
EV(電気自動車)の充電設備を手掛けていた中部電力系の「ミライズエネチェンジ」という会社のグループ内で、補助金を水増しして請求していた疑惑が浮上しています。会社側にはこれまで国から105億円の補助金が投入されています。
補助金“水増し”疑惑
ミライズエネチェンジ 去年6月のサービス概要資料から
「中部電力グループによる安心の体制でサービスをご提供いたします」
全国に3万台ある電気自動車の充電設備。その3分の1を手掛けているのが、業界シェアナンバーワンのミライズエネチェンジです。
会社が設立されたのは去年1月。電気料金の比較サイト「エネチェンジ」が始めた充電事業に、中部電力の子会社「ミライズ」が筆頭株主として加わりました。
ところが先月、ミライズエネチェンジ側は設立から1年余りで、負債総額が89億円に上るとして民事再生に進むことになりました。
しかし、公益通報者が証言したのは…。
「抜け道だらけのスキームをエネチェンジという会社が見つけて補助金の金額を水増し」
ミライズエネチェンジ側は、過去4年間で、合わせて105億円の補助金を受け取っています。
「調達会社が(価格を)3倍にした充電器を他の子会社が買った形にする。それに対して補助金がもらえるという構造ができている」
105億円受け取り実態
EVの充電設備を購入した場合、購入費用の半額を補助金で受け取ることができます。
しかし公益通報者によると、ミライズエネチェンジは子会社間の取引をあえて作り、購入金額を3倍にしたと話します。
子会社「A」は充電設備を「11万円」で買い、別の子会社「B」に「31万円」で売却します。この子会社「B」が申請すると、半額の15万円の補助金をもらえて、当初の購入金額と比べると、4万円の利益が出るのだといいます。
疑惑について、ミライズエネチェンジは「国や各自治体の定める申請要件に沿って対応をしていることを確認しました」と回答しました。
購入金額が3倍に増えたのは、充電設備のセットアップ費用など適正な費用が上乗せされたためだと説明します。
補助金を出す経済産業省も“不適切”とはしていません。
赤沢亮正経産大臣
「利益が出ているということだが、ある種こう、不当な利益とまでは言えないと思っている」
補助金のルール上、「A社」と「B社」の2社間で資本関係がある場合、利益を過剰に上乗せして販売することもできてしまうため、購入金額をそのまま申請することはできません。
確かに、ミライズエネチェンジの子会社「A」と「B」に直接の資本関係はありません。一方で、親会社がA社とB社の株をほぼ100%保有していて、2社はいわゆる兄弟関係に当たりました。
国は先月末から始めた新たな補助金申請でルールを変更し、今回のような兄弟会社である場合も排除の対象にしました。
東京都にも補助金申請
ミライズエネチェンジと子会社「A」「B」の所在地は、東京駅の目の前にあるオフィスタワーにあります。
14階のフロア図です。ミライズエネチェンジと子会社は同じフロア内の同じ区画を使用しています。
公益通報者
「同じフロアにあって同じ事務所を使っている。机がフリースペース」
働いている従業員について取材すると…。
中部電力ミライズ
「子会社Bは充電器の保有を目的とした特定目的会社であり、従業員はおりません。申請の手続きの代行はA社が行っております」
子会社「B」には従業員が1人もおらず、補助金の申請は子会社「A」が代理で行っていました。
こうなると2社の資本関係の問題でなく、「A社」が自ら「11万円」で買った充電設備を「31万円」で従業員ゼロの会社に買わせて、補助金を申請したことになります。
上原総合法律事務所 上原幹男弁護士
「B社に実体がない、いわゆるペーパーカンパニーだった場合、この申請は不適切なのではないか、という議論は十分成り立つ」
ミライズエネチェンジ側は東京都にも同様の補助金を申請していましたが、上田令子都議によると、都は3億円ほどの支払いを認めなかったといいます。
上田都議
「(グループ会社の)関係性を見て、まずいということでミライズエネチェンジ社には支払いはしていない状況。補助金のルールを厳しくしていく。いらない補助金はなくしてほしい」
これまでに国の補助金で支払われた105億円はどうなるのでしょうか。
上原弁護士
「民事再生手続きとなると、そもそも会社の財務状況が著しく悪化している。金がないところからは払いようがない。そういった意味で全額返済がなされるか不透明」
(2026年6月27日放送分より)
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