
24日、独立記念日を迎えたウクライナで、有志国連合の首脳会議が開かれた。そんな中、番組では、来日した日本語を学ぶウクライナの学生を取材した。
今回初ウクライナから招待
ロシアによる侵攻が始まって4年半。戦闘が終わらないまま、ウクライナでは24日、独立35周年の記念日を迎えた。
オンラインで参加した高市総理を含め、30カ国以上の首脳らが出席した会合では、今後もウクライナを支援することで一致した。
ゼレンスキー大統領
「冬に向けた『パトリオット・ミサイル』の支援パッケージが必要です。少なくとも300発が必要です」
そうした中、ウクライナの大学などで日本語を学んでいる学生とその教師、合わせて24人が来日した。
およそ2週間の滞在中、日本の大学生との交流や東京や関西などで文化を体験するというプログラム。海外で日本語教育に携わる教師や生徒らを支援する交流事業の一環で、ウクライナからの招待は今回が初めてだという。
ウクライナ西部リビウに住むイバンナ・アントシュクさん(21)は、初めての来日を心待ちにしていた一人だ。
この日は、大学のキャンパスを見学。図書館に案内されると、急に目を輝かせる。
なんだか、とってもうれしそうなイバンナさん。それにはワケがあった。
「『燕』が大好き!燕!燕!面白い漢字ですね。漢字すごいと思います」
「(Q.漢字が好きなのですか?)そうですねぇ。『柳』も好きです」
学生が国の垣根を越え交流
次に向かったのは大学の購買部だ。
「谷崎潤一郎と夏目漱石の本を買った」
「(Q.夏目漱石の…)『こころ』。『こころ』のウクライナ語の本を大学で読んでいました。それで日本語の本を買いたいと思って」
ウクライナではなかなか手に入らない日本の書籍を購入することも、来日の大きな目的の一つだという。
イバンナさんが日本に興味を持ったのは高校生のころ。江戸時代の文化や歴史に引かれ、大学で日本語の勉強を本格的に始めたという。
キャンパスを飛び出して、学生同士が国の垣根を越え、交流できることもこのプログラムの魅力だ。
「(Q.パンケーキおいしかったですか?)おいしすぎるね!日本のパンケーキはふわふわ。クリームとフルーツが多すぎるね!」
同行した東京外国語大学の佐藤和花さんはこう話す。
「私も大学で『古事記』を読むので、話が合って、すごく楽しかったです」
日々常に戦争と隣り合わせ
来月からは大学院に進学。夢は日本語の教師になることだというイバンナさん。母国で日本語を学んできた日々は、常に戦争と隣り合わせだったという。
「戦争が始まった瞬間、何かもが一変しました。あの日が木曜日だったことを覚えています。数カ月間は学校に通うことができませんでした」
ロイター通信によると、イバンナさんが住むウクライナ西部リビウでも、3月にロシアのドローン攻撃によって少なくとも22人が負傷した。
「授業中に無人機が飛んでくることがよくあって、その時は地下に避難しなければなりません。ミサイルが町の中心部に飛んできた時はとても怖かったです」
原爆資料館へ どう映った
滞在期間中、広島にも足を運んだ。
ガイド
「原爆が投下された直後、地上の温度は3000~4000℃くらい。その状況下で人間は一瞬で消えてなくなった」
さらに、原爆資料館では81年前、広島で何が起きたのか、一つひとつの展示に目を向けていた。
現在、戦禍に見舞われているウクライナの学生の目にどのように映ったのだろうか。
カテリーナ・ボイコさん(19)
「この恐ろしいこと(核兵器の使用)が再び繰り返されるかもしれないと思うと、とても怖いです」
イリーナ・アンドリィチュクさん
「多くの人たちがつらい出来事を経験したのだと思うと、とても胸が痛みました」
そして、イバンナさんはこう話す。
「ウクライナには毎日のようにロシアのミサイルが飛んできます。ウクライナの人々は何も悪くないのに、残虐な行為に苦しんでいるんです。日本でもかつて同じように苦しんでいたのだと思うと、どこか共通点を感じました」
「これはひどいと思います。世界に平和があるべきです」
過酷なウクライナ教育事情
今回、イバンナさんたち学生の他にも、ウクライナで日本語を教える教師が来日した。話を聞くと、過酷な教育現場の実情が見えてきた。
1991年にウクライナに留学し、現在はキーウ国立大学で日本語を教える日本人教師の江川裕之先生によると「対面授業を基本としているが、警報が鳴ると授業を中断して地下のシェルターに避難しなければならず、完結した授業が行えない」という。
また、ミサイルやドローンの脅威にさらされ続けているドニプロ国立大学で日本語教育に携わるビクトリア・コワレンコ先生は「安全を考慮して、学生を1カ所に集められず、すべての授業をオンラインで行い、自分自身も現在はスロバキアから授業を行っている」と語った。
さらに「今回の来日でおよそ2年間授業をしてきた学生と、初めて直接会うことができた。オンラインでは得られない交流の大切さを感じている」と喜びをあらわにした。
このような厳しい状況の中でも、日本語を学びたい学生は増加しているという。
キーウ国立言語大学では、日本語を専攻している学生は248人で、英語に次いで2番目に多い人数だという。
日本語を学びたい増加なぜ
では一体なぜ、日本語を学びたい学生が増加しているのだろうか。
ウクライナ日本センターのナターリャ・ペトロフシカ先生は「戦争が始まって、日本からの支援のニュースがよく出るようになった。将来、戦争が終わった後の復興を見据えて、日本とウクライナの共同プロジェクトなど両国つなぐ役割を担いたい学生が増えているのではないか」という。
また、キーウ国立言語大学のオルガ・ロジンスカ先生は「ウクライナの復興に向けて、インフラ・教育・エネルギーなどの分野では日本との協力が重要になる。学生たちの日本語への関心と学ぶ意欲は、私たちにとって未来への大きな希望。日本とウクライナをつなぐ、新しい世代を育てるために、困難な状況でもこれからも日本語を教え続けたい」と話している。
(2026年8月25日放送分より)
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