養子案は“例外規定”なぜ?皇室典範改正要綱を「了承」与野党からは制度設計に異論

養子案は“例外規定”なぜ?皇室典範改正要綱を「了承」与野党からは制度設計に異論
この記事の写真をみる(10枚)

皇族数の確保をめぐり、政府は、国会がまとめた“総意”に沿う形で、皇室典範の改正に向けた要綱を作成しました。しかし、それを見た与野党からは異論が噴出。国会の総意を基にしているはずなのに、なぜなのでしょうか。

【画像】養子案は“例外規定”なぜ?皇室典範改正要綱を「了承」与野党からは制度設計に異論

与野党からは制度設計に異論

皇族数確保に関する全体会議
拡大する

25日午後、衆議院議長公邸に入った木原官房長官。集まったのは衆参両院の正副議長、そして各党派の代表者たちです。政府はこの場で皇室典範改正案の要綱を示しました。

国会が、皇族数の確保策としてまとめた『女性皇族の結婚後の身分保持』について、政府は皇室典範の条文を改正して対応するとしました。女系天皇の議論につながることから意見が割れていた、夫や子どもの身分については触れませんでした。

養子案
拡大する

そして、国会がまとめたもう1つ、旧宮家の男系男子を養子に迎える案については、皇室典範の末尾に新たな章を設け、例外として定めることにしました。養子になれるのは15歳以上の男子で、妻や子どもがいない人に限るとしています。また、養子本人は皇位継承の資格を持たないこととしました。

要綱を見た各党からはここに来て、くすぶっていた不満がこぼれ出しています。

日本維新の会 藤田文武共同代表
拡大する

日本維新の会 藤田文武共同代表
「養子案については15歳の制限を設けることに反対。例えば幼子の養子というものも民間でも当然認められているし、小さい時に養子に行かれた方は、その環境に順応しやすいし、そして皇室内での教育も受けられる」

異論は法案が出た後に国会で議論されることになりますが、会期は残り3週間ほどです。

立憲民主党 長浜博行参院議員
拡大する

立憲民主党 長浜博行参院議員
「万が一、さっさと法案処理すればいいと考えているとしたら大問題。女性皇族がご自身の意思により、婚姻後も皇族の身分を保持することを可能とすることのみに絞った法制化が、残りの会期を考慮すれば現実的」

森衆院議長は会議後、要綱を了承したと明かしました。

森英介衆院議長
「時間も残り少なくなっていますから、きちんと進めていただくことを要望したい」

女性皇族は「皇室に残る」

国会の総意として、皇族数を確保するために政府に提示された案は主に2つでした。

皇族数確保のための案
拡大する

(1)女性皇族が結婚後も皇室に残る案
(2)旧宮家の男系男子を養子に迎える案

女性皇族が結婚後も皇室に残る案
拡大する

これを踏まえて、政府が25日に示した要綱は『女性皇族の扱い』について皇室典範を改正するとしています。「結婚後身分を離れる(皇室典範第12条)」から、「身分を離れることがないものとする」に改正。ただ、現在の女性皇族については「自身の意思で離れることができる」という経過措置を設けます。

一方で、女性皇族が皇族として残った場合、女性皇族の夫や子どもに皇族の身分を与えるかどうかは、政府の要綱でも明言せず、先送りした形となります。

旧宮家の男系男子を養子に迎える案
拡大する

もう1つの『男系男子の養子案』について、示された要綱では、養子となる対象を「旧宮家の子孫で現に皇族でないもの」「15歳以上の男子で配偶者及び子がないもの」としました。養子の親の範囲は「天皇皇后両陛下、上皇ご夫妻、秋篠宮ご夫妻」を除く10人としています。「養子皇族男子、つまり養子自身は皇位継承資格を有しない」など養子案の詳細に踏み込みました。

そして、要綱で初めて示されたポイントですが、これらの養子案について、皇室典範の末尾に“例外規定”として新設する方針を示しました。

こうした内容について「皇族数の確保の状況等を勘案し、必要な場合30年ごとに見直しが行われる」としています。

養子案は“例外規定”なぜ

皇室典範改正について取材している、政治部の奥住憲史記者に聞きました。

奥住憲史記者
拡大する

(Q.養子案があくまで“例外”となった背景は)

奥住憲史記者
「“例外”という文言は、養子制度に慎重な立場への配慮ではないか。養子制度については、世論の理解が十分とは言えず、制度そのものに慎重な野党もいる。政府は骨子段階にはなかった“例外”という文言を要綱で加えることで『養子を一般的に認めるわけではなく、皇族数確保のための限定的措置だ』というメッセージを示したと思われる」

奥住憲史記者
拡大する

(Q.養子の子どもが男子だった場合、皇位継承権を持つのかどうかという件は明記されなかった)

奥住憲史記者
「ポイントは“書いていない”ことにある。現在の皇室典範第1条には『皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する』と書いてあるが、養子の子が男子の場合、自動的に当てはまることになる。その解釈を担保するため、要綱には『その子孫の皇位継承資格の有無はあえて明記しなかった。政府としては、男系男子による皇位継承を重視する立場にも配慮しつつ、30年後の見直し規定を設けることで、将来の制度見直しを求める慎重な立場にも一定の配慮をした制度設計を目指したと見ることができる」

この記事の画像一覧
外部リンク
この記事の写真をみる(10枚)
このまま画像を見る
続きは広告を見た後にご覧いただけます
クリックして広告を見る