
イギリスの名門大学の教授が論文の盗用疑惑をかけられ、メディアから激しい追及を受けた末、自宅で死亡しているのが発見されました。追悼集会で数千人が抗議の声を上げるなど、イギリス全体に波紋が広がっています。
大学史上“最年少”黒人教授

17日、ロンドン中心部の広場を人々が埋めつくしました。14日に自宅で死亡しているのが見つかった、ケンブリッジ大学の元教授、ジェイソン・アーデイ氏(41)。黒人教授がわずか1%しかいないイギリスで、ケンブリッジ大学史上最年少の37歳で教授に就任しました。
自閉症により11歳まで言葉が話せず、18歳まで読み書きができず。そんなハンデを乗り越えた人物でもあります。

ケンブリッジ大学 ジェイソン・アーデイ教授(当時)
「自閉症と繰り返しの行動が、私に高い集中力を与えてくれました」

大学も前面に押し出すほどの存在だったアーデイ氏。事情が変わったきっかけは博士論文の盗用疑惑です。先月、ケンブリッジ大学の元研究者が盗用を指摘。本人は盗用を否定したものの、一部学術研究に誤りがあったことを認め、5日に教授を辞任しました。しかし、SNSやメディアの報道は過熱。批判が殺到していきます。
過熱したメディアの追及

ジェイソン・アーデイ氏(タイムズ紙・先月31日付)
「私は犯した間違いに対する責任がある。ただこれは学術の世界で起きたことであり、私は誰かを殺したわけではない。私が直面した残酷さや嘘つきで空想家であるかのような扱いは到底、受け入れがたい」
アーデイ氏に博士号を授与した大学は、論文の盗用疑惑はなかったと結論付けたものの、ケンブリッジ大学の教授らは任命責任を追及。調査を求めていました。
明らかになったのは、イギリス社会に根強い黒人への差別意識だけではありません。

CNN アンナ・クーバン記者
「参加者からは強い怒りが感じられ、話を聞くのも難しい状況でした。『メディアが死に追いやった』と報道に怒りの矛先を向けています」

論文の盗用疑惑以降、メディアはその矛先を彼の研究以外にも向けていきました。大学での普段の行いや「35日間で30回マラソンを走った」という研究とは全く関係のない発言にまで疑いの目が向けられ、関連記事は22日間で249本。その大半は教授を辞任した後に書かれたものでした。
メディアの責任を追及する署名には9万人以上が賛同しています。

追悼集会の参加者
「盗用疑惑をかけられ、それが晴れても魔女狩りが続いた。その流れを断ち切り、加害者たちに罰を与えるべきです」
