはできません。ただ、今後については、こう話します。
飲食店を経営する人
「この先どうしたらいいのかという感じ。前向きに考えるしかない」
商店街の理事長も取材に対し、8月に行われる年に一度の夏の風物詩『土曜夜市』について、復興に向けた一歩として、「なんとしても開催したい」と話しています。
◆店舗や住宅が密集した商店街は全国にあります。どうやって火災を防げばいいのでしょうか。

出雲市消防本部によりますと、商店街のアーケードに面した店舗などの一角から出火。その後、東側・南側の店舗や住宅に燃え広がり、飲食店など十数軒、3400平方メートルが燃えたといいます。
消火活動は、3方向から行われました。
大通りからはしご車を使い、高所から放水。アーケードの中から、ホースで放水。アーケードから1本入った通りは道幅が2.2メートルと狭く、消防車が入れないため、ホースをつないで放水。一方、南側は、住宅が密集していて、入れるところも少ないため、放水できなかったとのことです。

消防は「建物が隣接していて道が狭いため、片側からしか放水できず、延焼を食い止めるのに時間がかかった。また、木造住宅が多いため、火の回りが早く、アーケードの屋根も建物に水が届く障害になった」といいます。
消防によりますと、発生から丸1日が経過した24日午後7時半に、鎮火を確認したとしています。
◆これまで数々の消火活動にあたってきた元東京消防庁警防部長、佐藤康雄さんに聞きました。

佐藤さんは「通常、隣との間隔を1階は3メートル、2階は5メートル離すと、延焼の危険が少ないといわれている。火災が起きた商店街は、隣と軒下が接しているため、まるで全体が1つの木造建物と同じようなもので、瞬く間に燃えたのでは」といいます。
また、出雲市によりますと、商店街には空き家が点在していたとのことです。

これについても、佐藤さんは「火は、軒先から屋根裏をつたって燃え広がるので、延焼を防ぐためには、屋根裏への放水が基本。空き家や空き店舗が多い場合、施錠されて、雨戸も閉まっていることが多いため、中に入って、屋根裏に放水できず、延焼を防ぐのが難しい」としています。
◆密集した商店街などで、火災の広がりを防ぐためには、どうしたらいいのでしょうか。

佐藤さんは「まずは、住民による初期消火にできるだけ早く取り掛かる。住民一人一人が“延焼しやすい建物街区に暮らしている”と認識し、空き家の位置など、みんなで共有して、自衛のための消防隊を結成するなど、みんなで街を火事から守るという意識作りが必要だ」としています。
