
アメリカ・トランプ政権は、イランへの「経済的な総攻撃」を始めるとして、イランと取引した国に2次制裁をかけると警告。これに対して、イラン産原油を多く輸入する中国は「断固反対する」と反発している。
新たな制裁の対象は?
24日、アメリカのベッセント財務長官は「経済的追放作戦」と銘打った新たなイラン制裁を発表。その中で、「イランが孤立無援の状態に陥るまで、あらゆる経済的生命線を断ち切る」としている。
ベッセント長官は新たな制裁対象として、以下の5つの重点分野を挙げている。
・デジタル資産
制裁逃れなどのために用いる暗号資産
・テクノロジー
兵器開発に必要な先端技術の入手
・金
急激なインフレへの備え
・航空
戦闘員や武器、資金の輸送など
・海運
イラン産原油の輸送など
この5つの分野でイランと取引した国に、2次制裁を発動するとしている。
他にも、イランの核開発などに関与したとされる60を超える個人と企業に新たな制裁を発動するという。
また、金融機関への制裁も示唆していて、ベッセント財務長官は「イランのマネーロンダリング(資金洗浄)に関われば、米ドルの決済システムから排除する」と警告している。
制裁は、どの国に影響?
では、この2次制裁は、具体的にはどこの国が対象となるのか?
まずは、イランにとって最大の貿易相手国とされる中国だ。
ロイター通信(16日)によると、去年イランから輸出された原油の8割以上を購入したのが中国で、
ウォール・ストリート・ジャーナル(4月22日)(6月25日)によると、イランは船の国籍を伏せたり、海上で積み替えたりして制裁を逃れるタンカー船、いわゆる“影の船団”を使って原油を中国に売却していて、それによって得た資金で、兵器に転用できる製品を購入してきたとみられている。
また、トルコやUAEなども制裁対象となる可能性があるという。
ブルームバーグ(20日)によるとトルコは中国に次ぐイラン製品の輸出先で、ロイター通信(20日)によるとイランはトルコに天然ガスなどを輸出し外貨を獲得しているとのことだ。
UAEの両替業者は、イランが原油輸出で得た資金をイランが利用できる通貨に交換して、イラン国内に還流させる役割を担ってきたという。
ただUAEは19日、アメリカによる制裁発表に先立ってイランとの金融・経済取引を停止したと発表している。
停戦“立役者”がイラン訪問
アメリカとイランによる停戦合意に貢献したとされる人物が、イランを訪問した。停戦交渉が再び動く可能性はあるだろうか。
アメリカとイランは4月に2週間の停戦に合意したのち、6月には戦闘終結に向けた「イスラマバード覚書」を結び、60日間の停戦で合意した。これら停戦合意の“立役者”とされているのが、パキスタンの軍トップ、ムニール元帥だ。
パキスタンはアメリカとイラン両国と良好な関係を持っているが、特にトランプ大統領とムニール元帥は親密な関係にあるといい、ムニール元帥が「(トランプ氏を)ノーベル平和賞に推薦する」と言えば、トランプ大統領は「(ムニール氏は)お気に入りの元帥だ」と呼び、ムニール元帥を単独でホワイトハウスに招くなど、蜜月ぶりをアピールしている。
そのムニール元帥が24日、イランを訪問し、行政府のトップであるペゼシュキアン大統領や議会のトップ、ガリバフ国会議長のほか、イランで安全保障や外交を統括する「国家安全保障最高評議会」のレザイ事務局長などと相次いで会談した。
ムニール元帥に同行していたパキスタンのナクビ内相はSNSに、イラン側と戦闘終結に向けた「イスラマバード覚書」の復活を協議し、協議で著しい進展があったと投稿している。
またロイター通信(25日)によると、ムニール元帥はイラン訪問前にトランプ大統領と電話会談をしており、その中でトランプ大統領からイランとの交渉再開を求められていたという。
今回の訪問がトランプ大統領の意向をくんだものである可能性があるとのことだ。
ホルムズ海峡にも影響
そんな中、ホルムズ海峡にも影響が出ている。
船舶を追跡・調査する会社「ケプラー」が25日に発表した海運データによると、アメリカのベッセント財務長官が新たな制裁を発表した24日、ホルムズ海峡を通過した船は2隻のみだったといい、1日としては5月上旬以来、最も少ない通過船舶の数となったという。
こうした中、ロイター通信(25日)によると、25日、イランとオマーンがホルムズ海峡での安全な航行の再開に向けた枠組み案で合意。共同声明によると、共同の暫定航路の設置や海峡の機雷除去計画などが盛り込まれたという。
(2026年8月26日放送分より)
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