
国連総会で4日、メルカトル図法に変わり、面積の比率をより正確に示す地図の利用を促す決議が採択された。主導したアフリカ諸国は、なぜ地図の変更を求めたのか?
【画像】メルカトル図法とイコールアース図法 アフリカの大きさの違いは?
「地図を正す」決議案採択
4日の国連総会で採択されたのは、アフリカ諸国が主導した「地図を正す」とする決議案だ。
トーゴ ドゥセ外相
「この採択はアフリカ、そして世界にとって歴史的な瞬間です」
「地図を修正することだけでは国際システムの不均衡を解決するものではありませんが、アフリカはその真の現実に従って表現されなければなりません」
この案は現在、世界地図で広く使われているメルカトル図法について、実際よりアフリカ大陸が小さく描かれているとして面積をより正確に表すイコールアース図法などの普及と使用を加盟国や国際機関に推奨するものだ。
例えば、実際のアフリカの面積はグリーンランドのおよそ14倍だが、メルカトル図法の地図では同じ大きさに見えてしまう。
アフリカ側は長年の植民地支配の歴史やゆがめられた認知の是正を訴えた。
唯一の反対票はアメリカ
他の国々は…。
ロシア
「ロシアは植民地主義の遺産を克服するという一貫した主張を続けており、新植民地主義の実践と闘うことも支持します」
イギリス
「教育意識向上と地図予測の重要性を認め、イギリスは誠実にこの決議に賛成票を投じました」
急速に存在感を増すグローバルサウスのアフリカによる主張は、日本を含む164カ国の賛成多数で採択された。
しかし、唯一の反対票を投じたのがアメリカ。イデオロギー的な試みで、賠償問題などに結び付けられるとして反対した。
アメリカ
「このような決議やそれを推進するイデオロギー的な議題は、私たちにとっては忌まわしいものであり、アメリカ合衆国はこの決議に反対票を投じます」
地図とどう向き合うべき?
法的な拘束力はないという今回の決議だが、出版社には早くもこんな連絡があったという。
平凡社地図出版 制作部 原田康介次長
「国連に提起をするという話があったのが、4月中旬くらい。その数日後には弊社の方にもそれを見越して、イコールアース図法の素材がないかと打診をいただきまして。やはり今後海外で営業をかけるにあたって、全然面積の正しく表示されない、ある程度世界から批判を受けているような地図で営業活動に行くというと、ひいては営業活動に支障が出ることも起きますので。いろんな意味でも現地からの好意的な受け止め等もありますので、そういった意図があったのではないかというふうに考えております」
今後、我々は地図とどのように向き合っていくべきなのか?
「地図をあるいは世界全体を眺める視点が地図を見てくださるお客様にとっても、あるいは我々作る側にとっても、どういった表現がふさわしいのか改めて考え直してみる」
イコールアース図法とは
改めてメルカトル図法とイコールアース図法で、どのくらいアフリカの大きさが違うか見ていく。
左側が教科書などで見慣れたメルカトル図法の地図。アフリカとグリーンランドがほぼ同じ大きさのように見える。
右側が大陸の面積をより正確に表したイコールアース図法の地図。アフリカ大陸がユーラシア大陸に次ぐ2番目に大きい大陸であることが分かる。
このように2つの地図では、アフリカ大陸の印象が大きく異なることが分かる。
メルカトル図法の問題提起
イコールアース図法のような陸地の面積比率をより正確に表す地図が使われることは、アフリカの国々にとって悲願だった。
メルカトル図法の地図が陸地の面積を正しく表現していないことについては、すでに1970年代には問題提起されていたという。
指摘したドイツの歴史家は、北に位置する裕福な国は実際より大きく描かれ、赤道付近の発展途上国は小さく描かれていると主張したそうだ。
また、ケニアのメディアは、メルカトル図法の地図はアフリカが実際より小さく描かれてきたことで「小さい」「弱い」「国際的に重要性が低い」と印象づけられてきたと報じている。
こうした中、2018年に発表されたのが、面積の比率を保ちながら、大陸の形をより自然に表現したイコールアース図法の世界地図だ。
この地図を世界的に採用すべきとするキャンペーン「Correct The Map」=「地図を正せ」が去年、話題となり、AU=アフリカ連合も支持を表明した。
こうしたことを経て、国連総会でのイコールアース図法を推奨する決議案の採択にこぎつけたという。
(2026年9月8日放送分より)
この記事の画像一覧
