
混迷する中東情勢は、世界経済だけでなく、トランプ大統領自身の支持率にも影を落としています。その一方で、根強い支持があるのも事実。支持者たちは、トランプ氏をどう評価しているのか?“共和党の牙城” テキサス州を現地取材しました。(7月11日OA「サタデーステーション」)
【画像】「何があってもトランプ氏信じる」支持率低迷も根強い支持ナゼ?岩盤支持層を独自取材
「暗殺すればミサイル数千発」米イラン再び緊張状態に?
トランプ大統領のSNSから(日本時間11日投稿)
「イランが私を暗殺しようとするならば、数千発のミサイルが直ちに発射されることになる」
イスラエルがアメリカに伝えたとされるトランプ大統領の暗殺計画。これを受けてトランプ氏は日本時間11日、SNSで反応を示しました。戦闘が再燃したアメリカとイラン。トランプ氏は「停戦は終了した」としながらも、イランからの協議継続の要請には応じる考えを示しました。一方、イラン側はその主張を否定しています。緊張が再び高まる両国。先行き不透明な中東情勢はトランプ氏の支持率にも影響を与えています。

世論調査では「支持しない」が約56%に。一方で今も40%ほどの「支持」があるのも事実です。誰が、どんな理由で支持するのか。サタデーステーションは、トランプ氏を支える“岩盤支持層”に注目し、その実像に迫りました。
国境の街で起きた“トランプ旋風”
アメリカ南部テキサス州。西部劇に出てくるような道を進んだ先で行われていたのは、メキシコ文化を代表するプロレス「ルチャ・リブレ」建国250年を祝うフェスティバルの目玉イベントです。
子どもたちの歓声
「オートラ!オートラ!(もう1回!もう1回)」

スペイン語が飛び交うスター郡は、メキシコと接する“国境の街”です。人口の約97%が中南米にルーツを持つヒスパニック系。従来、民主党支持者が多いとされていますが…。
中南米にルーツを持つ男性(米・テキサス州 スター郡)
「トランプ氏の政策にはとても賛成しています」
長年民主党の地盤だったスター郡。ところが2024年の大統領選ではトランプ氏が勝利。共和党としては約130年ぶりでした。
支持集めた看板政策「不法移民問題」
国境の街でなぜ“トランプ旋風”が起きたのか。取材を進めると…。
報告・上部りかディレクター(米・テキサス州 スター郡)
「川の向こう側に見えるのがメキシコです。人がいるのが見えます。芝を刈っているのでしょうか」

幅90mほどの川の向こう側に広がるメキシコの街並み。住宅や公園があり、一見穏やかですが…。
元国境警備隊員 パトリシオさん
「不法に入国してくる人々の姿が実際にこの場所から見えるのです」
元国境警備隊員のパトリシオさん。不法移民がアメリカに渡る主要ルートの1つだと言います。

元国境警備隊員 パトリシオさん
「手漕ぎのボートで来る人や自力で川を渡る人もいます。荷物を袋に詰め込み、浮き具代わりにして渡ってくるのです」
この不法移民の問題を解決に導いたのが、トランプ氏の看板政策でした。
トランプ大統領(2024年7月)
「国境を閉鎖し壁を完成させることで、不法移民問題を終わらせる」
スター郡にも“国境の壁”が建てられ、パトリシオさんもその効果を実感していると話します。
元国境警備隊員 パトリシオさん
「不法移民が茂みから出て、車に乗り込み、走り去る姿をよく見ました。でも今はほとんど見かけません。おそらく壁のおかげだと思います」

バイデン政権時代、スター郡を含む周辺の地域で確認された不法入国は、多い月で4万件以上。一方、トランプ政権になってからは低い水準を維持しています。
ヒスパニック系の心掴んだ「経済政策」
今回、サタデーステーションはこの街で約6年間市長を務めるエスコバル氏に話を聞くことができました。
スター郡 ロマ市 ハイメ・エスコバル市長
「もしトランプ大統領と話せるなら『移民政策についていい仕事をしている』と伝えます」
市長自身も大統領選でトランプ氏支持に転じた1人です。
スター郡 ロマ市 ハイメ・エスコバル市長
「住民たちは怖がっていました。不法移民の多くは善良な人たちですが、移住は法律に従い行われるべきです。経済もまた重要な課題でした」

