
ネパールと中国の国境で起きた洪水と土砂崩れ。5カ所の水力発電所で、作業員900人以上の行方が分からなくなっていて、懸命の捜索活動が続いています。
警戒の中…捜索活動続く
川沿いの街と、そこに住む人々をのみ込んだ土石流。31日も現地の天候は不安定で、捜索活動や復旧作業に支障が出かねない状況です。4000人を超える行方不明者。リスクを背負いながらの捜索活動が続いています。
金井誠一郎記者
「この辺り一帯も濁流にのみ込まれました。ここにあった複数の建物は流され、残った建物も多くは原型をとどめていません」

取材班が入ったのは、氷河が崩壊した国境地帯から80キロほどの地点。あらゆる場所が泥に覆われ、何から手を付ければよいか分からない状況です。
自宅が流された アディカリさん(60)
「そこに座って洪水を見ていました。どんどん水位が上がり、家をのみ込んだんです」
(Q.家はどこに)
「ここにあったんです。隣は義理の弟の家でした。自宅の再建は無理です。食べ物は親戚と救助隊からもらってます。食器や鍋、布団一式、家の物は何も残っていません。夏はまだ耐えられますが、冬場はどうにもならない。残っているのは命だけです」

広く残る爪痕 インドで遺体発見
広い範囲をのみ込んだ土石流。道が通れるようになったものの、至るところに爪痕が残ります。濁流は国境を越え、氷河の崩壊地点から直線距離で200キロ離れたインドでも複数の遺体が見つかっています。

死者の数はネパール側だけでも900人を超えました。急がれるのは4000人を超える行方不明者の捜索です。
発電所に濁流 多数閉じ込め
濁流にのみ込まれた水力発電所。流域にある5カ所の水力発電所で900人以上が行方不明となっています。
男性
「泥や土などでふさがれていて、ここから先に進めません」

生存者
「建材につかまりました。水位が上がり、足を動かすのも難しく、建材から手を離したら濁流にのまれていたでしょう」
「同じトンネルで働いていた義理の兄弟が亡くなりました。彼の妻は出産していて、心配で電話をかけ続けています」

この発電所では穴を掘る作業が夜通し行われました。生存者と連絡が取れるよう空気を送り、食料を投下するための穴です。救助にあたった人によると、トンネル内は遺体で埋め尽くされていたといいます。
救助にあたった人
「言葉がありません。地元の人が大勢いました。皆に何と伝えたらいいか。現実とは思えない光景でした」

本来であれば31日から稼働する予定だったランタン・コーラ水力発電所。救助された人はいるものの、ここでは今も20人ほどが行方不明だといいます。
ネパール水力発電所 運営会社
「連絡が取れていません。31日からトンネル内に酸素を送り始め、救助活動が始まっていると思います」
甚大な被害 捜索の進捗は
ネパールの首都カトマンズにいる、金井誠一郎記者に聞きます。
(Q.実際に被災地を取材して、どう感じましたか)
金井誠一郎記者
「これほどまでに広い範囲が被害に遭っているのかと、衝撃を受けました。私自身15年近く災害の取材を担当してきましたが、100キロ近く離れた街まで、のみ込まれている現場の取材は経験がありませんでした。それほど離れた下流側でも数メートルの高さまで泥が上がり、橋も流されている。いかに大量の土砂が襲ったか、そのすさまじいまでの力が分かりました。行方不明者の数も増え続けています。外国人観光客は山岳エリアに入る申請が必要なため、記録が残っています。一方、ネパール国内からの出稼ぎ労働者や、インドなど他国からの労働者については、はっきりとした記録がない方も多く、把握が難しいようです。現地の警察関係者は、そうした方たちも含めると死者・行方不明者合わせて1万人近くが犠牲になったのではないかと話していました」

(Q.捜索活動は進展していると言えますか)
金井誠一郎記者
「私の後ろに見えるのが、捜索の中心となるネパール軍のヘリコプターの基地も兼ねているカトマンズの空港です。軍はこの空港などから重機を分解して被災地に運び、救助活動にあたっています。その背景にあるのは、現場の重機不足です。ほとんどの場所が土砂に覆われているため、重機なしでは救助活動もままならない状況ですが、数十の橋や道路が崩落しているため、陸路では現場にたどり着けない状況です。ネパール軍のヘリコプターも10機ほどと限られていて、けが人の搬送もあるため、全く足りていないのが現状です。現場でも人力で人を担いでいたり、裸足で救助にあたる姿も見られます。5日経った今も被害の全容は全く分かっていないのが現状です」
