
本州で唯一「30℃以上の真夏日」を50年間一度も記録していない街があります。
【画像】売電収入年1億円の「バイナリー発電」 町の地域再生に活用
猛暑を忘れる福島の奥座敷
これまで番組で「14カ所」にわたりお届けしてきた“猛暑のなかでも涼しい街シリーズ”。
地元住民の声
「(Q.朝晩の気温は?)22℃ぐらいで(気温が)止まっているような感じね」
地元住民の声
「エアコンいらない。ここ天国。夜中に寒くて目が覚めて」
“涼しい街2026Final”は、人口わずか260人ほどの福島の奥座敷として親しまれてきた「土湯温泉町」。幻想的な光景を映し出す「雲海」に、息をのむ自然に囲まれながらのアクティビティーはぜいたくな時間を堪能できます。
1400年以上の歴史を誇り、「ふくしま三名湯」の一つと言われている土湯温泉。街の至る所で、源泉が勢いよく噴き出す、迫力ある光景も。
温泉街を流れる荒川は16年連続で「水質が最も良好な河川」にも選ばれています。
50年間真夏日なし
1日、標高450メートルほどにある“土湯温泉町の中心部”に向かってみると…。
午後1時、手元の温度計は21℃となっています。午前中からほとんど気温が上がっていません、肌寒いくらいです。
1日の東京の同時間帯と比べても9℃ほどの温度差がありました。
1日は、福岡県久留米市など、西日本を中心に全国「82地点」で猛暑日を記録しています。
そんななか、土湯温泉町は気象庁のアメダスが標高およそ1200メートルに設置されていることもあり、1日の最高気温は、なんと19℃。同じ福島県内では真夏日を記録した場所もあるなか、突出して低い気温です。
街の中心部には、長袖を着ている人も目立ちます。
地元住民
「一晩中エアコンをかけてることはない」
「窓を開けて寝ると朝方が寒い。(窓を)閉めて寝ていることの方が多い」
実はこの土湯温泉、これまで観測した最高気温は29.4℃。“真夏日知らず”なんです。全国900ある観測地点で30℃に達したことがないのは本州で唯一この場所だけ。そして最低気温は、一番高かった時でも22.3℃(2021)と、熱帯夜もゼロなんです。
地元住民
「夏掛けではなくて、羽毛布団を出しました、薄いの」
「(Q.夏だけど?)夏だけど。朝に散歩に行くんですけど『あっやばい寒い』みたいな」
住民の部屋に上がらせてもらうと…。
「(Q.部屋の中涼しい。何もしていない状態?)そうです」
「(Q.エアコンつけるまでもない)そうです」
部屋にサーモカメラをあててみると、画面は低い温度を示す青色が出現。温度は22℃を示しています。さらに…自宅には天然温泉までありました。
守られた森 水質日本一
土湯温泉の涼しさの秘密は、どこにあるのでしょうか?
土湯温泉観光協会 加藤貴之会長
「土湯温泉って『水と緑の温泉郷』と実は言われていまして、まさにこの2つが完全に涼しさのキーワードかなと思っています」
土湯温泉町は、その全域が磐梯朝日国立公園にあり、広大な森は洪水や渇水を防ぐ水源かん養保安林に指定されています。そのため、無許可の伐採や開発が厳しく制限され、豊かな自然が人の手によって守られています。
三重大学大学院 立花義裕教授
「森林は水蒸気をいっぱい出します。蒸発・蒸散で空気を冷やすんですよ」
樹木からの蒸散によって周囲の熱を奪うことで、冷やされた空気を生み出します。
そして“もう一つの秘密”が、土湯温泉町を東西に貫くように流れている、吾妻連峰から湧き出る清流「荒川」と、その「地形」にありました。
「その川が湧き水なので非常に冷たいですから。空気があたたまっても川が冷やすという効果。そして谷筋なので、冷たい空気が谷筋にたまっている。水量が多い川があるということは他とは違うと思います」
森に囲まれた谷筋の地形は、風の逃げ場が限られ、いわば風の通り道になります。谷筋という狭いルートを通ることで、冷たい風が一気に勢いを増し、まさに“天然のクーラー”を一直線に温泉街へと届ける“ベルトコンベヤー”の役割を果たしていたのです。
地元住民
「川が絶えず流れてますから。結構水も多いですし。だから冷気に関係してるんじゃないですか」
東京からの観光客
「もう秋を感じる気候だなと思いました」
横浜からの観光客
「涼しいじゃなくて寒いです。もう服(着替え)何も持ってないから」
“温泉発電”で年1億円
人の手により大切に守られている森と冷たい伏流水が町の中心部へと涼しさを運んでいた土湯温泉町。この冷たい水が“あること”に活用されています。
元気アップつちゆ
加藤貴之代表取締役CEO
「温泉熱で発電している地熱バイナリー発電所になります」
一般的な地熱発電より低い温度で行われるバイナリー発電。その冷却水として伏流水が使われています。きっかけとなったのは…。
「震災の影響で、土湯温泉自体が3日間停電しました。電気がなくなると何もできなくなるんだなという、マイナスのインパクトがものすごく大きかった」
1965年(昭和40年)ごろの高度経済成長期。奥までずらっとバスが町へと押し寄せるほどにぎわいを見せていた土湯温泉。しかし、東日本大震災の影響で旅館16軒のうち5軒が廃業、観光客の足も次第に減っていきました。
衰退しかけた町の“起死回生の一手”に…。「バイナリー発電」による売電収入は“年間でおよそ1億円”にもなり、温泉街の空き家などをリノベーションしたり、移住者の店舗開業の拠点を整備するなど、町の地域再生に活用しています。
涼しさにひかれて移住
“涼しさにひかれて”移住してきた人もいます。
川崎市から8年前に移住
「段々と地球があたたかくなってきているので、(移住して)涼しく過ごしたいなというような思いもございました」
去年7月にミャンマーから来日
エイン・ペイペイさん(23)
「ここはずっと涼しいので。暑くないですよ」
去年7月にミャンマーから来日して旅館の接客を担当している、エインさん。土湯温泉の自然環境や“涼しさ”に惚れ込んでいるといいます。
「自然が多い所が好きなので。温泉もあるし。市内(JR福島駅)に行きたい時も便利だし」
「(Q.自然いっぱいで涼しいところも気に入っている?)そうです。両方です」
(2026年9月2日放送分より)
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