
地方自治体が二の足を踏んでいた選挙の電子投票の動きが活発化しています。私たちの選挙の形が変わっていくかもしれません。
タッチパネルで投票 開票作業も効率化
香川県の知事選挙では、いつもと違う光景が…。鉛筆ではなくタッチパネル用のペンで画面をタッチしています。この地域で導入されているのが電子投票です。
これまでは、用紙に候補者名を手書きすることが一般的でしたが、電子投票ではタッチパネルで候補者を選びます。わずか3回のタッチで投票でき、所要時間は数十秒。
今回、善通寺市で電子投票を導入した理由は…。
善通寺市選挙管理委員会 佐藤幸治書記長
「大人数で投票用紙を分類して点検する作業を行う必要がありました。非常に大きな効率化の効果が得られるのではないかと」
データはメモリーに記録し、開票所まで運んでパソコンで集計する仕組みで、開票作業にあたる職員はおよそ70人から20人に減る見込みです。さらに、無効票を減らせるというメリットもあります。
「高齢者が非常に多くなり、候補者名を書くのが難しい方がだんだん増えてきている。電子投票なら投票が簡単に済むところが大きな魅力だと」
“苦い経験”で敬遠も
無効票を巡っては、近年トラブルが相次いでいます。
去年11月、茨城県神栖市の市長選挙では得票数が同じだったため、まさかの“くじ引き”で市長が決まりました。
しかし、投票用紙に書かれた文言を巡って当選は無効になり、今も裁判が続いています。
こうしたトラブル解決への一手として期待される電子投票は2002年、全国で初めて岡山県の選挙で行われました。
時の総理も…。
小泉純一郎総理(当時)
「白票できるの」
多くのメリットから「未来の投票方式」とも呼ばれ、画期的なシステムのように思われましたが、普及はしませんでした。それには、ある苦い過去がありました。
拓殖大学政経学部 河村和徳教授
「“可児ショック”と業界では言われてまして、“可児ショック”で皆さん(自治体)ちゅうちょしてしまった」
“可児ショック”。それは2003年の岐阜県可児市議選でのことです。この時、市は電子投票を導入しましたが、機械が故障し、投票ができなくなるトラブルが発生。その結果、最高裁で選挙の無効が確定し、選挙をやり直した経緯があったのです。
「選挙管理委員会にとってみると、選挙無効になってしまうリスクを背負ってしまった。コストがかかっても正確にやったほうがいいという思考になりがち」
2016年に青森県の自治体で行われた後、8年間実施されることはありませんでした。
再び注目 期日前投票が増加
総務省は運用指針を見直し、一般的なタブレットの使用も解禁。導入のハードルが下がりました。トラブル面でも対策が進みます。
システムの開発責任者
京セラ 大内康史さん
「ネットワークには一切接続しない方式をとってますので、ハッキングというところからも防止されている」
2024年には大阪府四條畷市、今年3月の宮崎県新富町の選挙で電子投票が行われ、目立ったトラブルはありませんでした。
今回の香川県知事選では、電子投票を導入した善通寺市の期日前投票の投票数が、前回と比べて60%以上伸びました。電子投票が話題になったことも背景にあるとみられ、再び注目されています。
(2026年8月29日放送分より)
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