全米でも所得水準が低いスター郡。トランプ氏の経済政策が労働者階級の多いヒスパニック系から評価されていると言います。
スター郡 ロマ市 ハイメ・エスコバル市長
「トランプ氏のおかげで、この地域に進出したい製造業が現れ、経済は回復の兆しを見せ始めました。それがヒスパニック系の有権者に響いているのです」
トランプ氏 看板政策で“副作用”も
一方で、移民政策が思わぬ“副作用”を生み出したケースも。
雑貨店を営むデイビットさん。トランプ氏の移民政策を支持していますが、店の経営に影響が出ているといいます。その理由は、移民・税関捜査局=ICEによる強硬な不法移民の取り締まり。滞在資格を持っていても、外見などで不法滞在の疑いをかけられることが多いといいます。
雑貨店店主 デイビッド・チャパさん
「人々が自由に外に出て、用事を済ませ、子どもを学校に送り、店で買い物をすることが難しくなっています。そのせいで(月の)売上が30%落ちました」
ただ、店の経営が悪くなっても支持は続けると話します。
雑貨店店主 デイビッド・チャパさん
「不法移民の状況は本当にひどかったです。正直、トランプ氏のすべての言動に賛成はしていませんが、この街には彼が必要だと思います」

「イラン情勢」に「関税政策」…逆効果も
「インフレを止めてくれる」と期待されたトランプ氏の経済政策。評価する人もいる一方、苦境に立たされた人たちも。話を聞いたのは、街で老舗レストランを営むベッキーさん。
テキサスカフェ オーナー ベッキー・ガルザさん
「物価が本当に高くなっています」

イラン情勢の影響でインフレが加速し、やむを得ずメニューの値上げに踏み切ったと言います。
テキサスカフェ オーナー ベッキー・ガルザさん
「4ドル99セントでしたが、今は6ドル49セントです。ですがお客さんには負担をかけたくありません」
さらに、トランプ氏肝いりの“あの政策”の影響も。
スター郡商工会議所代表 アドリアン・ガルシアさん
「関税が原因で閉店した店も複数あります」
街の経済状況を良く知る商工会議所のアドリアンさんは、輸入品に頼る店が多いこの地域には逆効果だったと話します。
スター郡商工会議所代表 アドリアン・ガルシアさん
「彼らは真面目に仕事をしていただけなのに突然、自分たちでは対処できない事態になり、仕事を奪われてしまったのです」

岩盤支持層「福音派」インフレ実感も支持のワケ
トランプ氏を支える岩盤支持層は他にも―。

向かったのはテキサス州ダラス郊外。キリスト教保守派の「福音派」の教会です。
報告・上部りかディレクター(米・テキサス州 ダラス郊外)
「テキサスにあるカウボーイチャーチという教会です。カウボーイハットを被った人がたくさんいます」
テキサス州に根付く西部文化を尊重し、カウボーイ姿などカジュアルな雰囲気が特徴の教会です。
カウボーイチャーチ デレク・ロジャース牧師
「十字架の力に逆らえるものは何もない。イエスよ、あなたをたたえます」
成人人口の約4分の1を占め、アメリカ最大の宗教勢力ともいわれる「福音派」大統領選では81%がトランプ氏に投票し、勝利を後押ししました。

福音派の信者
「何があっても、我々はトランプ氏を信じています。彼は私たちを守ってくれます。政策をすべて支持しています」
トランプ大統領(2025年1月)
「きょうから性別は男性と女性の2つのみというのが米政府の公式な政策となる」
福音派の価値観を意識した政策を相次いで打ち出してきたトランプ氏。牧師のデレクさんは、福音派から支持を集める理由について―。
カウボーイチャーチ デレク・ロジャース牧師
「トランプ氏の政策のほとんどは、聖書の教えと一致しています。結婚は男女がするもので、中絶は禁止すべきで、性別が変わることもあり得ないと私たちは信じています」

