奈良のシカに異変 急増で住宅街が“ミニ奈良公園化” 事故多発 農作物被害も

奈良のシカに異変 急増で住宅街が“ミニ奈良公園化” 事故多発 農作物被害も
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 国の天然記念物にも指定されている奈良のシカですが、今、奈良公園から離れた住宅街にも住み着く群れが増えて問題となっています。今年の4月には線路内に入ったシカが列車と衝突する事故も起きるなど、市民生活への影響が広がっています。

【画像】田んぼで稲を食べるシカ 奈良市

マンションの前にシカ集団

後ろでは車が渋滞
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 道路の真ん中で群れを成すシカ。その数11頭。その後ろでは、車が長い列を作っています。

 シカは車を気にすることなくゆっくりと横断。渡り終えると、道路わきの植木をむしゃむしゃ。

 シカは昼夜を問わず車が行きかう夜の道路をお構いなしに渡っていきます。

撮影者
「本当危ない」

 国の天然記念物にも指定されている奈良のシカ。奈良公園の周辺に生息し、観光客にシカせんべいをおねだりする光景はおなじみですが、今、公園から離れた住宅街などで目撃が相次いでいます。

 奈良公園から3キロほど離れた図書館でも、シカの集団がいます。

住宅街の近くで…
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 住宅街の近くで一心不乱に草を食べるシカの群れ。子育てをしているのか、母ジカが授乳する様子も見られます。

 マンションの目の前にシカの集団が居座っています。7頭くらいいます。シカのすぐ隣で大きな重機が掘削作業を行っていますが、シカに気にするそぶりは見えません。

 住民からは不安の声が聞かれます。

住民からは不安の声
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近隣住民
「結構角生えているシカが来ているので、危ないかなと。(子どもが)ベビーカー乗っている時はいいんですけど、歩いている時は注意して」
「奈良から出ると野良シカになるんだけど、ここの奈良市内にいる場合は天然記念物なので。触ってもダメ、傷つけてもダメっていう状況なので住民としては何もできない」

 男性の部屋の窓からのぞくと、くつろぐシカ。

くつろぐシカが…
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「(Q.3頭ですね)もう本当“奈良公園”です」

シカによる事故多発

 シカによる事故も相次いでいます。

奈良の鹿愛護会
中西康博副会長

「年間150件くらい、やっぱり事故は起きてまして。小さいのは指をかまれたから、大きいのは救急車で運ばれるような」

シカの角が胸に…
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 奈良のシカ愛護会が注意喚起のためにホームページ上で公開している動画を見ると、突然シカが突進し、男の子を突き飛ばしてしまいます。去年9月に撮影されたといい、男の子は救急車で搬送、命に別状はありませんでしたが、シカの角が胸に3センチほど刺さったといいます。

急行列車と衝突も
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 今年4月には、公園から約3キロ離れた近鉄奈良線の新大宮駅で、線路内にシカが1頭侵入し、急行列車と衝突する事故も発生しています。

 さらに車との衝突事故は、去年3月までの1年間で69件発生しているといいます。深刻なのは事故だけではありません。

農作物被害 大幅に増加

前年度から大幅に増加
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 農水省が1月に発表した2024年度の野生動物による農作物への被害額は、奈良県が約1億2000万円。全体の約3分の1にあたる4344万円がシカによる農作物の被害で、前年度からは大幅に増加しています。

近隣住民
「あそこに田んぼがあるんですけど、そこで寝てたりね。そこで草バーッと食べてたり、今年はなんかもうたまらんようになって、そのネット張ったみたいですけど」

田んぼで稲を食べるシカ
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 住民が撮影した写真には、ネットを越え、田植えをしたばかりの田んぼで稲を食べるシカの姿が。別の田んぼでも一心不乱に稲を食べていました。

 さらには…。

植木鉢の花が食べられる
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シカの被害に悩む 近隣住民
「これ食べた跡なんですけど、これかじられて。近隣の方に聞いたら結構被害を受けている人が多いですね」

