【検証】イオンモール熊本 なぜ大規模爆発に?“2つのポイント”専門家指摘

【検証】イオンモール熊本 なぜ大規模爆発に?“2つのポイント”専門家指摘

地震発生からおよそ1時間半後に、イオンモールで起きた爆発事故。なぜ、あれほどの大規模な爆発が起きたのか…専門家との独自検証で、その要因が見えてきました。(サタデーステーション8月1日OA)

イオンモール熊本で7人死亡

今回の地震で、専門店の従業員7人の死亡が確認された熊本県嘉島町のイオンモール熊本。

報告・矢谷一樹ディレクター
「爆発があったイオンモールの前には花束が手向けられています」

爆発した当時、店内にいたという従業員が手向けた花束です。1日、捜索を終了することが発表されました。
午後5時46分、イオン外の駐車場に止まっていた車のドライブレコーダー。一瞬火花があがり、辺り一面が白煙に包まれます。建物近くから走って逃げてくる人の姿も見えます。

近隣住民
「音 音 音 とにかく音。ヘリか何か落ちたんじゃないかって感じ」

近隣店の店員
「音で気を失いそうになったのは生まれて初めてだったんで」

なぜ大規模爆発?独自検証

いったいなぜ、ここまで大規模な爆発が起きてしまったのか。サタデーステーションは複数の専門家と緊急検証しました。

ガス漏れが原因の可能性が指摘される、今回の爆発。イオン側によれば、館内で使用されていたのはLPガス。建物のすぐ外に貯蔵タンクがあり、地下を通って館内に引き入れ飲食店での調理や空調設備などに使用されていたといいます。

今回、大規模な爆発になった可能性として、2つの要因が見えてきました。

ポイント(1)建物の“密閉度”

1つめが、建物の密閉度です。

ガス爆発に詳しい東京大学大学院・茂木俊夫教授
「空間が比較的密閉度が高くて圧力があがりやすかったことが考えられます」

爆発前の建物の外観を見てみると、排気口や窓はほとんど見当たりません。
建物の密閉度の違いで、爆発の大きさが変わる実験映像があります。これは、コンクリートの建物に見立てた装置です。左は排気口があり、右は排気口なしで密閉度が高くなっています。そこに着火してみると、排気口がある方は装置の形を維持したまま高く火柱があがるのに比べ、排気口がない方は装置自体が粉々になってしまいました。今回の爆発とも似ているようにみえます。
爆発で最も損傷が激しかったのは、2階の中央エリア。洋服や雑貨を扱う店舗が並ぶ場所を中心に激しく損傷しました。実際の中央エリアを撮影した映像を見てみると、1階部分は店舗の看板などが残っているところもありますが、2階部分に上がってみるとほぼ全てが吹き飛び、何があったのかわからない状態になってしまっています。
ガスはどこにたまっていったのでしょうか。

ガス爆発に詳しい東京大学大学院・茂木俊夫教授
「店舗側にたまるのは相当空間広いのであまり考えにくいと思っていて(窓のない)バックヤードのような部屋ですね、そこにたまったものが爆発したと考えられる」

複数の従業員への取材によると、ちょうどこの中央エリアの2階にバックヤードがあったといいます。

ポイント(2)爆発までの“80分”

そしてもうひとカギとなるのが、爆発までの“80分”です。

ガス爆発に詳しい広島大学・金佑勁准教授
「プロパンというのは、どんどん下にたまり空気と混合します。80分という非常に長い時間で混合気として形成されていると思います」

LPガスなどの可燃性のガスは空気がないと燃えることはないとされていますが、地震後に、ある程度の時間がたっていたことで空気とよく混ざり爆発しやすい状態になっていた可能性があるといいます。

ガス漏れ原因か・商業施設の配管はどうなっている?

