
豪雨や地震が相次ぐ中、全国で老朽化が進み、安全性に問題がある擁壁(ようへき)が増加しています。崩落した際には、所有者が法的責任や賠償責任を問われるケースもあるなど、注意が必要です。現場を取材しました。
豪雨・地震増加で崩落危機
2024年に神奈川県伊勢原市の道路で擁壁が崩落する瞬間を捉えた映像。雨の中を走行中、斜面のブロックが土砂によって道路へ押し流され、車が巻き込まれました。
崩れたのは、国道沿いに設置されていた擁壁でした。
そして去年9月、東京・杉並区の擁壁が崩れ、その上の木造2階建ての住宅が倒壊。この擁壁は、およそ60年前に造られたものでした。
擁壁は高度経済成長期に造られたものが多く、老朽化が進んでいます。こうして老朽化した擁壁は、大雨や地震によって倒壊する危険性も高まります。
こうした事態を受け、擁壁の診断や補修工事を手がける企業には、相談が増えているといいます。
補修工事を含めた総額は
番組は、その現場を取材しました。
ジャステクト 坂本涼さん
「この擁壁自体がいろんな石で組みあげられているものになっていて、風化しやすい石もある。ここは隙間もかなり大きいし、奥行きもかなり大きい。これもポロポロとれていっている。かなり不安定な状態、危険性は高い」
さらに…。
「こういう根っこですね。根っこが生えてきていることで、これがもし成長するものであれば、ここから大きくなって、石と石をずらしてしまう。バランスが崩れて崩壊してしまうというところも危険性として一つある」
今回の調査では、まず擁壁の横幅や高さを測定。さらに、石と石の隙間からファイバースコープを入れ、内部に空洞がないかなどを確認しました。
目視でも、擁壁に膨らみや傾きがないかを詳しく調べます。
地盤調査なども行い、補修工事を含めた費用はおよそ200万円になる見込みで、今後依頼人は補修工事をお願いするということです。
調査を依頼した住人
「これから崩れそうだという(石垣が)あったから(依頼した)。やっぱり(家の)前のお宅に迷惑がかかったり、費用がかかったりする。自分のところは自分で何とかしなきゃいけないということで、こういう形でお願いした」
擁壁が増えた背景は
現在、擁壁は全国に200万カ所あるとされています。
では、こうした擁壁と私たちはどう向き合っていけばいいのでしょうか。専門家はこう指摘します。
東京理科大学 工学部
高橋治教授
「基本的に高度成長期ごろの擁壁は、寿命が50年以下の場合が多い。国土交通省から擁壁チェックリストが出ている。それをベースにチェックするのが1つのやり方。何もない平常時でも、年に4回以上は見て回れたらいいと思います」
擁壁が増えた背景には、もともと山や斜面だった土地を造成し、宅地として利用してきたことがあるといいます。
さらに、老朽化した擁壁は、近年多発する線状降水帯などによる大雨に注意が必要だと指摘します。
「雨降った次の日は(乾いた土の)1.5倍の荷重がかかる。弱っている擁壁の場所はひびが入ったり、ちょっと膨らんできたところから、(擁壁が圧迫されて)崩れ始める可能性がある」
賠償責任問われるケースも
擁壁は土地の所有者の私有財産と見なされ、維持・管理する責任を負うケースがあります。
専門家は、擁壁の崩落による事故を防ぐためにも早めの対策が必要だと話します。
「人が亡くなったとした場合には、それで交通事故とかと同じように賠償責任というのは出てくる。今そういう裁判が増えている。ちょっと気になったこと、不安になったところで放置しないで、しっかり直しに行くというのが大事。(経年劣化は)どんどん進行しちゃうから」
(2026年8月24日放送分より)
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