 住民によると、今年に入ってから公園から離れた場所でのシカの目撃や被害が急増しているといい、先月には自宅前の植木鉢の花が食べられてしまったといいます。

 防犯カメラには、4頭のシカが近づいてきて、植木鉢の花を食べる一部始終が記録されていました。

 センサーライトがついた瞬間、シカが顔を上げますが、すぐにまた食べ始めてしまいます。

「びっくりしたんですよ。これなんやって、ほんでお隣もそれ同じやつ食べられてましたわ」

線引きの難しさ

 奈良のシカの歴史は古く、約1300年前の奈良時代に、神が白いシカとともに降り立ったと伝えられ、「神鹿」として保護されるようになります。

「神鹿」として保護されたシカ
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 平安時代には春日大社のシカに出会うとよいことが起きると伝えられた一方、室町時代には、奈良のシカを殺した人は死刑にされたといいます。

 長年“神の使い”として大切にされてきた奈良のシカ。しかし、餌(えさ)不足などが原因で明治時代には38頭まで減少。その後、保護活動が強化され、1957年に「奈良のシカ」として、国の天然記念物に指定されました。

奈良公園周辺を保護地区に制定
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 シカとの共生を掲げ、県は春日大社のある奈良公園周辺を保護地区に制定。その周囲のエリアを緩衝地区として、奈良公園や、春日大社、東大寺などがある奈良市の中心部から、東に5キロ以上離れたエリアまで保護を行ってきました。

シカの駆除を行う
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 一方でエリアの外では、シカによる食害対策として、農業被害を繰り返すシカの駆除を行っています。

 昨年度はシカ450頭を駆除していますが、おととしと比べると、駆除頭数は倍に増加。さらに今後も増える可能性があるといいます。

 深刻化する住宅街でのシカの被害。公園から3キロ離れた管理地区にあるマンションでも、今年になってシカによる被害が急増したといいます。

食べつくされた花壇
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自治会長 吉田勇さん
「見てもらった通り。(花が)植えられていたんだけど、食われてしまってこういう状態です。今はもう植えられない状態。植えたら(シカが)食べるという状態なので」

花壇の周りにロープを張ったが…
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 去年の秋に、住民の要望を受けて花壇を整備したといいますが、シカによってほとんど食べつくされてしまったといいます。対策のため花壇の周りにロープを張りましたが…。

「(Q.これって(ロープ)意味あったんですか?)結果論だけど全然役に立たなかったですね」
「(Q.これくらいの高さだと?)超えてしまいますね」

各地に“ミニ奈良公園”

 なぜ今年に入ってから被害が急増しているのでしょうか。

「餌やりが原因」
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中西副会長
「観光客が増えてくると、シカせんべいもたくさん売れるが、シカがかわいいのでシカせんべい以外のものをあげる人が増えている。餌やりが原因だと思う」

 奈良県によると、これまでは冬に草や葉などの食べ物が減ることで、シカが越冬できずに頭数が抑えられていたといいます。

 しかし、観光客が団子やスナック菓子など、栄養価の高い食べ物を与えることでシカの生存率が上がり、頭数が増加。

「歴代でトップ」
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「去年7月に頭数調査をしていて、奈良公園にいるシカの数は1465頭というのが今の状況。歴代でトップ」
「200~300頭ぐらいが(奈良公園の)外に出ちゃっているんだろうなって気がする。“ミニ奈良公園”作っちゃうんですよ」

 公園内のシカが過密化することで、公園の外にシカが進出。その結果、街中で繁殖して定着するようになり、各地に“ミニ奈良公園”を作ってしまっているといいます。

奈良の鹿愛護会 中西康博副会長
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「このJR奈良駅を越えてですね、今、平城京跡の方まで行っていますね。(そこでは)シカを普段見かけないものですから、地域の人たちから『シカが来て怖い』と」

「追い上げ」を開始も…

 奈良公園のシカは今年過去最高の頭数になる見込みで、さらなる被害の増加が懸念されています。

シカを奈良公園まで誘導して戻す
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 県は昨年度から市と連携して管理地区の目撃情報が多い場所で、シカを奈良公園まで誘導して戻す「追い上げ」を開始。

 被害の削減に努めていますが、シカがふたたび街に戻ってしまい、いたちごっこの状態が続いているといいます。

「管理エリアの所で、なおかつメスも一緒にそこで繁殖していたら、もう奈良公園と縁が切れているんですよ。ということは我々のもとに帰ってこないので、角を切るタイミングがないので、余計に危ない可能性が高くなる。やっぱり今、県・市とも話していきながら何らかの形で捕獲なり、もう考えないといけないのかなと」

(2026年7月10日放送分より)

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