国内からも激しい批判が出ているイラン攻撃については―。
カウボーイチャーチ デレク・ロジャース牧師
「アメリカの安全と自由を守るには、時には犠牲も必要です。ガソリン代が数ドル高くなっても、その代償は十分に見合うものです」
“民主党の新星”台頭 共和党幹部に危機感
“保守派の牙城”テキサス州。中間選挙まで4カ月を切る中、共和党内で高まるのは、警戒感です。
共和党テキサス州代表 デビー・ゲオルガトス氏(米・テキサス州 ダラス)
「ここが私の番組のスタジオです」
保守系番組の司会を務めながら共和党テキサス州代表の一人でもあるデビーさん。

共和党テキサス州代表 デビー・ゲオルガトス氏
「タラリコ氏を過小評価すべきではありません。彼は特に若者を引きつけます」
民主党の新星タラリコ氏。信仰を前面に出しつつもリベラルな政策を訴え、支持を広げています。

共和党テキサス州代表 デビー・ゲオルガトス氏
「共和党にとってテキサスは全米で最も重要な州です。負けることは許されません。ですから党は多額の資金を投入するでしょう。この選挙戦には真剣に向き合わなければなりません」
“共和党の牙城” テキサスに異変
高島彩キャスター:
「なぜテキサス州で、共和党は絶対に負けられないのでしょうか?」
板倉朋希アナウンサー:
「過去のテキサス州における大統領選の結果を見ると、民主党候補が勝利したのは、1976年のジミー・カーター大統領が最後で、それ以降、全ての大統領選で共和党の候補が勝利していて、まさに“共和党の牙城”と言われる所以です」
高島彩キャスター:
「こうした中で、共和党が警戒する民主党のタラリコ候補とは、一体どんな人物なのでしょうか?」
板倉朋希アナウンサー:
「民主党のジェームズ・タラリコ候補は、テキサス州出身の37歳。元中学校教師で、神学校で学ぶ神学生でもあります。保守的な価値観、とくにキリスト教を重んじる有権者が多いテキサスで、『隣人を愛しなさい』といった聖書の言葉を引用した演説で、支持を伸ばしています。『民主党の期待の星』として、オバマ元大統領も期待を寄せていて、その勢いは世論調査にも表れています。テキサス大学の最新の調査では、共和党のパクストン候補との差は、わずか1ポイント。共和党が盤石だった州で異例とも言える接戦になっています」
高島彩キャスター:
「柳澤さん、このポイントをどう見るか、というところもありますが、共和党の牙城でのタラリコ候補の躍進ぶり、どのようにご覧になりますか?」
ジャーナリスト・柳澤秀夫氏:
「確かにタラリコ氏は、民主党の新星としてテキサス州で台風の目になっているように見えますが、これがアメリカ全土でこういう流れが出てきているかどうかは、全く別問題なんですね。トランプ大統領が誕生したアメリカの社会は経済的な格差が広がって社会的な分断も大きくなってきた、こういう社会的な背景が変わらなければ、このあとも第2、第3のトランプ氏が出てきても不思議ではないという流れだと思うんですよね」
高島彩キャスター:
「そしてもう1つ気になるのがイラン情勢です。トランプ大統領は『イランとの停戦は終了した』としながらも、イランとの協議は続ける考えを示しています。柳澤さんこれはどうご覧になっていますか?」
ジャーナリスト・柳澤秀夫氏:
「トランプ大統領はかなりイラだっているという印象ですね。イランは、『ホルムズ海峡』という非常に使いごたえのある強力なカードを手にして優位に立っているという状況なんですよね。一方のアメリカは、軍事力を使いながらイランをけん制して、なんとか効果を出そうとしているんですが、それもイマイチというところで、果たしてトランプ大統領が考えている効果が生まれるかどうかは、また別問題だと思うんですよね。今後、協議が始まるかは別としても、互いの丁々発止の駆け引きが続くことになると思いますね」
