
最大震度7を観測した熊本地震から、28日で1カ月です。今も2460人が避難所で生活を続けていますが、一方で、避難所ではなく被災した自宅の庭などで不自由な生活を送っている人もいます。そんな数字には表れない“見えない避難者”の今を取材しました。
“軒先避難”続ける家族
自宅敷地で軒先避難 竹馬陽子さん(49)
「(Q.被害に遭われた家はこちらですか?)(家の)中というか、外も瓦以外のところが結構ひずんで」
1カ月前の熊本地震で震度7を観測した宇城市。竹馬さん一家は家族7人で自宅の敷地内で“軒先避難”を続けています。
地震の影響で、築40年の自宅は倒壊こそ免れたものの、壁は崩れ、戸は外れ、中での生活ができなくなりました。
陽子さん
「(Q.壁に大きな亀裂が入っていますね)雨戸なんかもつけたばっかりだったんですけどね、雨戸も曲がっちゃって」
現在、竹馬さんたちが寝泊まりしているのがこちらのプレハブ小屋。10年前の熊本地震で被災した際に購入したといいます。
プレハブの広さはおよそ8畳。ここで竹馬さんは、農業を営む夫と、聴覚障害などがある3人の子ども、夫の両親の7人で暮らしています。
陽子さん
「(Q.普段から暑い?)暑いです。日頃は朝の8時ぐらいから、この中は危険な暑さ」
27日の宇城市の最高気温は36.0℃。12日連続の猛暑日となりました。
プレハブにエアコンはついているものの、暑さの影響で日中は高温になるため、作業場などの日陰で過ごしているといいます。
7人で寝るには明らかに狭いプレハブ小屋。そこで…。
陽子さん
「これに2人で寝ていたんですよ」
当初は竹馬さんと長男の2人は車中泊。しかし…。
陽子さん
「車中泊は足を伸ばせる。だけどボコボコボコ。温度調節が難しい。(エアコンを)つけとけば冷えすぎる。(窓を)開ければ蚊が入る」
車中泊は4日で断念。テントを購入し、2人は作業場で寝ているそうです。
軒先避難…心配なことも
陽子さん
「(Q.なぜ避難所へ行かない?)後期高齢者の父と母が行かないっていうから置いていけない。自由にできない暮らしをやっぱり受け入れられない。だいぶ説得したけど、家を守らないとって言うんですよね」
自宅敷地で軒先避難
長男・和さん(20)
「(Q.避難所に行きたいと思わなかった?)思いました。だけど(家族が)7人いるんで。みんなの意見を尊重っていうか、意見を交換し合いながら」
しかし、軒先避難を続ける中で心配なこともあるといいます。
母・加代子さん(76)
「(Q.足や体は痛くない?)ちょっとむくみが出るんですね」
「(Q.普段は薬を飲んでいる?)血圧の薬は飲んでいます」
「(Q.避難所に行かない?)全然ない。やっぱり気をつかう。一回、台風の時に避難したんですよ。その時やっぱり気をつかってですね」
“軒先避難”を始めて1カ月。日常とは程遠い生活を強いられている竹馬さん一家。食料品は車で3分ほどのところにあるスーパーで購入できるようになりましたが、ようやく出るようになった水は濁っていて、飲み水は親戚や知り合いが届けてくれるものに頼っているそうです。
“見えない避難者”に手を…
見過ごされがちな“見えない避難者”に支援の手を差し伸べている団体があります。
SEEDS OF HOPE 下田菜ほさん
「たぶんこの辺から、これが今見ているところで」
部屋いっぱいに地図を広げているのはNPOのボランティア団体。“見えない避難者”がどこにいるのか、状況確認を行っています。
兵庫からの学生ボランティア
「(Q.地図を見て1軒1軒ローラーして探す?)(地図の)色がついていないところが、行ったけど不在か、行っていないところ。そこを回っていく感じ」
「(Q.段ボールを持っているのは?)配る支援物資です。中に飲み物とか、すぐに食べられるもの」
“見えない避難者”の元へ。厳しい暑さの中、地図を頼りに1軒1軒回りますが、ほとんどが不在。それでも“見えない避難者”を見落とさないように丁寧に訪問を続けます。
27日は、新たにおよそ10軒の状況確認ができたといいます。
下田さん
「とにかく早く、車中泊とか軒先避難とか、家が大丈夫でも水が出ないという家があるので、とにかく早く把握して必要な人につなげられるように歩いています」
活動は状況の確認だけにとどまらず、軒先避難をしている人へ支援物資の運搬も行っています。
ボランティアスタッフ
「これ、お渡ししますね。必要なくなったら、お電話いただけたら」
近所の3家族が集まり…
車中泊をしているという山田さんの元に届けたのは、スポットクーラー。家の中は片付いておらず、生活はできないといいます。
さらに自宅の敷地内には、簡易トイレがあり、周りには目隠しを設置しています。
山田京子さん(60代)
「母はひざが悪いので、これ。ここにバケツを持ってきて、体を洗って」
「(Q.お湯は?)お湯はあそこ。これだけで温かい。触って」
「(Q.温かい!これは?)太陽の光」
炎天下で温度が上がった水で体を洗っているそうです。
日よけを張った車庫には、夕食の時間になると、近所の3家族が集まり食事を共にします。
近所の避難住民
「家の中がぐちゃぐちゃ」
近所の避難住民
「うちはもう天井が落ちてくるし、瓦が落ちて」
こちらの女性は家に住めなくなり、山田さんの家の作業場を借りて避難生活を送っています。
近所の避難住民
「助かりました。どこに行ったらいいか分からないです、最初は」
共同生活をしながら避難を続ける「見えない避難者」たち。届けられたスポットクーラーには…。
近所の避難住民
「ここ何日間か暑かったので、だいぶ楽になりました」
山田さん
「この1カ月はだいぶ我慢していた。家にいると何が借りられて、何の援助が受けられるのか分からない。訪問してもらえると、ありがたい」
ガレージのテントで…
家族7人で軒先避難を続ける宇城市の竹馬さん一家。
日が落ちると、長男の和さんはガレージに置かれたテントへ向かいます。
長男・和さん
「(Q.電気はつけて寝る?)いや、電気は消して。ここ(テントの入り口)が網になってるんで、虫も入ってこない」
「(Q.ここのほうがいい?)そうですね。こっちのほうが足を伸ばせるんで」
プレハブ小屋は狭いため、母親の陽子さんと長男の和さんはテントへ。
長男・和さん
「後ろに扇風機があるので、ここは風を通している感じ。暑いです。やっぱり眠りが浅くなりますね」
(2026年8月28日放送分より)
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