ガス漏れが原因だとすればどこからどのように漏れたのでしょうか。
LPガスの供給機器を製造するこちらの会社。イオンモールのような施設に設置されるのと同様の設備を見せてもらいました。

I・T・O株式会社 岩岡冬季知さん(滋賀・米原市)
「LPガスを2.9t蓄えることができるタンクになります。タンクの中にはLPガスが液体で入っています。それを気化させる時には250倍の体積になって出てきますので」

LPガスは通常の火気使用のほか、発電や冷房など幅広い用途に使用できるという利点があることから災害時に役立つとされています。

I・T・O株式会社 岩岡冬季知さん(滋賀・米原市)
「何年備蓄しても組成(品質)が変わらないということで、何かが起きた際にすぐに使いやすいところがある」

実際に地震が起きた時にはどうなるのか?

I・T・O株式会社 岩岡冬季知さん(滋賀・米原市)
「感震遮断弁という装置になります」

センサー内には金属の玉と磁石が入っていて、それが揺れで物理的に動くことで遮断することができます。

I・T・O株式会社 岩岡冬季知さん(滋賀・米原市)
「遮断弁に連動させてここの根元でガスを遮断させるという仕組みになっています」

安全装置が起動していたとすると、ガスは遮断弁の先。配管の中だけにあることになります。

I・T・O株式会社 岩岡冬季知さん(滋賀・米原市)
「LPガスの配管の材質は法律で定められた、材質の金属のものを使っています。溶接で接続していく場合もありますし、フランジという接続のプレートに強度の確認されたボルトをねじ込んで接続する方法」

大きな建物の場合、こうした金属製の管をいくつもつなげて目的の場所までガスを通していくことになります。

I・T・O株式会社 岩岡冬季知さん(滋賀・米原市)
「これは若干曲がる素材になっております。地震の揺れなどに対応して配管の応力(加わる力)を緩和する役目を持っていますので」

揺れによって配管が壊れてしまわないように、いくつもの対策が取られていました。

I・T・O株式会社 岩岡冬季知さん(滋賀・米原市)
「理論上いわゆる過去の震災においても壊れない設計」

想定を超えるほどの揺れが襲ったのでしょうか。

映像から検証 緊迫のイオンモール

イオンモール熊本近くの道路をとらえた映像。車が交差点にさしかかろうとした瞬間、前方を走っていた車は大きく揺れ、急ブレーキ。街頭や看板などが大きく揺れていることがわかります。止まっていたバイクの運転手も、立っていることができません。
イオンモール熊本の屋上駐車場で撮られたドライブレコーダーの映像もあります。地震が起きた午後4時27分、大きな揺れが車を襲います。ほぼ同じ頃。店内には様々なサイレンが鳴り響き、従業員の誘導などに従い避難を始める人たちの姿がありました。

2階フードコートで働いていた従業員
「他店舗の人も『早く逃げろ』みたいな掛け声をしていて、自分は先にトイレの方を見に行ったんですけど誰もいなかったのでそのまま自分も避難の方に移りました」

イオン側によると地震発生時、店内には客およそ3000人と1500人近い従業員がいましたが、地震からおよそ30分後の午後5時頃までに避難は完了していたといいます。

7人死亡なぜ…直前まで店内にいた従業員らの証言

取材で、明らかになってきたこともあります。

2階テナントで働いていた従業員
「テナントに戻ってレジの鍵を閉め荷物をとったあたりで、(同僚に)「ガス臭がするから早く出よう」と言われた」

2階フードコートで働いていた従業員
「地震が起きてすぐからガスの臭いが充満していたのは事実で、戻るかっていうのは(従業員の)友だちも躊躇したみたいなんですけど貴重品を置いていたみたいで、取りに行っているときに爆発が起きて」

残してきた業務を行うため、スマホなど荷物を取るためなど、中に戻った従業員が複数いたといいます。

一方、飲食店側では二次被害を防ぐための、行動がとられていたこともわかっています。

2階フードコートで働いていた従業員
「従業員の『ガス栓を閉めて』という声も飛び交っていましたね」

2階フードコートで働いていた従業員
「火の元とかガスとか フライヤーとか電源だけ落として各自帰るってことになったから、また中に行って電源とか全部消してすぐ外に出た」

外部リンク
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