甲府刑務所から各地へ…再犯防止願う「母の鈴」 出所者に寄り添う保護司の実情

甲府刑務所から各地へ…再犯防止願う「母の鈴」 出所者に寄り添う保護司の実情
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 コロナ禍以降、刑法犯は増加傾向で、さらに約2人に1人が再犯者となっている中、山梨県の甲府刑務所で出所者に渡される「母の鈴」という取り組みが広がりをみせている。40年間受け継がれてきた再犯防止の願いを取材した。

【画像】高齢化による担い手不足も

出所者に伝えている言葉とは

山梨県更生保護女性連盟 参与 末木ひで子さん
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山梨県更生保護女性連盟 参与
末木ひで子さん(94)

「お説教なんか絶対だめです。自分を認められたって時に初めて立ち直るような気がします」

 こう話すのは末木ひで子さん。元保護司として30年以上にわたり、多くの人の社会復帰に携わった経験を持つ。

静岡県で配置された「保護委員」が先駆け
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 保護司は、明治中期に静岡県で配置された「保護委員」が先駆けとされる。1950年の保護司法制定以降、民間のボランティアとして、犯罪や非行をした人たちの立ち直りを地域から支えてきた。

保護司(1963年)
「これから一人前にだんだんなっていくんだし、自分の幸福のために努力していくと。頑張ってね」

 保護観察にあたるほか、刑務所からの出所者がスムーズに社会復帰できるよう、住居や就業先などの調整、相談を行っている。

半数近くが再犯者
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 警察庁の統計によると、2024年に検挙された刑法犯のうち、約半数近くが再犯者だった。

 だからこそ末木さんは、こうした再犯者を生まないよう出所者に伝えている言葉がある。

「『ありがとう』という言葉を、本当に自分の気持ちから言えれば、変われるよ。それは必ず言うんです」

「母の鈴」
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 そんな末木さんが保護司として活動する中で出会ったのが、再犯防止の願いが込められた鈴。その名も「母の鈴」だ。

「これが一つ、人の心を変えるかもしれない」

「母の鈴」受け取った人は

 「母の鈴」は、刑期10年未満の受刑者を収容している山梨県の甲府刑務所で、仮出所者に手渡されている。

 取り組みが生まれたのは今から40年前。そこにはある女性の思いがあった。そのきっかけは、40年前、刑務所職員の目が不自由だった妻だったという。

仮出所者に手渡されている「母の鈴」
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「健全な目を悪いことに使わないで。再びここに戻ってこないで…」

 人生の重大な岐路に立った時、一呼吸おいて鈴の音色に心を澄ませ、更生への決意を思い出し、正しい道を歩んでほしい。そんな思いで出所者一人ひとりに手作りの鈴を渡していたのだという。

末木さん
「その発案を聞いて、当時の刑務所長がつないでいってあげようと言って」

 受け継がれる中で歌もつくられた。就寝前に5分間流され、歌を通して母を思う時間が作られているという。

山梨県更生保護女性連盟 峡北地区
浅川敬子会長

「私たちも人の親だから、子どものことをやはり一番考えます。ふと思ったところで鈴の音を聞いていただいて(親の気持ちを)思っていただければ」

一つひとつ手作りされている
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 現在、鈴は、元保護司の末木さんが参与を務める山梨県更生保護女性連盟によって受け継がれ、一つひとつ手作りされている。

 仮出所式で、「母の鈴」を受け取った人はこのように話す。

出所者
「(Q.(刑務所に)戻ってきてほしくないという思い)その人の期待に応えたいと思います」
「これ(母の鈴)を見て、同じ罪は犯さないように、刑務所には戻ってこないようにしたいと思います」

 30年以上にわたり保護司を務めてきた末木さん。母の鈴を受け取った人とのエピソードがある。

「母の鈴」を受け取った人とのエピソード
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「私のところに来て、鈴を私に見せたんですよ。手あかがついた、きれいなものではなかったけど『僕が再犯しなかったのは、この鈴のおかげです。この鈴の音を聞いてこの鈴を見るたびに再犯してはいけないと常に思って、きょうまでしていません』って。その鈴の色を見れば分かりました。何年かこれを持っていてくれたんだって」

 甲府刑務所で生まれた母の鈴は、現在、愛知県や三重県の刑務所にも広がっている。

「お母さんの愛情が一番」
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「やはりお母さんの愛情が一番ね。人の心を動かす(力は)一番大きいと私は常に思っています」

担い手不足に懸念

 出所者に寄り添う保護司について見ていく。

保護司とは
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 保護司とは、犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支える民間のボランティアだ。法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員とされているが、給与は支給されない。

 出所者が社会復帰できるよう、主に釈放後の住居や就業先などの環境の調整や相談を行っている。しかし、その保護司も担い手不足という問題を抱えている。

高齢化による担い手不足も
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 保護司の数は2004年には約4万9000人いたが、現在は約4万5000人と年々減少傾向にある。さらに平均年齢は65.3歳で、年齢別に見ても60歳以上が約8割を占めている。

 また、年齢制限が77歳までとなっているうえ、高齢化が進んでいることから、近い将来の担い手不足が懸念されている。

 甲府保護観察所の坂本和巳所長は、保護司が減少している背景について、次のように見ている。

保護司が減少している背景
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「これまで保護司は地元名士の間で受け継がれる傾向にあり、保護司が引退する際、その人脈により後継者を確保するシステムが機能していた。しかし、地域社会における人間関係の希薄化で、このシステムの維持が困難となっている」

 VTRでも取材した元保護司の末木ひで子さんは、保護司の役割について次のように話していた。

保護司の役割について
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「時代が変わっても『人とのつながり』が人生で一番大切。人や環境と出会い、自分が認められたと感じることで立ち直ることができる。保護司は人を変えることができる“最高のボランティア”です」

(2026年9月3日放送分より)

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