不法移民殺到 アフリカのスペイン領に6万人 移民めぐりEU内対立鮮明に 米政権 移民政策に介入か

不法移民殺到 アフリカのスペイン領に6万人 移民めぐりEU内対立鮮明に 米政権 移民政策に介入か
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 アフリカ大陸のスペイン領に6万人を超える不法移民が殺到。移民を巡りEU内での対立が浮き彫りとなっている。こうした事態にスペイン批判を強めているのがアメリカのトランプ大統領だ。ヨーロッパの移民政策などに介入する動きを見せているとの指摘がある。

【画像】不法移民殺到の背景に“マフィアの影”?

「セウタ」とは

不法移民が殺到する「セウタ」とは
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 まずは、スペイン領に不法移民が殺到している問題だ。これまでに6万人を超える不法移民が押し寄せたという。その場所がアフリカ大陸にあるスペイン領「セウタ」だ。隣国モロッコから泳ぐなどして入国しようとする不法移民が急増し、先月31日までにその数は6万人に達したと地元の首長が明らかにしている。

 このセウタという場所は、アフリカ大陸にあるスペインの飛び地で、アフリカ大陸にあるがEUの域内となっている。面積はおよそ18.5平方キロメートルで、広さは東京の港区と同程度だといい、人口はおよそ8万5000人。人口の7割ほどに当たる人数が不法移民として押し寄せたことになる。

 実は過去にもここセウタには大量の不法移民が殺到したことがある。2021年5月、生活に困窮した市民8000人以上がモロッコ側からセウタへ不法入国したとみられている。当時はスペインと対立していたモロッコ側が国境警備を緩めたとみられていた。

“マフィアの影”

先月8日のスペイン最高裁が示した判断
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 また今回の不法移民殺到の背景にマフィアの存在を指摘する声もある。先月8日、スペインの最高裁は「海からセウタなどを目指してきた移民」について、「事情を確認せず直ちにモロッコ側へ個別の行政手続きなしに返すことはできない」との判断を示した。これは本人確認や法的手続きが必要だという意味であって、移民希望者にスペイン滞在を認めた判決ではない。

背景に“マフィア”か
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 ただ、ロイター通信によると、SNSなどで「海からスペインに入れば送還されない」という判決を拡大解釈した情報が拡散されたといい、スペイン国営放送によると、モロッコ側の国境の町では浮き輪を買い求める若者が相次いだという。

 こうした背景についてスペイン政府は、モロッコからの密航を手引きするマフィアが高額な手数料を得るため偽の情報を拡散したとみているが、ただ、これらの証拠については現時点で確認されていないという。

立場の違い 鮮明に

 多くのEU加盟国がこのスペイン領への不法移民問題に深刻な懸念を表明している。

移民巡るEU加盟国の対応
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 イギリス「フィナンシャル・タイムズ」によると、1日、27のEU加盟国のうち22カ国がオンラインでの緊急会合の開催をEUに書簡で要請し、4日に会合を開くことになったという。

 各国の首脳らは書簡の中で移民の大量流入に「深刻な懸念」を表明し、スペインの不法移民に寛容な政策が“誘因”、つまり引き金となって問題が起きたと指摘している。

 そして各国はすでに独自の対策も進めている。

 イタリアはヨーロッパの域内を出入国検査なしで移動できる「シェンゲン協定」についてスペインとの間で1カ月停止し、またフランスのマクロン大統領は、機動隊などを配備させてフランスとスペインの国境での検査を強化すると発表している。

スペインの政策
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 では各国が指摘するスペインの政策とはどういったものなのか?

 スペインのサンチェス首相は「合法的で、安全で、秩序ある移民」という理念を掲げていて、人口減少や人手不足を背景に、不法移民およそ50万人に法的地位を与えて社会や経済を支える「働き手」にするという政策を進めている。

 一方、ヨーロッパでは近年、不法移民の流入を抑えて送還を強化する動きが強まっていて、ロイター通信によると、移民に寛容な姿勢の左派で少数連立政権が率いるスペインと、国境管理を強化するフランスやドイツといった他のヨーロッパ諸国との立場の違いが際立っていると報じている。

「文明研究」に資金提供

 こうした事態を受けて、トランプ大統領がヨーロッパの移民政策などに介入する動きがみられるとの指摘がある。

欧州の移民政策に介入?
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 アメリカの国務省は先月13日、“欧米間の文明の絆”などを強化する活動におよそ8億円の資金を提供すると発表した。該当するテーマに沿って研究などを行うアメリカ国内外の団体や企業、教育機関などに提供するとしている。資金が出る研究対象としては「大量移民が基本的自由への懸念や、民主主義の後退に与える影響」などを挙げている。

 トランプ政権は、これまでも大規模な移民の受け入れなどでヨーロッパが“文明の消滅”の危機に立たされていると指摘しており、イギリスのフィナンシャル・タイムズは、トランプ政権が「ヨーロッパへの激しい批判を実際の政策へと移行した最初のステップの1つ」だと指摘している。

 こうしたトランプ政権の動きについては、9月に選挙を控えるドイツのメルツ首相にとって懸念材料の1つになっているという。アメリカ国務省のプログラムについてメルツ首相は「ドイツでは政党が外国から資金提供を受けることは違法」だと世論調査で支持を集める国内の極右政党を牽制(けんせい)した上で、「アメリカの政府などが介入することは望まない」と話している。

安保で関与弱める

 一方、安全保障に関してはヨーロッパと距離を取り始めている。

安全保障で欧州への関与弱める?
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 先月27日、アメリカのコルビー国防次官はSNSに「ヨーロッパが自らの戦力で防衛に責任を担う方向へヨーロッパでの態勢見直しに着手した」と投稿した。ヨーロッパに駐留する8万人規模のアメリカ軍部隊の縮小計画を進めていることを明かした。

 また、アメリカのニュースサイト「ポリティコ」によると、アメリカの国防総省がドイツに駐在するウクライナの安全保障支援グループの指揮権を放棄し、他のNATO加盟国に移譲するという。

 このグループは2022年のロシアによる侵攻以来、ウクライナ軍の装備や訓練などを行ってきた組織だ。22のNATO加盟国とウクライナを含むパートナー国の職員が参加しているという。

 指揮権の放棄についてポリティコは、アメリカとヨーロッパの距離が改めて示されたと指摘しており、NATO当局者の話として「同盟国がより大きな負担を担うことになる」と報じている。

(2026年8月3日放送分より)

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