
上皇さまも心配されていたようです。生前退位について、直接お気持ちを聞いていた宮内庁の元長官がインタビューに応じました。今、国会で議論されている皇室典範、さらに象徴天皇のあり方について言及しました。
“典範改正” 宮内庁元長官が語る
上皇さまを支えた 元宮内庁長官
羽毛田信吾さん(84)
「極端な言い方をすれば、天皇制が、天皇のご存在が今後もわが国にとって『いりますか』『どうですか』という問いを突き付けられる状態が、そう遠くない時に来やしないか、そういう心配です」
羽毛田信吾さんは、上皇さまの時代を宮内庁長官として支えました。2006年に悠仁さまが誕生した際には、皇統譜に宮内庁長官として署名をし、笑顔をみせました。
自民党 麻生太郎副総裁
「本当にようやくここまでたどり着いたというのが率直な思い」
現在、皇族数の確保について議論が進んでいます。天皇在位中から上皇さまも心配されていたといいます。
羽毛田さん
「上皇さまは皇位継承が将来にわたり安定的にいくか、見通しが立たないことに非常に心配され、現に天皇陛下の地位にあるものとして、道筋をつけていかないまま過ぎていくことについて、ある種のあせり、そういうお気持ちはあったと思う」
羽毛田さんは2011年、野田政権が誕生した際に、皇族数の減少を緊急の課題として総理に直接伝えたと報道されました。
「客観的な事実として今の皇室典範の法律制度は、構造的に欠陥があると言わざるを得ないと思う。近い将来に皇族が急速に減る状況になった時、悠仁さまがご即位なさるという時に、お助けをする皇族の方々がほとんどいらっしゃらないというような事態があり得る。非常に問題だということ」
野田政権の時代、皇族は22人いましたが、現在は14人に減っています。
「皇族数確保の問題と同時に、皇位継承の安定の問題も、決してゆっくりやればいい性質の問題ではないと思う」
現在行われている皇室典範改正の議論は、皇族の数の確保であり、安定的な皇位継承については、表立っての議論が行われていません。
「天皇陛下・上皇さまが一生懸命された象徴天皇のご活動は、将来にわたって維持できるかどうか、危機意識みたいなものがあってもいいのではないかと」
象徴天皇の在り方
羽毛田さん
「存在意義の一つ。小さい事例なんですけど」
羽毛田さんは長官時代、ある場面で上皇さまが考える象徴天皇としての在り方を感じたといいます。
津波の被害を受けた宮城県南三陸町の当時の町長の言葉です。
「『こういうふうにお見舞いをいただいて、本当に絶望の底にある我々だが、これで前向きに生きようという気持ちが、我々を見捨てられてないんだという気持ちが非常に湧いてきた』と。これが天皇の一つの役割だなというふうに思った。ある種、象徴天皇の本質をつくようなお話じゃないかなと」
当時、上皇さまはひざをついて被災者の話を聞かれました。
上皇さま(当時77歳)
「みなさんご無事でした?そうですか、それはよかったですね。からだに気をつけて」(2011年)
退位を決意されたのも高齢になり、こうした象徴天皇としての役割を果たせなくなることを危惧されたからでした。
上皇さま 「お気持ち」表明
「国内のどこにおいてもその地域を愛し、その共同体を地道に支える市井の人々のあることを私に認識させ、私がこの認識をもって天皇として大切な国民を思い、国民のために祈るという務めを人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした」(2016年)
羽毛田さん
「その地位にあられる伝統・血統を継いでいることも大事なことで。それだけではなく、国民のことを祈り、それを実践活動を通じてあらわされるという在り方は、やっぱり、大事なのかと思います」
国民の理解得られる改正か
政府は、皇室典範の改正に向け、来週30日にも閣議決定を行う見通しです。
天皇陛下は先日の記者会見で、この議論について言及されています。
「皇室の在り方や活動の基本は、国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にすることだと考えており、こうした皇族数の確保の在り方についての議論においても、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」
羽毛田さん
「(Q.先日の会見を聞いて)それはまた誠にその通りだと思う。そもそも民主主義のもとにおける天皇制ということを考えるならば、当然多くの国民の理解と共感を得て在り方が決まってくることは大事なこと」
国民の理解を得られる改正となるのか、政府は今の国会での成立を目指しています。
(2026年6月26日放送分より)
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