
制御を失った大型レッカー車が車の行き交う交差点へ。現場はブレーキのトラブルによる事故が相次いできた長い下り坂です。実際に走ると見えてきたドライバーの感覚を狂わせる道路の落とし穴を取材しました。
「ブレーキ利かない」電柱に突っ込み停電
猛スピードで走ってきた車が交差点に突っ込み、激しく火花が散ります。直前には交差点を車が通り、複数の対向車もいました。事故を起こした運転手にけがはありませんでしたが、急ブレーキを踏んだ対向車の3人が首を痛めたということです。
事故があったのは20日、神戸市灘区の県道です。ペットボトルを積んだ25トントラックを牽引(けんいん)していた大型レッカー車が、電柱やガードレールに衝突。この影響で、周辺の住宅およそ420軒が一時停電しました。
レッカー車の運転手は、当時の状況について…。
レッカー車の運転手
「ブレーキが利かなくなった」
今回の事故の原因とみられるのが、「フェード現象」です。下り坂などで連続してフットブレーキを使いすぎると、ブレーキパッドが熱くなり、ブレーキの利きが悪くなる現象で、過去にはこれが原因の死亡事故も起きています。
2019年、坂道を下っていたトラックが6台の車と次々にぶつかり川に転落。トラックの運転手が死亡し、7人が重軽傷を負いました。周辺の防犯カメラには、ハイスピードで坂道を下るトラックの姿が残されています。
この県道95号では、フェード現象が原因の事故が5年で7件と多発していて、警察はおととし「フェード現象重点対策路線」に指定しました。
長い下り坂で“坂の感覚”が鈍ることも
なぜ頻発するのか、実際に県道を走ってみました。
こちらは六甲山から続く道で、ずっと下り坂が続いています。カーブに差しかかるところで「スピード落とせ」「3キロ下り坂続く」という看板もあります。体が前に持っていかれるほど急な勾配の下り坂で、前の車もブレーキランプがずっと点灯しています。
急な坂で、断続的にカーブも続く道。標高を示す断面図を見ると、急勾配の後、事故が起きたあたりは坂が緩やかになっています。とはいえ、3キロ弱の間に標高が250メートル下がる、しっかりとした坂です。
地元の住民は、この道を運転する時の感覚をこう話します。
近くに住む人
「この辺一帯が坂で長いので、坂だという感覚がなくなってしまう」
専門家は長い坂道のなかで勾配が変わると、坂を走っている感覚が鈍ることがあると注意を呼びかけます。
元静岡県警 交通捜査35年
古庄自動車学校 松本成立校長
「急勾配から緩い勾配に勾配が変わった場合は、上り下りの(勾配の)パーセンテージが非常に分からなくなる。下り勾配が続いていることが途中で欠如してしまうのでは」
フットブレーキの使いすぎで起こるフェード現象。防ぐには、ギアをドライブから低速ギアに変えるなどの対応を取り、速度を落とすことが大切だということです。
(2026年8月30日放送分より)
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